障害年金を大腿骨骨頭壊死症でもらうためのポイントと4つの手順

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大腿骨骨頭壊死の症状でも障害年金の対象になるのか、お困りではないですか?

今回は障害年金認定審査の基準をご説明しますので、お読みいただくことであなたが受給対象か簡単に確認することができます!

申請前にまずはこの記事をお読みいただき、ポイントを押さえていきましょう。

 

1 大腿骨骨頭壊死症は障害年金の対象疾患!

大腿骨骨頭壊死症は障害年金の対象疾患です。

実際には、障害年金は症状の程度に対して支給されるものですので、大腿骨骨頭壊死症によって生じている症状の程度によって受給できるかどうか変わります。

また、障害年金を受給するためには症状の程度の他に、年金保険料を一定期間納めているかといった条件もあります。

障害年金とは?

病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。

申請は20歳から65歳になる前々日までに行う必要があります。

日本年金機構が認定し、支給している国の制度で、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。

 

障害年金の等級は1~3級ですが、初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度によって該当する等級が違います。

 

・初診日に国民年金に加入していた、または20歳前に初診日がある場合(障害基礎年金):1級もしくは2級

・初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金):1級、2級、3級、もしくは障害手当金

(共済年金は現在、厚生年金と一元化されています)

 

以下で順にご説明して行きます。

 

1-2 障害年金を受給できる症状の程度

日本年金機構が提示している「認定基準」に該当する症状の程度であることが、障害年金を受給するための1つ目の条件です。

大腿骨骨頭壊死症では、障害年金を受給できるかは「人工骨頭または人工股関節を挿入しているか」によって異なります。

 

人工骨頭・人工股関節を入れている場合

人工骨頭・人工股関節を挿入している場合は障害等級3級に認定されると、認定基準で定められています。

障害厚生年金3級:初診日の前々月までに納めた厚生年金保険料を基に金額が変わります。最低保障として年額58万4500円は受給することができます。

ただし3級は、初診日の時点で厚生年金保険に加入していた方のみに支給されるものです。

初診日時点で国民年金保険に加入していた方、または初診日時点で20歳未満だった方は、2級もしくは1級の障害状態でなければ、障害年金を受給することはできません。

障害等級が2級もしくは1級の障害状態とは、以下のような状態を指します。

1級

両脚の3大関節(股関節・膝関節・足関節)中、それぞれ2関節以上の関節が用をなさないもの

(次のacのいずれかに該当するもの)

(a)日常生活において支障をきたす角度で硬直しているもの
(b)関節の可動域が通常の1/2以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(c)筋力が著しく減少、または消失しているもの

両脚の3大関節中それぞれ1関節が用をなさないだけであっても、その両脚を歩行時に使用できない場合
両脚をくるぶしからつま先まで欠損しているもの
2級 両脚のすべての指を付け根から欠損しているもの

片脚のいずれか2関節以上の関節が用をなさないもの

(次のacのいずれかに該当するもの)

(a)日常生活において支障をきたす角度で硬直しているもの
(b)関節の可動域が通常の1/2以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(c)筋力が著しく減少、または消失しているもの

かみくだいて説明しますと、1級は「両脚の3大関節のうち、それぞれ2つ以上の関節がほとんど動かないもの」、2級は「片脚の3大関節のうち、いずれか2つ以上の関節がほとんど動かないもの」が基準です。

障害厚生年金で2級以上に認定される場合も同じ基準です。

人工骨頭や人工股関節を入れても、その他の足関節で重い症状がみられなければ、2級以上の障害年金を受給することはできません。

 

人工骨頭・人工股関節を入れていない場合

人工骨頭や人工股関節を入れていない状態であれば、「両脚の3大関節のうち、それぞれ2つ以上の関節が動かないもの」は1級、「片脚の3大関節のうち、いずれか2つ以上の関節が動かないもの」は2級に該当します。

