障害厚生年金(厚生年金の障害年金)のわかりやすいまとめ

年金手帳 電卓

障害厚生年金(厚生年金の障害年金)は、病気やけがで働けない人や仕事に支障がある人を支える年金制度です。

対象者には毎月5万円台から、多い場合は15万円以上のお金が国から支給されます。
この記事では、厚生年金の障害年金について、制度の内容やもらえる金額、受給に必要な3つの条件などを
わかりやすく解説します。

まだ障害厚生年金(厚生年金の障害年金)の申請をしていない場合は、ぜひこの記事で内容を確認し、申請できるか確認してみましょう。

 

1 初診日に厚生年金に加入していたときは障害厚生年金が受け取れる。

障害年金には厚生年金の障害年金(障害厚生年金)国民年金の障害年金(障害基礎年金)があります。

初診日(障害年金を申請する病気やけがで初めて通院した日)にあなたが会社員で厚生年金に加入していた場合は、あなたは障害厚生年金の対象です。

一方、初診日にあなたが学生、自営業者、主婦、無職、未成年だった場合は、あなたは国民年金の障害年金の対象になります。

国民年金の障害年金については、以下で詳しく解説していますのでこちらをご参照ください。

国民年金の障害年金について
国民年金の障害年金制度の内容、対象者、もらえる金額のまとめ

障害厚生年金は、もらえる金額や受給のための条件の面で、障害基礎年金よりも優遇されています。
以下で詳しく見ていきましょう。

 

2 障害厚生年金はあらゆる病気やけがが対象。

厚生年金の障害年金は、病気やけがで働けない人、あるいは働くことに制限がある人に支給される年金です。

あらゆる病気やけがによる障害が対象になります。
例をあげると以下のとおりですが、この例以外にも多くの病気やけがで厚生年金の障害年金が支給されています。

精神疾患 うつ病、統合失調症、発達障害、高次脳機能障害など
身体障害 目、耳、言語、手足、体幹機能などの障害
内臓疾患 呼吸不全、喘息、心臓病、腎不全、ペースメーカー装着、人工透析施行、がんなど

原則として、20歳から64歳までの人が申請することができる制度になっており、65歳未満の現役世代にも支給される年金です。

 

3 もらえる金額は毎月5万円台から多い場合は15万円以上。

厚生年金の障害年金で受給者がもらえる金額は毎月5万円台から、多い場合は毎月15万円以上になります。

このように受給者によって金額に幅がありますが、これは、厚生年金の障害年金でもらえる金額は、以下の3つの要素によって決まるためです。

要素1:障害の重さ
要素2:厚生年金の納付状況
要素3:配偶者や子の有無

以下で順番に見ていきましょう。

 

3-1 障害が重いほど支給額は多くなる。

障害年金の受給額は障害の重さによって違ってきます。
障害の重さは重い順から1級、2級、3級に区別され、もらえる金額も1級が一番多いです。

 

3-2 過去の厚生年金の納付額が多ければ支給額が増える。

厚生年金の障害年金は、過去の厚生年金の納付額が多ければ多いほど、障害年金が多く支給される制度になっています。

具体的には、初診日から数えて1年6か月後の日(「障害認定日」といいます)までの厚生年金納付額が、厚生障害年金の支給額に反映されることが原則です。

会社員の時の給与が高ければ高いほど、また、厚生年金に加入してから障害認定日までの期間が長ければ長いほど、厚生年金を多く納めているはずですから、その分、障害厚生年金を多くもらうことができます。

 

3-3 請求者に配偶者や子がいれば加算される。

厚生年金の障害年金の受給額を決める3つ目の要素は配偶者や子の有無です。

請求者に配偶者がいる場合や、18歳未満の子供がいる場合は、通常の受給額にプラスして加算を受けることができる制度になっています。
加算金額は以下の通りです。

配偶者の加算 年間224300
子の加算(1人目・2人目まで) 年間224300円(1人あたり)
子の加算 年間74800円(1人あたり)

ただし、加算が受けられるのは、あなたが1級または2級の認定を受けたときに限られ、3級のときは加算を受けることができません。
配偶者の加算、子の加算については、以下で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

配偶者の加算について
障害年金の配偶者加算の条件、対象者・支給額・必要書類を徹底解説!

子の加算について
徹底解説!障害年金の子の加算の対象者、支給額、必要書類について

 

3-4 等級ごとの平均額と最低保証額について

前述のとおり、支給額は3つの要素で決まりますので、実際に支給される厚生年金の障害年金の額は人によって異なりますが、平均額と最低保証額は以下の通りです。

平均額 最低保証額
障害厚生年金1 月額153,752 月額74,932
障害厚生年金2 月額118,738 月額64,941
障害厚生年金3 月額61,530 月額48,708

このように1級では15万円程度、2級では12万円程度、3級では6万円程度の支給額になっている人が多くなっています。

 

4 受給するためには3つの条件を満たすことが必要。

厚生年金の障害年金を受給するためには以下の3つの条件を満たすことが必要です。

条件1原則として20歳から64歳までの人が申請可能
条件2初診日の時点の年金の納付状況に問題がないことが必要
条件3障害で働けないか、働くのに支障がある状態であることが必要

以下で順番にご説明していきたいと思います。

 

4-1 条件1:申請時に20歳から64歳までであること

厚生年金の障害年金を受給するためには、あなたが20歳以上でかつ65歳の誕生日の前々日までの間に障害年金の申請をすることが必要です。

ただし、例外的に以下のケースでは65歳以上であっても請求が可能です。

ケース1:初診日が65歳未満で、初診日から1年6か月の時点で障害の状態にある場合
ケース2:初診日が65歳以上でも、その初診日のときに厚生年金の加入者だった場合

 

