障害年金の受給で生じる3つのデメリットとは?メリットもあわせて解説!

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障害年金の申請を考えているけど、デメリットがないか気になって悩んでいませんか?

仕事や就職で不利にならないか、生命保険が解約にならないか、将来の年金が減らないか等々…気になりだしたら悩みは止まりません。

しかし結論から言うと、ごく一部のケースを除いて障害年金を受給することによるデメリットはありません。

いくつか簡単な注意点はありますが、この記事を読めば解決できるものばかりです。

前向きな気持ちで障害年金の申請に取り組んでいく為にも、まずはこの記事を読んで障害年金の受給によるデメリットについての不安を解消しましょう。

 

※最初に、障害年金の制度について詳しい解説をご覧になりたい方は、以下の記事をご覧になってください。

 

 

1,障害年金を受給することによるデメリットは3つ!

障害年金を受給することによるデメリットは大きく分けて以下の3つあります。

 

デメリット1:

あなたが現在家族の扶養に入っている場合に、障害年金を受給することで家族の扶養から外れるケースがあります。

 

デメリット2:

あなたが自営業者で子供がいない場合、障害年金を受給することで、あなたが亡くなった後に、あなたの配偶者が「寡婦年金」というお金をもらえなくなるケースがあります。

 

デメリット3:

あなたが自営業者で子供がいない場合、障害年金を受給することで、あなたが亡くなった後に、あなたの家族が「死亡一時金」というお金をもらえなくなるケースがあります。

 

以下で順番にご説明します。

 

(1)デメリット1:
障害年金受給が原因で家族の扶養から外れるケースがある。

あなたが現在、配偶者や子供あるいは親、あるいはその他の家族の扶養に入っている場合、あなた自身で健康保険料や年金保険料を支払う必要がありません。

しかし、障害年金を受給することで家族の扶養から外れるケースが存在します。

ただし、扶養から外れる場合も、年金の受給によるメリットは扶養から外れることによるデメリットを上回ります。

以下で順番に見ていきましょう。

 

1,あなたの収入が「180万円」を超えると家族の扶養から外れる。

障害年金も含めて年収が180万円(健常者の場合よりも50万円優遇されています)を超えると、あなたは、家族の扶養に入ることができません。

家族の扶養から外れると、あなたは、自分で「国民健康保険料」や「国民年金保険料」を納める必要があります。

障害年金だけで年収が180万円を超えることはありませんが、あなたがパートなどで働いている場合は、障害年金とあわせて年収180万円を超えることがあるので注意が必要です。

 

2,扶養から外れる場合でも、年金を受給するメリットの方が大きい。

もし、あなたが障害年金を受給することによって扶養から外れたとしても、あなたが障害年金を受給できるメリットは、扶養を外れることによるデメリットを上回ります。

以下でこの点について見ていきましょう。

まず、あなたが扶養から外れた場合、あなたは1か月あたり「約8,000円」の国民健康保険料と、1か月あたり「16,490円(平成29年現在)」の国民年金保険料を新たに支払う必要があります。

つまり、あなたが扶養から外れると、合計で、1か月あたり「約25,000円」の負担増になります。

一方、あなたが障害年金を受給した場合、一番少ない障害厚生年金3級でも、毎月「約5万円」が最低保障額となります。

そのため、障害年金を受給することであなたが家族の扶養から外れたとしても、障害年金を受給することによる収入増が扶養から外れたことによる負担増を上回ることは確実です。

もし、あなたが障害年金の受給により扶養から外れる可能性があったとしても、障害年金は受給したほうがよいです。

 

(2)デメリット2:
あなたが亡くなった後に、配偶者が寡婦年金をもらえなくなることがある。

障害年金のデメリットの2つ目は、あなたが自営業者で国民年金に加入している場合のデメリットです。

あなたが自営業者で国民年金に加入している場合、あなたが亡くなった後に、配偶者に、お金が支給される「寡婦年金」という制度があります。

ところが、あなたが障害年金を受給していた場合は、あなたが亡くなった後、あなたの配偶者は「寡婦年金」をもらうことはできません。

 

