脳梗塞で障害年金を受給できる基準と書類作成の3つの要点

パソコン ひらめく男性

脳梗塞を起こした方の約6割になんらかの後遺症が残ると言われていますが、後遺症が残ったために日常生活や仕事に支障が出るようになってしまったときに障害年金を申請することができるってご存知でしたか?

この記事では、脳梗塞の後遺症で障害年金を申請するにあたって一番重要になる、診断書の作成方法など、ご紹介したいと思います。

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1 脳梗塞の後遺症で障害年金を申請することができる

障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事が制限されるようになった場合に受給できる年金です。したがって、脳梗塞の後遺症で日常生活や仕事に支障がでている場合でも、障害年金を申請することができます。

まず簡単に障害年金の制度についてご説明します。

 

1-1 障害年金とは

障害年金とは、病気やけがなどによって、仕事や生活に困っている方が受けることができる年金の一つです。日本年金機構が認定し支給している国の制度で、年金の納付要件と障害状態の程度といった受給できる条件を満たしていれば、受け取ることができます。原則、20歳から65歳になる前々日までに申請しなければならないという年齢制限がありますのでご注意ください。

 

各等級と受給できる金額

等級は1~3級がありますが、初診日(脳梗塞の症状で初めて病院を受診した日)のある月に加入していた制度によって、障害基礎年金か、障害厚生年金かが決まります。
初診日に国民年金に加入していた場合(障害基礎年金):1級もしくは2級
初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金):1級、2級、もしくは3級

各等級で受給できる最低金額は以下の通りです。
1級:年間97万4,125円
2級:年間77万9,300円
3級:年間58万4,500円

上記の金額に、障害基礎年金の場合は18歳になった年度末までの子どもの分
障害厚生年金の場合は18歳になった年度末までの子どもの分と配偶者の分が加算されます。
(これらを障害年金の「子の加算」、「配偶者の加給年金」と呼びます)

 

年金の納付状況によっては受給できない

障害年金がもらえないケースとして、障害状態が年金機構の基準に該当しない場合の他に、年金の納付要件を満たさない場合が挙げられます。

年金の納付要件とは、以下のことを言います。
(1)もしくは(2)に該当しなければ条件を満たしていないので、障害年金を受給することができません。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方、もしくは20歳未満の方で

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

ここにある初診日とは、脳梗塞の症状で初めて病院に行った日のことをいいます。

実際に上記の納付要件を確認するには、いままでの納付記録の確認が必要です。お近くの年金事務所の窓口で確認してもらうことができますので、基礎年金番号がわかるものを持参の上相談に行きましょう。なお、事前に電話で相談予約をしてから行くと、窓口前で待たずにすみますのでご活用ください。

 


2 脳梗塞後遺症の認定基準

脳梗塞の後遺症は体の様々な場所に生じるため、症状がでている箇所ごとに認定基準が違います。実際は診断書の内容から等級が決定されますが、下記に症状ごとの認定基準を記載しましたので、申請する前の目安としてご覧ください。
なお、眼・聴力の障害に関しては認定基準が数値化されているので、主治医と相談してみてください。

 

2-1 身体障害についての基準

片麻痺、半身麻痺による肢体の麻痺や運動障害が出ている場合の基準は以下の通りです。

1級
  • 両腕がまったく動かない状態
  • 両手のすべての指が全く動かないもの、又は全ての指の機能に著しい障害がある状態
  • 両脚が全く動かない状態
2級
  • 眼を閉じた状態で立ち上がり、自力で立った状態を保てない、または目を開けて直線を歩行中に10メートル以内で転倒、あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるをえない程度の状態
  • 両手の親指及び人差し指または中指の機能に著しい障害を有する状態
  • 左右どちらかの腕がほとんど動かせない状態
  • 左右どちらかの腕のすべての指がほとんど動かせない状態
  • 左右どちらかの脚がほとんど動かせない状態
3級
  • 眼を閉じた状態で立ち上がり、自力で立った状態を持続させることが不安定で、目を開けて直線を歩行中に多少転倒しそうになったりよろめいたりするが、どうにか10メートル歩き通す程度の状態
  • 左右どちらかの腕の3大関節(肩・肘・手首)のうち、2関節以上動かす事が出来ない状態
  • 左右どちらかの腕の人差し指、中指、薬指、小指がほとんど動かせない状態
  • 左右どちらかの脚の3大関節(股・膝・足首)のうち、2関節以上動かすことができない状態

             (※初診日に厚生年金加入者だった場合のみ該当します)

 

2-2 そしゃく、嚥下(えんげ)障害についての基準

2級
  • 流動食以外は摂取(せっしゅ)できない状態
  • 経口で食事が摂(と)れない状態
  • 経口で食事を摂るのが極めて困難な状態
    (食事が口からこぼれ出るため常に手や器物でそれを防がなければならない、1日の大半を食事に費やさなければならないなど)
3級
  • 経口摂取のみでは十分な栄養がとれないためゾンデ栄養(鼻から胃にカテーテルを通して栄養物を流し込むなど)の併用が必要な状態
  • 全粥または軟菜以外は食べられない状態