また、以下の状態に該当すれば障害厚生年金3級に認定されます。

3級

初診日時点で
厚生年金に
加入していた方
のみ受給可

片脚の3大関節(股関節、膝関節、足関節)のうち1関節が用をなさないだけであっても、その片足を歩行時に使用することができないもの。
片脚の3大関節のうち2関節の可動域が、障害のない脚の可動域の1/2以下に制限されたもの。またはこれと同程度の障害をのこすもの。
片脚をくるぶしからつま先まで欠損しているもの。
長管状骨に人工関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの。
片脚をリスフラン関節(足の甲の関節)以上で失ったもの。
両脚のすべての指の用を廃したもの(次のいずれかに該当するもの)
(a)親指は末節骨(つま先側の骨)の1/2以上、その他の指はDIP関節(第1関節)以上で欠損しているもの
(b)MP関節(指の付け根の関節)またはPIP関節(親指以外の指の第2関節)の可動域が、通常の可動域の1/2以下に制限されたもの
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

人工骨頭・人工股関節を入れていない状態で障害年金2級以上に認定された場合、その後手術を受けて人工骨頭・人工股関節を挿入すると、障害年金の更新の際に3級に等級が下がる可能性があります。

障害基礎年金の場合は3級がありませんので支給停止になります。

 

1-3 年金の納付要件を満たしているか確認する

ここまでで、どの程度の障害であれば障害年金の等級に該当するかについてご説明しました。

しかし障害年金は、障害状態の他に、初診日までの「年金の納付要件(条件)」を満たしていなければなりません。

以下を確認してください。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方、もしくは20歳未満の方で

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則) または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

(1)もしくは(2)に該当しなければ条件を満たしていないので、障害年金を受給することができません。

自分が納付要件を満たしているか分からない場合は、お近くの年金事務所で教えてもらいましょう。

 

2 申請前に確認すべき手順とポイント

1章では、障害年金が受給できる人の条件についてご説明しました。

続いて、障害年金の申請準備にあたって、重要な書類の取り付け方や作成の方法について確認して行きましょう。

 

2-1 初診日を特定する

障害年金の請求には「初診日」が非常に重要です。

初診日とは、大腿骨骨頭壊死症の症状で初めて病院を受診した日を指します。

整骨院や鍼灸院ではなく、あくまでも整形外科などの病院の受診日となります。

障害年金の受給資格や納付状況を確認するために、かならず初診日を証明しなければなりません。

初診日は、症状のため初めて受診した病院で「受診状況等証明書」を記入してもらうことで証明できます。(診断書を書いてもらう病院が初診病院である場合は必要ありません。)

しかしながら初診日が5年以上前にあると、カルテが病院に残っておらず、受診状況等証明書を書いてもらうことができない場合もあります。

このような場合は、病院の診察券や次の病院への紹介状、入院保険等の給付申請時の診断書などの参考資料と一緒に「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を提出しましょう。

この時、参考資料に初診病院の名前、初診日頃の日付の記載があると、初診日の証明が通りやすくなります。

初診日証明について、詳しくは「障害年金の申請に必須!初診日証明の方法と書類の確認ポイントを解説」を参考にして下さい。

 

2-2 障害認定日か手術日のどちらか早い日から請求できる

「障害認定日」とは、通常、初診日から1年6ヶ月経過した日のことを指します。

障害年金の診断書は原則、この日を経過したものでなければいけません。

ただし例外として、人工骨頭や人工股関節の挿入手術をした日が、初診日から1年6ヶ月経過した日よりも前にあれば、その日を障害認定日として請求することができます。

障害認定日か手術日のどちらか早い日から請求できる

障害年金は通常、障害認定日を基準に請求しますので、診断書は障害認定日から3か月以内の症状がかかれたものであることが重要です。

診断書の作成を病院に依頼するときは、障害認定日をご自身で把握して頂いた上で、「障害認定日から3か月以内の症状を書いて欲しい」と依頼しましょう。

この日付を間違えてしまうと、本来さかのぼって請求できるものが、できなくなってしまう場合がありますので注意してください。

 