1,寡婦年金はあなたが25年以上国民年金を納付している場合が対象。

寡婦年金はあなたが自営業者として25年以上、国民保険料を納付した後に亡くなった場合に、あなたの配偶者が受け取ることができるお金になります。

この寡婦年金の制度は、国民年金の加入者が年金保険料を納めていたのに年金をもらわずに亡くなってしまった場合に、その埋め合わせの意味で配偶者に年金を支給する制度です。そのため、あなたが障害年金をもらった場合は、配偶者に寡婦年金は支給されません。

 

 

2,通常は障害年金のメリットが寡婦年金不支給のデメリットを上回る。

寡婦年金はあなたが障害年金をもらわなかった場合でも、最長5年間しか支給されません。

これに対して、あなたが障害年金を受給する場合、場合によってはあなたが生きている限り受給することができます。

このように考えると、通常は、障害年金を受給するメリットが寡婦年金不支給のデメリットを上回ります。

そのため、あなたの配偶者に寡婦年金が支給されなくなることを心配して、障害年金を申請を控えることはするべきではないでしょう。

ただし、あなたが余命いくばくもなく、配偶者に寡婦年金を支給してもらうことを重視する場合は、障害年金の申請は控えた方がよいかもしれません。

 

3,会社員や子供がいる人は寡婦年金の対象にはならない。

あなたの配偶者が寡婦年金の対象になるのは、あなたが自営業者として25年以上国民保険料を納付していて、あなたが亡くなった時に18歳未満の子供がいない場合です。

そして、あなたの配偶者があなたが亡くなった時点で婚姻期間10年以上でかつ65歳未満の場合に限って支給されます。

あなたが会社員だったり、自営業者であっても子供がいたりする場合は、そもそも寡婦年金はありませんので、寡婦年金を心配して障害年金の申請を控える必要はありません。

 

(3)デメリット3:
あなたが亡くなった後に、家族が死亡一時金をもらえなくなるケースがある。

障害年金のデメリットの3つ目も、あなたが自営業者で国民年金に加入している場合のデメリットです。

あなたが自営業者で国民年金に加入している場合、あなたが亡くなった後に、家族に、お金が支給される「死亡一時金」という制度があります。

あなたが障害年金を受給していた場合は、あなたが亡くなった後、あなたの家族は「死亡一時金」をもらうことはできません。

 

 

1,死亡一時金は自営業者として3年以上国民年金を納付した人の家族が対象

死亡一時金はあなたが自営業者として3年以上、国民保険料を納付した後に亡くなった場合に、あなたの家族が受け取ることができるお金になります。

この死亡一時金も、寡婦年金と同じような意味で支給されます。

つまり、国民年金の加入者が年金保険料を納めていたのに年金をもらわずに亡くなってしまった場合に、その埋め合わせの意味で支給される制度です。

そのため、あなたが障害年金をもらった場合は、家族に死亡一時金は支給されません。

死亡一時金は寡婦年金とあわせて受給することはできず、寡婦年金か死亡一時金のどちらかを選択することになります。

 

2,通常は障害年金のメリットが死亡一時金のデメリットを上回る。

死亡一時金は最大でも「32万円」で1度きりのお金です。

一方、障害年金の額は最低でも月額「約5万円(障害厚生年金3級の最低保証額)」です。

そのため、あなたが障害年金を請求してから7か月以内に亡くならない限り、あなたが障害年金を受給した額のほうが死亡一時金よりも多くなります。

なので、通常は、障害年金を受給するメリットが死亡一時金不支給のデメリットを上回ります。

あなたの家族に死亡一時金が支給されなくなることを心配して、障害年金を申請を控えることはするべきではないでしょう。

 

2,デメリットとは言えないがおさえておきたいポイント

以下では、デメリットとは言えないがおさえておきたいポイントについてもご紹介しておきます。

 

(1)法定免除を受けた場合は65歳以上で受け取る老齢年金が減る 

デメリットとまでは言えませんが、注意が必要なのが、保険料の法定免除による老齢基礎年金の減額です。

障害年金の1級又は2級に認定された場合、国民年金保険料の支払いが免除されます。

これを保険料の「法定免除」といいます。

 

 

障害年金の受給権が発生した月の前月分から免除の対象となり、障害年金の等級が3級に下がっても免除は継続します。

3級非該当になって3年が経過すると免除の対象から外れます。

法定免除の対象になると、国民年金の保険料を納める必要はなくなりますが、その代わりに法定免除期間の老齢基礎年金は、保険料を全額納付していた場合と比べて2分の1(平成21年3月分までは3分の1)の金額で計算されます。

