障害者手帳なしでも申請可能!障害年金の制度について解説します

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障害者の生活を支えてくれる制度のひとつに「障害者手帳」と「障害年金」があります。

障害者が様々な福祉制度を利用する際、障害者手帳の所持や一定の等級が条件になっていることも少なくありません。
そのため、障害年金を受給するためにも、障害者手帳が必要なのではないかとお考えの方も多いのではないでしょうか。

実は障害者手帳と障害年金は全くの別制度のため、障害者手帳を持っていなくても障害年金を受給することは可能です!

この記事を読めば、障害者手帳と障害年金の関係、そして自分が障害年金の制度や申請方法についてわかるはずです。

 

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1 障害者手帳を持っていなくても障害年金を受給できる

障害者の福祉制度と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは「障害者手帳」ではないでしょうか。

実際、行政が実施している様々な助成制度や福祉サービスを受けるために障害者手帳を持っていることが条件になっていることも少なくありません。

そのため、障害年金も障害者手帳を持っていないと申請できないのではないかとご不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、結論から言うと、障害年金は障害者手帳を持っていなくても申請できます。

障害年金を受給するために「障害者手帳を持っていること」や「障害者手帳で〇級以上に認定されていること」という条件はありません。

 


1-1 障害者手帳と障害年金は別制度

まず前提として知っておいていただきたいのは、障害者手帳と障害年金が全く別の制度であることです。

障害者手帳は地方自治体毎に審査を行い発行するものであるのに対し、障害年金は日本年金機構が審査を行い支給するものです。

それぞれの制度が別の基準で判定されており、その審査項目も障害者手帳と障害年金では異なっています。

そのため、障害者手帳を持っているからと言って障害年金を受給できるわけではなく、また、障害者手帳を持っていないからといって障害年金が支給されないということもありません。

では実際、どの程度の症状であれば障害年金が受給できるのでしょうか。

ここからは実際に障害年金を請求するためにどうすればいいのか、どのくらいの程度であれば障害年金が受給できるのか、障害年金の手続き方法や認定基準についてご説明します。

 


2 障害年金を受給するための2つの条件

障害年金は誰でも受給できるものではなく、日本年金機構の定める条件を満たしている必要があります。
条件についてお話しする前に、まず、障害年金の制度について簡単にご説明します。

障害年金とは・・・?
(原則として20歳から64歳までの方が対象で、病気やケガのために初めて病院を受診した日から1年6ヶ月経過した日(一部例外あり)から受給することができます。
障害年金には初診日に加入していた年金制度に応じて2つの種類があります。

 

障害基礎年金 <対象>
〇病気やケガのために初めて病院を受診した日の加入年金制度が国民年金の方
・自営業、アルバイト、学生、第3号被保険者等
・20歳より前に初診日があり年金に加入していなかった方(先天性疾患等)
障害厚生年金 <対象>
・初診日に厚生年金に加入していた方
※20歳より前でも厚生年金に加入していれば障害厚生年金の対象です。

障害基礎年金では日本年金機構の定める障害等級1級又は2級に認定された方に、障害厚生年金では1級から3級に認定された方に障害年金が支給されます。

 

以上が、障害年金の制度の概要です。

そして、実際に障害年金を受給するためには、日本年金機構の定める以下の2つの条件を満たしている必要があります。

(1)病気や怪我のために初めて病院を受診した日までに一定の保険料を納めていること
(保険料の納付要件)
(2)障害の程度が障害年金認定基準の定める等級に該当する程度であること
(障害の程度要件)

以下で詳しくご説明します。

 

2-1 病気や怪我のために初めて病院を受診した日までに一定の保険料を納めていること

1つ目の条件は、病気や怪我のために初めて病院を受診した日(初診日といいます)までに、一定の保険料を納めていることです。

障害年金は無条件に受けられるものではなく、医療保険や生命保険等と同じように月々の保険料を支払うことによって、受けとることができるものです。そのため、保険料を納めていない方は障害年金を受給することができません。

ただし、20歳よりも前に初診日がある方については、そもそも年金制度に加入できないため、納付要件は問われません。保険料を納めていなくても障害年金を受給することができます。
(ただし、20歳より前に働き始めて厚生年金に加入している場合は、納付要件が問われます。)

