障害年金の申請に必要な書類とは?わかりやすく解説

障害年金をもらうために必要な書類とは?
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「障害年金を申請したいけど、どんな書類が必要かわからない」そんな方は多いのではないでしょうか。

今回は、障害年金の申請に必要な書類をいくつかのパターンに分けて詳しく解説します。

 

1.そもそも、障害年金とは?

障害年金申請の必要書類をご説明するにあたって、まず、障害年金の制度について簡単にご説明します。

障害年金は病気やケガなどが原因で日常生活や仕事に支障が出ている方を対象に支給される年金です。障害年金は、原則、病気やケガのために初めて病院を受診した日(初診日といいます)から1年6ヶ月後から受給することができます。

障害年金には初診日に加入していた年金制度に応じて2つの種類があります。それぞれの支給対象や年金額については以下の表をご覧ください。

 

▶参考:障害基礎年金と障害厚生年金の支給対象と年金額の一覧

支給対象 年金額
障害基礎年金

病気やケガのために初めて病院を受診した日の加入年金制度が国民年金の方

・自営業、アルバイト、学生等
・厚生年金加入者の配偶者(第3号被保険者)
・20歳より前に初診日があり年金に加入していなかった方(先天性疾患等)

  • 1級:年間97万4125円(月 8万1177円)
  • 2級:年間77万9300円(月6万4941円)
障害厚生年金

初診日に厚生年金に加入していた方

※20歳より前に初診日があっても、厚生年金に加入していれば障害厚生年金の対象者です。

●1級:報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(年間97万4125円)

●2級:報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(年間77万9300円)

●3級:報酬比例の年金額(最低保障額 年間58万4500円)

 

障害基礎年金では日本年金機構の定める障害等級1級又は2級に認定された方に、障害厚生年金では1級から3級に認定された方に障害年金が支給されます。

 

▶参考情報:障害基礎年金と障害厚生年金について、それぞれ詳しく解説した参考記事は以下をご参照ください。

障害基礎年金(国民年金の障害年金)とは?わかりやすく解説

障害厚生年金(厚生年金の障害年金)とは?わかりやすく解説

 

 

障害基礎年金では日本年金機構の定める障害等級1級又は2級に認定された方に、障害厚生年金では1級から3級に認定された方に障害年金が支給されます。

障害年金を受給するためにはおおまかにいうと2つの条件を満たしている必要があります。

 

▶︎参考情報:障害年金の受給条件

(1)保険料の納付要件

初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。若しくは、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。

 

(2)障害の程度が日本年金機構の定める基準に該当していること(障害の程度の要件)

障害の程度が日本年金機構の定める基準に該当していること

 

障害年金の基本的な制度についてご説明しました。では、実際、障害年金の申請にはどのような書類が必要なのでしょうか。

ここからは障害年金申請の必要書類についてご説明します。

 

2.障害年金の請求に必要な申請書類

障害年金の申請書類についてご説明するにあたって、まず前提として知っておいていただきたいのは、障害年金の必要書類は請求方法、加算対象者の有無、他の公的年金の受給の有無等、個々の方の状況によって異なります。

そのため、以下でご説明する書類が必要な書類のすべてとは限らないことをまずご理解ください。

その上で、障害年金の申請に必要な基本的な書類をご紹介します。申請書類は年金事務所で手に入れることができる他、日本年金機構のホームページからもダウンロードすることができます。

 

(1)基本書類

以下の書類は、原則、請求者全員が提出しなければいけない書類です。

 

1.年金請求書

基礎年金請求用と厚生年金請求用の2種類があります。初診日時点で加入していた年金制度によってどちらを使用するか異なります。

 

▶参考情報:年金請求書について詳しくは、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

障害年金の年金請求書とは?正しい記入方法をわかりやすく解説

 

 

2.受診状況等証明書

障害年金では、病気やケガの為に初めて病院を受診した日に加入していた年金制度によって受給できる年金が異なります。また、障害年金の受給条件である保険料の納付要件も初診日が基準になります。そのため、障害年金の申請においては初診日をあきらかにする必要があります。

初診日の証明書類として代表的なものが「受診状況等証明書」です。受診状況等証明書は病気やケガのために初めて受診した病院で書いてもらう書類です。

ただし、診断書作成医療機関と初診病院が同一である場合は提出する必要がありません。病院の廃院やカルテの廃棄等で用意できない場合は、現在取得できる一番古い病院で書いてもらいます。

その上で、受診状況等証明書が提出できない医療機関については、「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を作成します。

受診状況等証明書が添付できない申立書には、初診日や通院時期が特定できる資料の添付が必要です。

 

▶︎参考情報:「受診状況等証明書が添付できない申立書」に必要な資料の例

・PC上に残った来院日の記録、カルテの表紙等(カルテが残っていなくても受診日等の記録を残していることもあるので何らかの記録が残っていないか確認する)、前医からの紹介状

・レセプト、処方箋、領収書、診察券、お薬手帳、母子手帳等

・過去に作成された診断書(保険会社に提出するものや障害者手帳取得の際に作成したもの)