4-2 条件2:年金の納付状況に問題がないこと

障害年金の受給のための2つ目の条件として、初診日の時点で年金の納付状況に大きな問題がないことが必要です。

これは、障害年金の制度は、「健康な時期に適切に年金を納付していた人にだけ支給する」という考え方の制度であることに基づく条件になります。

具体的には下記の2つのうちどちらかにあたれば、問題ありません。

(1)初診日の年齢が65歳未満で、かつ初診日のある月の前々月からさかのぼって1年間の間に年金の未納がない場合

(2)20歳から初診日のある前々月までの期間のうち、年金の未納期間が3分の1未満の場合

 

4-3 条件3:働けないか、働くのに支障があること

障害年金の受給のための3つ目の条件として、障害で働けないか、働くのに支障がある状態であることが必要です。
具体的な、基準は、以下で定められています。

厚生年金・国民年金保険障害認定基準

病気やけがごとに細かい基準が定められていますが、ポイントとして以下の3点をおさえておいてください。

 

ポイント1:障害厚生年金は3級以上から受給できる。

障害年金の制度では、障害の程度を1級、2級、3級に分類しています。

そして、国民年金の障害年金は2級以上に該当しなければもらえませんが、厚生年金の障害年金はより軽い3級以上からもらえます。

 

ポイント2:障害者手帳の等級は無関係。

障害年金の等級制度と障害者手帳の等級制度は無関係です。

そのため、例えば、障害者手帳が4級でも、障害年金では3級になり、厚生年金の障害年金がもらえるということはよくあります。
障害年金の等級制度と障害者手帳の等級制度の違いについては以下の記事もあわせてご参照ください。

障害者手帳と障害年金の等級の違い
障害者手帳と障害年金の等級の違いと障害年金申請に必要な4つの条件

 

ポイント3:働いていても受給できる。

あなたが現在働いていても、前述の厚生年金・国民年金保険障害認定基準に該当する可能性は十分あり、その場合は、障害厚生年金の受給が可能です。

実際にも、障害厚生年金の受給者のうち11.2%がフルタイムの仕事についていますし、パートなどの仕事を含めれば、28.9%が何らかの仕事についています(平成26年政府統計)。

 

等級のおおまかな目安について

以上の3つがポイントですが、大まかにどのくらいの病状であれば何級になるのについては、以下の表を参考にしてみてください。

障害の部位 1級 2級 3級
精神疾患 うつ病、統合失調症などにより、身の回りのこともほとんどできないため、常に介助が必要な状態 うつ病、統合失調症などで1人では十分な食事や適切な入浴ができない状態 単純な日常生活はできるが、食事、入浴、買い物、通院、他人との意思伝達、緊急時の対応、銀行での入出金などの場面において、援助が必要になることがある状態
眼の障害 両眼の矯正視力の和が0.04以下の場合 ・両眼の矯正視力の和が0.08以下の場合
・両眼の視野がそれぞれ5度以内の場合
両眼の視力が両眼とも0.1以下の場合
聴覚の障害 両耳の聴力レベルが100デシベル以上の場合 両耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合 両耳の聴力レベルが70デシベル以上の場合
両耳の聴力レベルが50デシベル以上でかつ、最良語音明瞭度が50パーセント以下の場合
上肢の障害 ・両腕が全く使えない状態の場合
・両手の指がすべてない場合
・片腕が全く使えない状態の場合
・片手の指がすべてない場合
片腕の3大関節(肩、肘、手首)のうち2つ以上の関節について動く範囲(可動域)が2分の1以下に制限されている場合
下肢の障害 ・両脚が全く使えない状態の場合
・両脚の足首より下がない場合
・片脚が全く使えない状態の場合
・片脚の足首より下がない場合
片脚の3大関節(股関節、膝、足首)のうち2つ以上の関節について動く範囲(可動域)が2分の1以下に制限されている場合
心臓疾患 心臓疾患により身の回りのこともできず常に介助が必要で、ベッドの周りで過ごしている場合 ・CRT、CRT-Dを装着している場合
・心臓疾患により軽労働もできない状態の場合
・心臓ペースメーカー、ICD、人工弁を装着している場合
・心臓疾患により軽い家事や事務などはできるが肉体労働が制限される場合
腎疾患 腎疾患により身の回りのこともできず常に介助が必要で、ベッドの周りで過ごしている場合 ・人工透析を施行している場合
・腎臓疾患により軽労働もできない状態の場合
腎疾患により軽い家事や事務などはできるが肉体労働が制限される場合

 

5 初診日から1年6か月たてばすぐに請求するのがベスト!

厚生年金の障害年金を受給するための3つの条件を満たす場合、原則として、初診日から1年6か月たてば請求できるようになります。

そのため、初診日から1年6か月たてばすぐに請求するのがベストです。
障害年金では初診日から1年6か月後の日を障害認定日といいますが、この障害認定日から1年以内に請求すると最も簡単な方法で請求できます。

なお、すでに障害年金の申請をしないまま、障害認定日から1年を過ぎてしまっているケースでも、「遡及請求」という方法で、過去の分をさかのぼってもらうことができる場合があります。
これについては、以下で詳しく説明していますのでご参照ください。

障害年金の遡及請求を可能にするためにクリアすべき3つのポイント

ただし、いつでも「遡及請求」ができるわけではないので、請求は先延ばしにせず、初診日から1年6か月たった時点ですぐに請求しておきましょう。

 

6 まとめ

今回は、厚生年金の障害年金について、制度の内容、もらえる金額、申請のために必要な3つの条件をご説明しました。

もし、対象になる場合は、必ず申請の手続きをしておきましょう。
きっと障害年金はあなたの生活の助けになるはずです。