障害年金は視力障害でももらえる!失敗しないためのポイントを解説

視力
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視力障害は障害年金の受給対象です。眼鏡やコンタクトレンズ、眼底レンズなどでできる限りの矯正した視力で片目の視力が0.1以下、両目の視力が0.6以下であれば、受給できる可能性があります。

また、視野が狭くなるなどの視野障害や、その他の眼の機能障害も障害年金の申請対象です。

今回の記事では、視力障害などの認定基準や眼の障害で障害年金を申請する場合のポイントについて、詳しくご説明していきます。

 

1 視力障害でも障害年金は受給できる!

障害年金は視力の障害も受給対象です。眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正した視力でも日常生活や仕事に支障が出ていれば、申請を検討しましょう。

視力の程度のみに関わらず、視野の障害やまぶたなどの眼の周辺機能に障害がある場合も障害年金を受給対象です。

障害年金とは?

病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。

申請は20歳から65歳になる前々日までに行う必要があります。

日本年金機構が認定し、支給している国の制度で、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。

 

障害年金の等級は1~3級までありますが、初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度によって等級が違います。

 

  • 初診日に国民年金に加入していた、または20歳前に初診日がある場合(障害基礎年金):1級もしくは2級
  • 初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金):1級、2級、3級、もしくは障害手当金

(共済年金は現在、厚生年金と一元化されています)

 

 

2 眼の障害に関する認定基準

眼の障害では、視力・視野・その他眼の周辺機能について認定基準が別々で、視野・視力両方が認定基準に該当するのであれば、併合認定されることがあります。

たとえば視力障害では3級相当でも、視野障害で3級相当であれば併合されて2級相当になるケースがあります。これらをふまえて認定基準を確認してみましょう。

 

2-1 視力障害の認定基準

眼鏡やコンタクトレンズ、眼内レンズを使用した状態での矯正視力で計測します。

一部例外として矯正不能、矯正に耐えられないもの、矯正によって両眼で物を見た時に左右の目で物の大きさや形が違って見えて(不等像視)両眼で物を見ることが困難であることが、医学的に証明されている場合は、裸眼で計測します。また、障害年金の等級は、身体障害者手帳の等級とは関係ありません。

視力障害の認定基準

続いて、視野障害の認定基準をご紹介します。

 

2-2 視野障害の認定基準

視野障害の認定基準は以下の通りです。
大きくて白い半球体の「ゴールドマン視野計」および「自動視野計」で計測します。

視野障害の認定基準

※求心性視野狭窄:網膜色素変性症や緑内障などにより、視野の周辺から欠損が始まって見えない部分が中心に向かって進行するもの。
輪状暗点:リング状に視野が欠けているもの。

 

2-3 眼に関するその他の障害の認定基準

まぶたや眼球の運動、瞳孔の障害についても認定基準があります。
これらの障害はすべて一時金である障害手当金の対象になるため、初診日に国民年金に加入していた方は該当しません。

眼に関するその他の障害の認定基準

※両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能:焦点を見たいものにあわせる際に使う機能のこと。
複視:二重に見えること。
散瞳(さんどう)している状態:瞳孔が大きくなっている状態。

 

3 初診日までの年金の納付要件を確認する

ここまでで、どの程度の障害であれば障害年金の等級に該当するかについてご説明しました。

しかし障害年金は、障害状態の他に、初診日までの「年金の納付要件(条件)」を満たしていなければなりません。以下を確認してください。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方、もしくは20歳未満の方で

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

(1)もしくは(2)に該当しなければ条件を満たしていないので、障害年金を受給することができません。
自分が納付要件を満たしているか分からない場合は、お近くの年金事務所で教えてもらいましょう。

 

4 障害年金を受給するための3つの重要書類と取付け方法

ここまでで、障害年金が受給できる人の条件についてご説明してきました。
続いて障害年金の申請準備にあたって、重要な書類の取り付け方や作成の方法についてご説明していきます。

 