2-3 診断書作成のポイント

大腿骨骨頭壊死症で障害年金を申請する場合、診断書は「肢体の障害用の診断書(PDF)」を使用します。

診断書を年金事務所に提出する前に、必ず以下の点を確認してください。

記入漏れがないか確認しましょう。
  • 表面中央と裏面上部「障害の状態」の右横(平成〇年〇月○日現症)の欄の日付が
    障害認定日もしくは請求日から3か月以内のものか
  • 裏面「(18)日常生活における動作の障害の程度」
  • 裏面「(19)補助用具使用状況」。補助器具は常時使用か否か
  • 裏面「(21)現症時の日常生活活動能力及び労働能力」
  • 裏面「(22)予後」の欄

また、人工骨頭・人工股関節の挿入の有無によって重要ポイントが変わりますので、以下をご確認ください。

 

人工骨頭や人工股関節を挿入している方

人工骨頭や人工股関節を挿入している方は、診断書表面下部の「(13)人工骨頭・人工関節の装着の状態」欄に必ず装着部位と手術日を記入してもらいましょう。

空白になっていると適正な等級に認定されませんので注意が必要です。

また、診断書の裏面「(16)関節の可動域及び筋力」、「⑱日常生活における動作の程度」、「⑲補助器具使用状況」の欄は空白が無いよう、必ず記入してもらいましょう。

(診断書表面(13)人工骨頭・人工関節の装着の状態欄

(診断書表面(13)人工骨頭・人工関節の装着の状態欄)

 

人工骨頭や人工股関節を挿入していない方

人工骨頭や人工股関節を挿入していない方は、診断書の裏面「(16)関節の可動域及び筋力」、「⑱日常生活における動作の程度」、「⑲補助器具使用状況」の欄は空白が無いよう、必ず記入してもらいましょう。

特に「⑱日常生活における動作の程度」の欄は、補助用具を使用しない状態の動作であるか確認し、そうでない場合は必ず医師に修正を依頼しましょう。

 

2-4 病歴・就労状況等証明書作成のポイント

「病歴・就労状況等申立書」とは、発病したときから現在までの経過を3~5年に区切って申告するための書類です。

受診状況等証明書や診断書と違い、請求者が作成する書類です。

いままでの病状や日常生活、就労状況について請求者が直接申告できる唯一の書類ですので、下記をご参考にして頂き、具体的に記入してください。

受診していた期間について ・どのくらいの期間、どのくらいの頻度で受診したか
・入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか
・医師から言われていたこと
・日常生活状況
(具体的にどんな症状があって、どう困っていたか。)
・就労状況
(週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があれば記入する。障害のために生じている仕事の制限や職場での配慮があれば記入する。)
受診していなかった期間について ・受診していなかった理由
(症状が固定していて病院に行く必要がなかった、経済的に行けなかった等)
・自覚症状の程度
(いつどんな症状がどの程度あったか。)
・日常生活状況
(普段通りではなかったことがあれば記入する。)
・就労状況
(障害によって仕事に支障がでていたか等を記入する。)

 

3 まとめ

今回の記事では、大腿骨骨頭壊死症で障害年金を申請する場合の、3つの受給条件と、申請時に重要な書類・取付けに関する注意点をご説明しました。

記事中でもお伝えしておりましたが、人工骨頭や人工股関節を挿入している場合は、通常の申請よりも早く申請することが可能です。

損をしないようよく確認して、年金事務所に申請してください。

 

患者団体や病院の方へ

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障害年金の制度を患者の方にお伝えいただく目的で使用いただくのであれば、無償で利用していただいて結構です。
ただし、以下のルールを必ず守っていただきますようにお願いいたします。

 

  • 記事は修正しないでそのまま使用してください。
  • 咲くやこの花法律事務所の記事であることは使用の際に明示をお願いいたします。
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  • 患者団体または病院関係者、報道機関以外の方の使用は禁じます。

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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