             (※初診日に厚生年金加入者だった場合のみ該当します)

 

2-3 言語障害についての基準

構音障害、音声障害、失語症の基準は以下の通りです。

2級
  • 発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しない状態
3級
  • 話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに推論したり、たずねたり、見当をつけるなどで部分的に成立する状態

             (※初診日に厚生年金加入者だった場合のみ該当します)

 

2-4 視力・視野についての基準

1級
  • 両眼の視力の和が0.04以下                 (矯正視力)
2級
  • 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下            (矯正視力)
  • 両眼の視野が5度以内(I/2指標で測定)
  • 両眼の視野が10度以内(I/4指標で測定)で、かつ中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度以下(I/2指標で測定)

 

※視野についてはゴールドマン視野計および自動視野計で計測した数値で認定する。ゴールドマン視野計のI/4の指標での測定が不能の場合は、求心性視野狭窄を有していれば同等のものとして認定する。

3級
  • 両眼の視野が0.1以下に減少した状態             (矯正視力)

             (※初診日に厚生年金加入者だった場合のみ該当します)

※両眼による視野が2分の1以上欠損したもの(同名半盲で両眼の視野の左右のいずれか半分が欠損するもの)は障害手当金に該当します。障害年金の等級には該当しません。(障害手当金の記事へ)

 

2-5 聴力についての基準

1級
  • 両耳の聴力レベルが100デシベル以上       (矯正していない状態で)
2級
  • 両耳の聴力レベルが90デシベル以上
  • 両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、
    最良後音明瞭度が30%以下           (矯正していない状態で)
3級
  • 両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上
  • 両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上で、かつ、
    最良後音明瞭度が50パーセント以下       (矯正していない状態で)

             (※初診日に厚生年金加入者だった場合のみ該当します)

 

2-6 記憶・注意・精神障害についての基準

高次脳機能障害を含む、器質性精神障害の場合の基準は以下の通りです。
高次脳機能障害の主な症状として、失認(空間認知ができず物をつかめない、家族の顔がわからない)、失行(日常的におこなっていた習慣的な行為ができなくない)のほか、記憶障害、注意障害、遂行機能障害(料理など順序のある行為ができない)、社会的行動障害(能力レベルが児童期に後退する、感情のコントロールが突然できなくなる)などが挙げられます。

1級
  • 高度の認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著しく、常に援助が必要な状態
2級
  • 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著しいため、日常生活に大きな制限を受ける状態
3級
  • 認知障害、人格変化は軽度であるが、その他の精神神経症状があり、労働が制限をうける状態
  • 認知障害のため、労働に著しい制限を受ける状態

          (※初診日に厚生年金加入者だった場合のみ該当します)

ちなみに脳梗塞の後遺症で「遷延性意識障害(いわゆる植物状態)」になった場合は、1級に認定されます。初診日から3か月経過しても症状が改善しない場合は障害認定日を待たずに申請できます。診断書は精神疾患用の診断書を使用します。

 


3 書類作成に関する3つの要点

ここからは、実際に申請書類を準備する前に覚えておきたい、申請できる時期や、診断書、病歴・就労状況等証明書を作る際のポイントをご説明します。

 

3-1 初診日から半年経ったら申請を検討する

本来障害年金は初診日から1年6か月経過した日(「障害認定日」と言います。)に初めて請求可能になるのですが、脳梗塞を起因とした障害で申請する場合は、医師がリハビリをおこなってもこれ以上治らないと判断した場合(症状固定)、その日から請求をおこなうことができます。

もし初診日から半年経っているのであれば、医師に症状固定しているかどうか確認しましょう。症状固定していて、日常生活・仕事に支障があるのであればすぐにでも障害年金を申請できます。

 

3-2 診断書について

障害年金を受給できるかどうか、何級になるのか、審査結果を左右するのは「診断書」の内容です。したがって診断書が最も重要な書類になりますので、医師に作成を依頼する前にぜひ下記を参考にしてください。

 

症状に合った診断書を決める

障害年金の診断書は様々です。脳梗塞によってどこに症状が出ているかによって、診断書が決まります。場合によっては2枚の診断書を組み合わせて請求することも可能です。下記を参考に、どの診断書を医師に書いてもらうか決めましょう。

症   状 診   断   書
身体の麻痺、しびれの症状 肢体の障害用
聴覚、そしゃく・嚥下といった食べ物を摂ること、言語障害 聴覚・鼻腔機能・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
失語症 言語機能の障害用精神の障害用
視力、視野などの目に関する症状 眼の障害用
意識障害、いままでできていたことができなくなった等の認知障害 精神の障害用

 