仮に、65歳になる前に障害基礎年金の受給資格を失った場合、65歳以降は老齢基礎年金を受給することになりますが、その時に受け取ることができる老齢基礎年金が少なくなるということです。

 

(2)法定免除期間中も保険料を納めることによって老齢年金の減額を防ぐことができる

将来的に障害年金が受給できなくなった場合等に備えて、老齢基礎年金の額が減らないようにしたいという方は、「国民年金保険料免除期間納付申出書」という書類を提出することによって、法定免除の期間であっても保険料を納付することができます。

 

 

保険料を納めていれば、老齢基礎年金が減額されることはありません。

 

(3)法定免除を受けてもデメリットがないことも多い

老齢年金と障害年金の両方の受給権がある場合は、どちらかを選択することになります。

仮に65歳以上も障害年金2級以上に該当する場合は、障害基礎年金を選択することができるため、老齢基礎年金が減額されてもあまり影響がありません。その場合は、国民年金保険料の法定免除を受けていたからといって、デメリットはないといえるでしょう。

ただ、症状の回復や認定基準の改正等によって等級が変わってしまう可能性があるので、その可能性も考慮して、法定免除を受けるか、保険料を納付するか検討する必要があります。

 

西川暢春からのワンポイント解説

法定免除の対象となるのは、国民年金の第1号被保険者のみです。障害年金を受給しながら働いており、社会保険に加入しているような場合は、そもそも法定免除の対象とならないので、保険料を納め続ける必要があり、また、老齢基礎年金が減額されることもありません。

 

3,障害年金のデメリットに関するよくある誤解

上記の3つのデメリット以外に障害年金受給のデメリットはありません。

障害年金の受給によって、再就職に不利になったり、会社に受給を知られたり、免許が停止されたりすることはありません。

以下では、障害年金の受給によるデメリットに関連してよくご質問いただく点をご説明していきたいと思います。

 

(1)再就職で不利になることはない。

まず、現在、体調が悪く無職の場合、障害年金を受給することで再就職に不利にならないか気にされる人が多いです。

しかし、結論から言うと、障害年金を受給することで再就職に不利になることはありません。

その理由は、あなたが無職の期間中に障害年金をもらっていたとしても、その事実は、あなたのプライバシーにかかわる情報として完全に保護されているからです。再就職先の会社が、あなたが無職の期間中に障害年金を受給していたことを知る可能性はありません。

 

(2)勤務先に知られることはない。

もし、あなたが現在も会社で勤務している場合は、障害年金を受給していることが勤務先に知られないか気になることもあると思います。

しかし、結論から言うと、あなたが勤務中であっても、障害年金を受給していることを勤務先が知ることはありません。

これについては、「年末調整」、「健康診断」、「社会保険」の3つの観点から見ていきましょう。

 

1,「年末調整」で障害年金受給が知られることはない。

障害年金は全額非課税なのであなたの所得税に関係しません。

そのため、年末調整の時に会社に障害年金の受給を知られることはありません。

 

 

2,「健康診断」で障害年金受給が知られることはない。

健康診断をきっかけに会社に障害年金をもらっていることを知られることもありません。

健康診断結果にあなたが障害年金を受給していることが記載されるわけではないためです。

 

3,「社会保険」の手続きで障害年金受給が知られることはない。

最後に、社会保険についても、障害年金の受給はあなたの社会保険に特に影響しません。

社会保険の手続きをきっかけにあなたが障害年金を受給していることを会社に知られることはありません。

 

(3)生命保険や医療保険で不利にはならない。

障害年金を受給することで生命保険や医療保険で不利になることもありません。

これについては、「生命保険や医療保険にこれから入ろうとする場合」と、「すでに生命保険や医療保険に入っている場合」にわけてご説明したいと思います。

 

1,保険の加入に不利になることはない。

まず、生命保険や医療保険にこれから入ろうとする場面では、「告知事項」といって、現在の健康状態や過去5年間の健康状態を保険会社に申告しなければならないことが通常です。

そして、例えば継続的に治療が必要な病気がある場合、これを申告した結果、保険会社に保険の加入を断られるケースがあります。

しかし、このことは、あなたが現在、継続的な治療が必要であることによるもので、障害年金をもらっているかどうかとは関係がありません。

あなたが障害年金をもらっていること自体によって、保険に加入できるかどうかに違いがでるわけではありません。

 