障害年金を受け取るためには、次の2つのうち、どちらかを満たしている必要があります。

 

初診日の前日において3分の2以上の保険料を納付している

1つ目は、初診日の前日において、20歳に達した月から初診日がある月の前々月までの年金加入期間において、保険料を3分の2以上納めていることです。

保険料の免除期間や学生納付期間、納付猶予期間は納付と同じ扱いになります。また、20歳前に厚生年金に加入している場合はその期間も含めて計算します。

 

初診日の前日において直近1年間に未納がない

もう1つは、初診日の前日において、初診日がある月の前々日までの過去1年間に年金保険料の未納がないことです。保険料の免除期間や学生納付期間、納付猶予期間は納付と同じ扱いになります。

以上が、1つ目の条件である保険料の納付要件です。

免除や納付猶予を受けていた期間も納付と同じ扱いになりますが、1点、注意が必要な点があります。
それは、初診日以降に免除や猶予の申請をしたものについては納付扱いにならないということです。
免除や猶予の申請は過去にさかのぼって行うことができますが、納付要件の確認については、あくまでも初診日の前日時点での納付状況で確認されるため、初診日以降に免除や猶予の申請をしても、残念ながら納付扱いにはなりません。

 

2-2 障害の程度が障害年金認定基準の定める等級に該当する程度であること

2つ目の条件は、障害の状態が日本年金機構の定める障害年金の等級に該当する程度であることです。これを障害の程度の要件といいます。

障害年金では、障害の程度に応じて1級から3級までの等級が定められています。

2章冒頭の「障害年金とは…」でご説明したとおり、初診日に厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金、国民年金に加入していた場合には障害基礎年金の対象になります。

障害厚生年金では1級から3級のいずれかに該当した場合、障害基礎年金では1級または2級のどちらかに該当した場合に障害年金が支給されます。

障害基礎年金の対象の方の場合は、3級に該当したとしても障害年金は支給されません。

では実際、どのくらいの程度であれば等級に該当するのでしょうか。
ここからは、障害年金のそれぞれの等級に該当する症状の程度についてご説明します。

 

それぞれの等級に該当する症状の程度

障害年金では、「このくらいの障害の程度であれば〇級相当」と基準が決まっています。これを障害年金の認定基準と言います。
認定基準によると、各等級に相当する障害の状態は以下のように定められています。

等級 障害の程度
1級 一人では日常生活を送ることが不可能な状態
(例)・遷延性植物状態であるもの
   ・心臓移植を受けたもの
   ・人工心臓を装着したもの
2級 日常生活が著しい制限を受けている状態
(例)・人工透析療法を施行中のもの
   ・CRT、CRT-Dを装着したもの
3級 労働が制限を受けている状態
(例)・24時間在宅酸素療法を施行しているもの
   ・ペースメーカー、ICD、人工弁を装着したもの

おおまかにいえば、常に誰かの援助がなければ日常生活がおくれない方が1級、日常生活に支障が出ている方が2級、労働に支障が出ている方が3級です。

ただし、これだけでは具体的にどのような症状であれば日常生活に支障が出ているといえるのかが、あいまいなため、それぞれの傷病毎にそれぞれの等級に該当する症状の程度について検査結果について細かく規定されています。
ご自身の症状が障害等級に該当するか詳しく知りたい方は、日本年金機構が発行している『障害認定基準』もご参照ください。

『国民年金・厚生年金保険 障害認定基準』(日本年金機構作成)

障害認定基準は複雑な言葉で書かれているので、なかなか理解するのは難しいかもしれません。
当サイトでは様々な傷病について認定基準を詳しく解説した記事を公開していますので、こちらの記事も参考にしてください。

知的障害で障害年金を申請する場合
うつ病で障害年金を申請する場合
脳梗塞で障害年金を申請する場合
がんで障害年金を申請する場合
人工透析で障害年金を申請する場合

さて、ここまでどのような方が障害年金の対象になるのかをご説明しました。
ご自身が障害年金の対象になりそうな方は、手帳を持っていなくても障害年金を申請することをおすすめします。
ここからは実際に障害年金を受給するための申請方法をご説明します。

 