診断書は空白がないように記入してもらう

障害年金の診断書は大きな用紙で、記入欄も非常に多く、そのため医師によっては忙しさのあまり乱雑に記入してしまう場合があります。しかし、特に症状の記載欄に関しては空白ひとつが審査に影響を及ぼすこともあるので、病院から診断書を受け取ったらなるべくその場で確認し、疑問点があれば診断書の窓口や主治医に確認するようにしましょう。

 

【一例】肢体の障害用の診断書について

特に「肢体の障害用」の診断書は記入欄がとても多い上に、それらが重要な判断基準になるため、注意が必要です。診断書を受け取ったら下記を確認してください。※肢体の診断書が不要な方は必要ございません。

  1. 手足の麻痺、ふるえ(しんせん)がある場合、診断書表面にきちんと記載があるか
  2. 手・足指関節が動かしにくい場合、診断書表面に可動域についての記載があるか
  3. 肩・腕・股関節・脚の関節が動かしにくい場合、診断書裏面に可動域についての記載があるか
  4. 診断書裏面の18、19の欄に記載があるか

診断書裏面の18,19は以下の欄を指します。肢体の障害用の診断書を提出する場合はこの欄が一番重要と言っても過言ではありません。もし可能であれば、実際の自分の症状についてご自身で記号を記入したものを、医師に渡して参考にしてもらうと良いです。医師は自身が診断したものとカルテに記載があるものについてしか診断書に記入することができないので、あくまでも「参考にしてもらう」ようにしましょう。

 

日常生活状況や就労状況について医師に伝えておく

診察の際、忙しい主治医と生活や仕事の状況まで話ができている人はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。もし現在の状況について伝えられていないのであれば、必ず医師に伝えましょう。

診断書の裏面、下の方に「日常生活状況や就労状況について」医師が客観的にみて記入する欄があります。必ず書いてもらわなければならない欄なのですが、主治医が認知していなかったばかりに、実際には後遺症で働くことができなくなってしまった請求者の診断書に「労働可能」と書かれてしまうといったケースも少なくありません。

脳梗塞の後遺症によって就労できなくなった、勤務時間などに制限が設けられてしまった、または日常生活状況として1人で外出できなくなった、体調が悪くて半日は寝て過ごしている、など簡単に医師に伝えておきましょう。

 

3-3 病歴・就労状況等申立書について

病歴・就労状況等申立書は、発症から現在に至るまでの病気の状態や、仕事に制限がでていたことなどを申し立てる書類です。発病した時から現在まで3年から5年に区切って記入します。

具体的に書くと長くなると思いますので、下書きをしたほうがよいでしょう。エクセル版の病歴・就労状況等申立書もあるのでご活用ください。

箇条書き、話し言葉など、どのような書き方でも構いませんので、以下の2点に気を付けて記入してください。

  1. 発症後の状況について具体的に記入する
  2. 診断書の記載内容と矛盾がないように記入する

こちらも順に説明していきます。

 

発症後の状況について具体的に記入する

病気を発症してからの自分を客観的にみて記入すると良いでしょう。
提出するまでは何度でも書き直すことができます。下記をご参考ください。

受診していた期間について
  • 発症した時の状況や、どのような状態だったか
  • どのくらいの期間、どのくらいの頻度で何回受診したか
  • 入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか
  • 医師から言われていたこと
    (リハビリの回数を増やすように言われた、杖の購入を薦められた等)
  • 転医や受診を中止した理由
    (引越したため、自覚症状がなかったため等)
  • 日常生活状況
    (どんな症状があってどう困っていたか、具体的に。例:手足のしびれやふるえがあってものが掴めない、足が上がらないので補助なしでは歩けない、意思疎通は筆談でしかできない、文字が書けない、右半分が見えなくて危険、等)
  • 就労状況
    (週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があったり、病気のため仕事に制限があれば記入する。例:毎日リハビリに通わざるを得ず退職した、等)
受診していなかった期間について
  • 受診していなかった理由
    (自覚症状がなかった、経済的に行けなかった等)
  • 自覚症状の程度
    (いつどんな症状がどの程度あったか。例:左手指だけ異常にふるえていた等)
  • 日常生活状況
    (普段通りではなかったことがあれば記入する。例:直前まで話していた内容を忘れる、ものの名前が覚えられなくなった等)
  • 就労状況
    (病気によって仕事に支障がでていたか。例:息切れを起こしやすかったのでしょっちゅう医務室で休んでいた等)

 

診断書の記載内容と矛盾がないように記入する

診断書の「現在までの経過」の欄などと病歴・就労状況等申立書に矛盾があると、障害年金の審査に時間がかかることがあります。病院を受診した順番や入院期間、手術日などは誤りが無いように注意しましょう。

 


4 まとめ

この記事では、脳梗塞の後遺症に関する障害年金の認定基準と、申請書類作成のポイントをご説明いたしました。

記事の中でもご説明しましたが、脳梗塞後遺症で障害年金を申請するには、どの診断書で申請するかが最も重要なポイントです。それをふまえていただいた上で、他の書類でも不備のないように作成して申請しましょう。