4-1 受診状況等証明書

受診状況等証明書」とは、視力や視野の症状のために初めて病院を受診した日(初診日)を証明するための書類です。

障害年金の受給資格や納付状況を確認するために、かならず初診日を証明しなければなりません。初診日のある病院で作成を依頼しましょう。(診断書を書いてもらう病院が初診病院である場合は必要ありません。)

しかしながら網膜色素変性症や緑内障は進行がゆるやかで、初診日が30年以上前にあることも少なくありません。病院でのカルテの保管期間は5年ですので破棄されていたり、病院が廃院になっていて受診状況等証明書がとれないことがあります。

このような場合は、病院の診察券や病院の紹介状、生命保険等の給付申請時の診断書などの参考資料と一緒に「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を提出しましょう。

この時、参考資料に初診病院の名前、初診日頃の日付の記載があると、初診日の証明が通りやすくなります。

初診日証明について、詳しくは「障害年金の申請に必須!初診日証明の方法と書類の確認ポイントを解説」を参考にして下さい。

 

4-2 診断書

眼の障害用の診断書を主治医に書いてもらいましょう。

ただしタウンクリニックや診療所には診断書を書くために必要なゴールドマン視野計および自動視野計などの測定機器が置かれていない場合があります。これらの測定機器で計測していない場合、年金事務所に診断書を提出しても差し戻されてしまうので、必ず主治医に必要な測定機器がクリニックにあるか確認してください。

もしも必要な測定機器が無い場合は、総合病院などを主治医に紹介してもらいましょう。

医師に診断書を書いてもらえましたら、必ず以下の点を確認してください。

1.診断書に赤字で書かれている以下について記載漏れはありませんか。

(8)診断書作成医療機関における初診時所見の初診年月日および所見
(10)障害の状態の現症時の日付
(10)の視野、中心視野の見えない部分について黒または黒斜線で塗りつぶし
(11)現症時の日常生活活動能力及び労働能力
(12)予後

2.診断書(10)障害の状態の視力・視野について
  • 眼鏡やコンタクトレンズ、眼内レンズを入れた状態での矯正視力を測定し、数値が記載されていますか。
  • 測定できず空欄になっている場合は、余白などに「測定不能」等、説明書きがありますか。

 

4-3 病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書」とは、発病したときから現在までの経過を3~5年に区切って申告するための書類です。受診状況等証明書や診断書と違い、請求者が作成する書類です。

いままでの病状や日常生活、就労状況について請求者が直接申告できる唯一の書類ですので、下記をご参考にして頂き、具体的に記入してください。

受診していた期間について ・どのくらいの期間、どのくらいの頻度で受診したか
・入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか

・医師から言われていたこと

(遮光レンズをかけるように言われた、白杖をつかうトレーニングを受けるように言われた等)

・日常生活状況

(具体的にどんな症状があって、どう困っていたか。例:夜盲がひどく夜間は一人で外出できない、白杖と歩行補助がないと歩けない等)

・就労状況

(週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があれば記入する。病気のために生じている仕事の制限や職場での配慮があれば記入する。例:週に2日、障害者雇用で音声入力ソフトを使ったPC事務の仕事をしている。等)

受診していなかった期間について

・受診していなかった理由

(自覚症状がなかった、経済的に行けなかった等)

・自覚症状の程度

(いつどんな症状がどの程度あったか。例:視野狭窄のため歩行中に追い抜かれたりする時に見えなくて驚く、怖い等)

・日常生活状況

(普段通りではなかったことがあれば記入する)

・就労状況

(病気によって仕事に支障がでていたか等を記入する)

 

5 まとめ

ここまでで、眼の障害に関する障害年金の認定基準および申請のポイントについてご説明いたしました。

原則初診日から1年6ヶ月経った日から障害年金の受給権が発生します。
受給漏れがないようになるべく早めに申請をしましょう。

 

患者団体や病院の方へ

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障害年金の制度を患者の方にお伝えいただく目的で使用いただくのであれば、無償で利用していただいて結構です。
ただし、以下のルールを必ず守っていただきますようにお願いいたします。

 

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  • 咲くやこの花法律事務所の記事であることは使用の際に明示をお願いいたします。
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  • 患者団体または病院関係者、報道機関以外の方の使用は禁じます。

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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