3 障害年金の申請方法

実際に障害年金申請までの流れを7つのステップに分けて簡単にご説明します。

それぞれの手順についてご説明します。

 

3-1 初診日を調べる

障害年金の申請にあたって重要になるのが初診日です。初診日とは、病気やケガのために初めて医療機関を受診した日のことで、障害年金では初診日に加入していた年金制度によって受給できる年金が変わります。

また、2-2でご説明した通り、障害年金を受給するためには、初診日までに一定の保険料を納めている必要があります。加入年金制度や保険料の納付要件を満たしているかを確認するために、まずは初診日を明らかにする必要があるのです。

まずは自分が病気やけがのために初めて病院を受診したのがいつだったかを確認しましょう。

 

3-2 保険料の納付要件を調べる

2-2でご説明した通り、障害年金を受給するための条件として、保険料の納付要件があります。

保険料の納付要件を満たさない限りは、残念ながらどれだけ障害の程度が重くても障害年金が受給できないのが現状です。

納付要件を満たしているかどうかは、年金事務所で調べてもらうことができます。

必要書類を揃えて申請をしてから納付要件を満たしていないことがわかると、せっかく取り付けた書類もムダになってしまうので、初診日がわかったら自分が納付要件を満たしているかを確認しましょう。

 

3-3 初診日の証明書類を取り付ける

納付要件を満たしていることがわかったら、初診日の証明書類を準備しましょう。

2-1でご説明したとおり、障害年金の申請にあたっては初診日が重要になるため、初診日がいつであるかを証明する書類を提出する必要があります。

代表的なものが「受診状況等証明書」という書類です。これは病気やケガのために初めて受診した病院(初診病院)で書いてもらう書類です。

ただし、初診病院と診断書を書いてもらう病院が同一である場合は初診日の証明は不要です。

初診病院でカルテの廃棄、廃院等の事情で受診状況等証明書の作成ができない場合は、初診日や通院時期が特定できる資料を探す必要があります。

初診日の証明について詳しくはこちらの記事もご参照ください。
『障害年金の申請に必須!初診日証明の方法と書類の確認ポイントを解説』

 

3-4 診断書の作成を依頼する

初診日の証明書類が準備できたら、次は診断書の作成を医師に依頼します。

初診日の証明書類と同時進行で取り付けてもよいのですが、請求方法によっては診断書は障害年金の申請書類を提出する日から3ヶ月以内のものと決まっているため、初診日の証明書類の取り付けに時間がかかってしまった場合、診断書の有効期限が切れてしまうことがあります。

そのため、初診日の証明書類が準備できてから診断書を作成してもらうことをおすすめします。

診断書は障害年金の申請において最も重要であるといっても過言ではない書類です。

障害年金は書類審査であり、審査官と一度も面談することなく提出した書類の内容ですべてが決まってしまいます。

どんなに症状が重くても、日常生活に支障が出ていても、提出した書類でそれが伝わらなければ不支給になってしまうこともありえるのです。

だからこそ、診断書にきちんと自分の症状や治療内容等について記載されていることが重要になります。

8種類あり、傷病や症状が出ている部位によってどの診断書を使用するかは異なります。

診断書 主な傷病
精神の障害 うつ病、双極性感情障害、統合失調症、知的障害(精神遅滞)、発達障害(広汎性発達障害、ADHD等)、てんかん、高次脳機能障害、認知症等
肢体の障害 肢体麻痺、肢体切断、変形性股関節症(人工関節)、脊柱管狭窄症、糖尿病性壊疽等
腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害 慢性腎不全(人工透析)、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、肝硬変、肝がん、糖尿病等
循環器疾患 狭心症、心筋梗塞、弁閉鎖不全症(人工弁)、ペースメーカー・ICD、CRT-D等装着、難治性不整脈等
呼吸器疾患 肺結核、気管支喘息、間質性肺炎、慢性呼吸不全を伴う疾患等
眼の障害 網膜色素変性症、緑内障、網膜剥離、糖尿病性網膜症等
聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害 メニエール病、難聴、鼻の欠損、平衡機能障害、歯の欠損・補綴、失語症、喉頭摘出等
血液・造血器・その他の障害 がん、HIV、排泄機能障害(人工肛門、自己導尿)等

 