・初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明) 等

※20歳前障害の場合は、初診病院を特定しなくても初診日が20歳前にあることが証明できればよいので、20歳前に通院していた病院がないか、学校の成績表に症状や通院に関する記載がないか、障害者手帳の取得時期が20歳前にないか等を検討します。

 

▶参考情報:受診状況等証明書について詳しくは、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

障害年金の受診状況等証明書を取り付けるベストな方法

 

 

3.診断書

障害年金の申請に必要な診断書の種類は、全部で8種類あります。傷病や症状が出ている部位によってどれを使用するかは異なります。

 

▶参考:主な傷病別の診断書の種類

診断書 主な傷病
精神の障害 うつ病、双極性感情障害、統合失調症、知的障害(精神遅滞)、発達障害(広汎性発達障害、ADHD等)、てんかん、高次脳機能障害、認知症等
肢体の障害 肢体麻痺、肢体切断、変形性股関節症(人工関節)、脊柱管狭窄症、糖尿病性壊疽等
腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害 慢性腎不全(人工透析)、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、肝硬変、肝がん、糖尿病等
循環器疾患 狭心症、心筋梗塞、弁閉鎖不全症(人工弁)、ペースメーカー・ICD、CRT-D等装着、難治性不整脈等
呼吸器疾患 肺結核、気管支喘息、間質性肺炎、慢性呼吸不全を伴う疾患等
眼の障害 網膜色素変性症、緑内障、網膜剥離、糖尿病性網膜症等
聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害 メニエール病、難聴、鼻の欠損、平衡機能障害、歯の欠損・補綴、失語症、喉頭摘出等
血液・造血器・その他の障害 がん、HIV、排泄機能障害(人工肛門、自己導尿)等

 

また、請求方法によっていつの診断書が必要なのか、何枚必要なのかが異なります。必要な診断書については以下の表を参考にしてください。

 

▶参考:請求方法別の必要な診断書の表

請求方法 診断書
障害認定日請求 障害認定日から1年以内に請求を行う方法 障害認定日以後3ヶ月以内の診断書1枚
事後重症請求 障害認定日は障害の状態が軽かった場合やカルテの破損等の理由で障害認定日時点の診断書が書いてもらえない場合に、今後の障害年金を請求する方法 請求日以前3ヶ月以内の診断書1枚
本来請求(遡及請求) 障害年金の制度を知らなかった等、何らかの理由で障害認定日から1年以内に障害年金の請求をしなかった場合に、障害認定日から現在までの障害年金を遡って請求する方法
  • 障害認定日以後3ヶ月以内の診断書1枚
  • 請求日以前3ヶ月以内の診断書1枚

計2枚

 

▶参考情報:障害年金の申請に必要な診断書について詳しくは、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

障害年金に診断書は必須!医師に作成依頼する際のポイント【様式付き】

 

 

4.病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書とは、発症から現在までの日常生活状況や就労状況を記載するもので、診断書のように医師に書いてもらうものではなく障害年金の請求者が自分で作成するものです。

病歴・就労状況等申立書には発症から現在までの症状や、日常生活、就労状況等を医療機関毎若しくは長期間していない場合は3~5年の期間に分けて記載します。

病歴・就労状況等申立書は、日常生活にどのような支障がでているか、どんなことに困っているかを自分で伝えることができる唯一の書類です。診断書では伝えきれない日常生活状況を伝えることのできる重要な書類なので、ポイントをおさえてしっかり記載することが重要です。

その時々の症状、日常生活の状況、仕事の状況、通院・治療状況等を具体的に記載しましょう。

 

5.年金手帳

基礎年金番号の確認のために提出します。郵送で提出する場合は年金手帳の基礎年金番号が記載されているページのコピーを同封します。

 

6.戸籍抄本(住民票でも可)

本人の生年月日、住所の確認のために提出します。

 

※住民票には提出期限があるので注意が必要です。(障害認定日請求、遡及請求なら障害認定日以降の日付で提出日から6ヶ月以内、事後重症請求は提出日から1ヶ月以内に発行されたもの)

※年金請求書にマイナンバーを記入した場合、省略することが可能です。ただし、マイナンバーを記入する場合は、別途マイナンバーカードの両面の写し若しくは、マイナンバーが確認できる書類と身分証明書写しの提出が必要になります。

 

7.銀行口座の通帳若しくはキャッシュカードの写し

年金の受取先に指定する予定の銀行口座の確認用です。これを提出することで年金請求書の銀行の確認印を省略することができます。銀行名、支店名、口座名義人のフリガナ、口座番号が確認できるページを提出しましょう。

 

8.身体障害者手帳・精神保健福祉手帳・療育手帳の写し

障害状態を確認する補足資料として添付します。取得していなければ提出する必要はありません。

 

(2)加給対象者がいる場合

障害年金では請求者に配偶者や子がいる場合に本来支給される障害年金に加えて、加算を受けることができる場合があります。

加給対象者は、障害基礎年金の場合は18歳未満の子(若しくは20歳未満の障害のある子)、障害厚生年金の場合は、配偶者と18歳未満の子(または20歳未満の障害のある子)です。加給を受けるためにいくつかの書類を提出する必要があります。