2,保険を解約されたり、更新できなくなることはない。

次に、あなたがすでに生命保険や医療保険に入っている場合、障害年金をもらったことがきっかけで、保険を解約されたり、更新できなくなったりしないのかが心配になることもあると思います。

しかし、結論から言うと、あなたが障害年金をもらったことがきっかけで、保険を解約されることはありませんし、保険を更新できなくなることもありません。

生命保険や医療保険は、基本的に加入時に健康体であることを前提とする制度ですが、いったん加入した後は、病気になっても、解約されたり更新ができなくなったりということがない制度となっています。

 

(4)運転免許が停止されることはない。

障害年金を受給することで運転免許が停止されないかというご質問もよくいただきます。

この点についても、結論から言うと、障害年金を受給することで、運転免許に影響を及ぼすことはありません。

現在の法律では、統合失調症やてんかんなどの病気があり運転に支障を及ぼすおそれがある人については、その症状の程度にもよりますが、運転免許を停止する制度が導入されています。

しかし、この制度は、障害年金を受給しているかどうかにかかわらず、病気で運転に支障がある人について、運転免許が停止される制度になっています。

障害年金を受給しているかどうかが運転免許に影響することはありません。

 

(5)あなたが偏見の対象になることはない。

もしかすると、障害年金を受給することで、あなたが不合理な偏見の対象にならないかも心配になるかもしれません。

しかし、障害年金を受給しているかどうかは、重要なプライバシーにかかわる情報として完全に保護されています。

そのため、あなたが伝えなければ、あなたの友人や勤務先にあなたが障害年金をもらっていることを知られることはありません。

 

4,障害年金を受給するメリット

最後に、障害年金を受給するメリットについても簡単にご紹介しておきたいと思います。

 

(1)年金の受給であなたもあなたの家族も安心できる。

まず、年金を受給できるという金銭的なメリットがあります。

具体的な障害年金の受給額は等級や家族の有無、厚生年金の納付状況などによって変わってきます。

最新の統計では、受給者の平均額は以下の通りです。

 

  • 障害厚生年金1級:平均月額153,752円
  • 障害厚生年金2級:平均月額118,738円
  • 障害厚生年金3級:平均月額61,530円
  • 障害基礎年金1級:平均月額82,016円
  • 障害基礎年金2級:平均月額66,358円

 

 

このように、最も対象者が多い2級に該当する場合、厚生年金なら毎月「約12万円」、基礎年金なら毎月「約6万円」から「7万円」が平均の受給額です。

年金を受給することにより、経済的に助かるという面はもちろん、あなたの現在の状況について国の制度で認めてもらう安心感も得られることも、障害年金のメリットになります。

 

(2)うつ病や統合失調症が良くなるケースもある

うつ病や統合失調症の方の中には、金銭的な不安が病気の一因になっているケースがあるようです。

筆者の経験上、障害年金をもらって、金銭的な不安が少し解消されたことにより、うつ病や統合失調症が快方にむかったというご報告をいただいたケースがありました。

 

(3)障害者手帳を申請すれば年金の受給以外のメリットも!

あなたが障害者手帳を申請すれば、税金の優遇や、医療費の助成、公共交通機関の割引などさまざまなメリットを受けることができます。

この障害者手帳は、障害年金とは別に申請が必要ですが、障害年金を受給できるケースでは障害者手帳も取得できることがほとんどですので、申請しておかれることをおすすめします。

障害者手帳について詳しくは以下の記事も参考にご覧ください。

 

 

5,まとめ

今回は、障害年金を申請することによるデメリットについてご説明しました。

ご説明した通り、障害年金の申請にはデメリットはごく一部のケースを除いてありません。

障害年金の受給はメリットが大きく、あなたの生活と気持ちの安定にもきっと役立ちます。

ぜひ早めに申請しておきましょう。

 

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この記事では、障害年金の申請に関して「障害年金の受給で生じるデメリットとメリット」について解説いたしました。

障害年金は申請したほうがよいことはご理解いただけたかと思いますが、その際に必要な知識などお役立ち情報を以下でご紹介しておきますので、あわせてご覧ください。

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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