3-5 病歴・就労状況等申立書を作成する

診断書と並んで重要な書類が病歴・就労状況等申立書です。

病歴・就労状況等申立書とは、発症から現在までの日常生活状況や就労状況を記載するもので、診断書のように医師に書いてもらうものではなく障害年金の請求者が自分で作成するものです。

どう書いていいのかわからない、何を書けばいいのかわからないと簡単に書いてしまう方もいますが、病歴・就労状況等申立書は日常生活にどのような支障がでているか、どんなことに困っているかを自分で伝えることができる唯一の書類です。

診断書では伝えきれない日常生活状況を伝えることのできる重要な書類なので、ポイントをおさえてしっかり記載することが重要です。

 

3-6 その他の必要書類を用意する

次に、申請に必要な書類を集めましょう。主な必要書類をご紹介します。

ただ、障害年金の必要書類は請求方法、加算対象者の有無、他の公的年金の受給の有無等、個々の方の状況によって異なります。

そのため、以下でご説明する書類が必要な書類のすべてとは限りません。

〇年金請求書
〇受診状況等証明書(または初診日を証明できる資料)
〇診断書
〇病歴・就労状況等申立書
〇年金手帳
〇戸籍抄本(住民票でも可)
〇銀行口座の通帳若しくはキャッシュカードの写し

個々の状況によってはこの他に書類が必要になることがあるので、一度年金事務所へ確認することをおすすめします。

 

3-7 提出する

書類がそろったらあとは提出するだけです。
提出先は以下の通りです。郵送でも提出することができます。

初診日に国民年金に加入していた方
(障害基礎年金の請求)
(1)市町村役場の年金担当窓口
(2)年金事務所
初診日に厚生年金に加入していた方
(障害厚生年金の請求)
(1)年金事務所
初診日に第三号被保険者だった方
(厚生年金加入者の配偶者だった方)
(1)年金事務所
初診日に共済組合に加入していた方
(障害共済年金の請求)
(1)共済組合の年金担当窓口

提出したら、後は結果が出るのを待ちます。審査期間は障害基礎年金の請求であれば申請からおよそ3ヶ月、障害厚生年金の請求であれば申請からおよそ3ヶ月半です。審査の状況によってはこれ以上の時間がかかる場合があります。

申請方法や必要書類については以下の記事も参考にしてみてください。
これなら私もできるかも!?障害年金の申請手続き7つのステップ

 


4 障害者手帳も取得することをおすすめします

ここまでご説明したとおり、障害年金の受給に障害者手帳は必須ではありません。

障害年金だけ受給して障害者手帳は申請しなくてもいいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、障害者手帳を持っていることで行政の実施する様々な福祉サービスを受けることができたり、医療費などの助成制度を受けることができる場合があります。

障害の程度や種類、自治体によって受けることができるサービスは異なりますが、下記のようなものがあります。

・所得税、住民税等の各種税金の控除
・各種公共交通機関の運賃割引
・各種公共施設(博物館、美術館、映画館)の利用料の割引
・携帯電話料金など、通信費の割引

障害年金は障害者手帳がなくても受給できますが、行政が実施する助成制度や福祉制度の中には障害者手帳を持っていなければ受けられないものもあります。

また、障害者手帳は障害年金よりも対象者が幅広く、症状が比較的軽度であっても対象になることもあるので、障害年金の対象にならない方であっても障害者手帳の対象にはなるかもしれません。

障害者の生活を支える制度を利用するため、障害者手帳の取得もおすすめします。

 


5 まとめ

今回は障害者手帳と障害年金の関係について解説しました。
障害者手帳と障害年金は全く別の制度であり、障害者手帳を持っていなくても障害年金は受給することができます。

この記事を読んで、ご自身が障害年金を受給できるかもと思った方は、申請手続きを行うことをおすすめします。

自分で申請できるか不安な方や、体調が優れないので自分で何度も年金事務所へ行くのは辛い、という方は、障害年金の申請を専門とする弁護士や社労士に相談するのもひとつの方法です。

障害年金は1級に認定されれば、少なくとも年間97万4125円、2級に認定されれば少なくとも年間77万9300円が支給されます。

障害年金は障害者の生活の大きな支えになるはずです。
この記事が皆さんの障害年金申請のお役に立てば幸いです。