※ただし加給がつくのは2級以上に認定された場合のみです。

 

1.戸籍謄本

加給対象者との続柄及び生年月日を確認するために必要な書類です。

 

2.世帯全員の住民票

加給を受けることができるのは同一生計で生活している家族に限られます。生計同一関係の確認のために住民票が必要になります。

さかのぼって請求をする場合は、障害認定日時点での生計同一関係が証明できる書類も必要になります((例)住民票の除票等)。諸事情により住民票を分けている、別居しているが経済援助している場合などは、生計同一関係証明のため、別途『生計同一関係に関する申立書』を提出します。

 

3.加給対象者の収入が確認できる書類

加給を受けることができるのは、年収が850万円以下の者に限られるため、収入の確認のため提出します。(平成6年11月8日までに受給権が発生した場合は600万円以下)

収入の証明の為に提出する書類は以下の通りです。

 

▶参考:収入の証明の為に提出する書類一覧

加給対象者 収入証明資料
配偶者(障害厚生年金のみ) ・所得証明書
・課税・非課税証明書
・源泉徴収票
18歳未満の子 ・学生証
・扶養が確認できる健康保険証
※義務教育修了前の子は不要。
障害のある20歳未満の子 ・学生証
・扶養が確認できる健康保険証
・歯科医又は医師の診断書

 

さかのぼって請求をする場合は、障害認定日から現在までのすべての収入証明資料の提出が必要です。

例えば、配偶者の場合、障害認定日の属する年から現在までのすべての年の所得証明書が必要になります。しかし、多くの自治体で所得証明書は保管期間が5年のため、5年以上までの所得証明書が取得できないことがあります。

その場合は、現在取得できるすべての所得証明書を取得しましょう。

 

▶参考情報:子の加算と配偶者加算について、それぞれ詳しく解説した参考記事は以下をご参照ください。

障害年金の子の加算の対象者、支給額、必要書類について

障害年金の配偶者加算の条件、対象者・支給額・必要書類を徹底解説

 

 

(3)遡及請求をする場合

遡及請求をする場合は、以下の書類を提出する必要があります。

 

1.障害給付請求事由確認書

遡及請求は障害認定日時点と現在時点の2つの時点での障害の状態を審査されます。そのため、障害認定日時点の症状は不支給、現在は認定されるということがありえます。

この届を出していない場合、障害認定日時点の症状が障害の等級に該当しないと判断された場合は、現在の状態については審査されずに、請求自体が却下されてしまいます。

この届を提出することによって、仮に障害認定日時点の障害状態が不支給と判断された場合であっても、現在時点の症状について審査を行い、現在の障害状態が等級に該当する場合は、事後重症で障害年金の給付を受けることができます。

 

2.年金裁定請求の遅延に関する申立書

5年以上前に遡って障害年金を請求する場合に提出します。

5年以上前に障害年金の受給権が発生しても5年以上前の年金は残念ながら時効によって支給されません。そのことについて理解しているとの確認書です。

 

▶参考情報:障害年金の遡及請求について詳しくは、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

障害年金の遡及請求とは?成功するための3つの重要ポイント

 

 

(4)20歳前傷病で請求をする場合

20歳より前に初診日のある傷病で障害年金を申請する場合は、以下の書類を提出する必要があります。

 

1.所得証明書

通常、障害年金に所得制限はありませんが、20歳前傷病による障害年金にだけは所得による支給制限があります。

障害年金の支給を受けるためには一定以上の保険料を納めている必要があるのに対し、20歳前傷病の場合は年金に加入できないため保険料を全く納めていなくても受給することができます。その代わりに、受給者本人の所得による制限があるのです。所得額の確認のため、所得証明書を提出する必要があります。

※ただし、20歳前に厚生年金に加入しており、その期間に初診日がある場合は障害厚生年金の請求となり、所得制限はありません。

 

▶参考情報:20歳前傷病での請求や、障害年金の所得制限について詳しくは以下の記事をご参照ください。

20歳前傷病で障害年金をもらうときの手順と重要なポイント

障害年金に所得制限はある?2つのケースを解説

 

 

(5)他の公的年金制度から支給を受けている場合

老齢年金や遺族年金などの他の公的年金制度から支給を受けている場合は、以下の書類を提出する必要があります。

 

1.年金受給選択申出書

年金には「1人1年金」という原則があり、複数の公的年金制度の受給権がある場合は、その中から一番受給額の高い年金を選択することになります。

老齢年金や遺族年金等の公的年金制度から年金の支給がある場合は、障害年金を受給できることになった時にどの年金を受給するのか選択する必要があります。

 

3.まとめ

今回は、障害年金の申請に必要な書類をいくつかのパターンに分けてご紹介しました。

障害年金の申請に必要な書類はおおまかには今回ご紹介したとおりですが、2章のはじめにご紹介したとおり、障害年金の申請に必要な書類は個々の方の状況によって異なりますので、今回ご説明した書類がすべてとは限りません。

実際に申請をする際には、事前に年金事務所に必要な書類について問い合わせることをおすすめします。

 

記事更新日:2023年5月31日

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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