障害年金を高血圧でもらえる基準と必ずおさえておきたいポイント

高血圧の男性
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高血圧がみられるだけでは対象外ですが、高血圧が原因疾患と疑われる病気(特に脳、心臓、腎臓疾患)は障害年金を請求することができます。

また、悪性高血圧症(高血圧緊急症)や高血圧性網膜症も、基準や条件に該当すれば障害年金を受け取ることができます。

しかし年金機構の認定基準や障害年金に関する案内は、わかりにくい表現も多く、理解が難しいこともあるかと思います。

今回の記事では、わかりやすい表記に変えた認定基準や、障害年金の請求に関するポイントをご説明します。

 

1 高血圧症からくる病気は障害年金の申請が可能!

合併症のない高血圧は障害年金の対象外ですが、高血圧からくる病気や、高血圧症は障害年金を申請することができます。

症状が重く、仕事や日常生活に大きく支障が出ている場合は、障害年金の申請を検討しましょう。

障害年金とは?

病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。

申請は20歳から65歳になる前々日までに行う必要があります。

日本年金機構が認定し、支給している国の制度で、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。

 

障害年金の等級は1~3級で、初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度や、症状の程度によって該当する等級が変わります。

 

  • 初診日に国民年金に加入していた、または20歳前に初診日がある場合(障害基礎年金):1級もしくは2級
  • 初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金):1級、2級、3級、もしくは障害手当金

(共済年金は現在、厚生年金と一元化されています)

 

2 障害年金の認定条件

障害年金を受給するには、

  • 日本年金機構が定めている基準に該当する障害状態であること
  • 初診日の時点で一定期間年金を納付(または免除)していること

の2つを満たしていなければなりません。
以下で順にご説明いたします。まずは日本年金機構の認定基準を確認しましょう。

 

2-1 障害状態の認定基準

高血圧症による症状が、身体のどこに出ているかによって認定基準が違います。

なお、条件を満たす悪性高血圧症、高血圧性網膜症の場合は、認定基準で等級が決まっています。

自分は該当する症状かどうか、主治医に確認してみましょう。

1級

以下の条件を満たす悪性高血圧症

  • 高い拡張期性高血圧(通常最小血圧が120Hg以上)
  • 眼底所見で、Keith-Wagener分類Ⅲ群以上のもの
  • 腎機能障害が急激に進行し、放置すれば腎不全にいたるもの
  • 全身症状の急激な悪化を示し、血圧、腎機能の増悪とともに、脳症状や心不全を多く伴うもの

循環器疾患の診断書を使用して申請する

2級

1年以内に一過性脳虚血発作、動脈硬化がみられている他、出血・白斑をともなっている高血圧性網膜症を発症しているもの

眼の障害用の診断書を使用し、一過性脳虚血発作があった日頃を記載する

3級
(障害厚生年金が受給できる方のみ)

以下の3つすべてに該当する症状であること

①頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれなどの自覚症状がある

②1年以上前に一過性脳虚血発作があったもの

③眼底の著明な動脈硬化を認めるもの

循環器疾患の診断書を使用して申請する

※一過性脳虚血発作とは:脳にいく血液の流れが一時的に悪くなり、運動麻痺や感覚障害などの障害がおこるが、24時間以内に症状がなくなる。脳梗塞、脳卒中の前触れ。

その他、高血圧のため脳、心臓、腎臓に障害が出ている場合は、それぞれの認定基準で認定されます。
以下より、認定基準を確認してください。(各障害の認定基準の記事にとびます。)

 

2-2 年金の納付要件

生命保険や入院保険などと同じく、年金も保険の一つです。

そのため、症状のために初めて病院を受診した日(初診日)までの年金保険料の納付状態が審査されます。以下の条件のうち、どちらかに当てはまれば障害年金の支給対象になります。

(初診日が20歳前の場合は所得額が審査対象になります。詳しくは「20歳前傷病で障害年金を申請するときの手順とポイント」を参考にして下さい。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方で

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

ご自身が上記の納付要件を満たしているか確認してください。

未納期間や免除期間がある場合は、お近くの年金事務所でご相談いただくと確認することができます。

 

3 高血圧症と診断された日が初診日にならないケース

高血圧症は悪化すると脳や心臓、血管などの大きな病気が起こりやすくなります。

障害年金の申請をお考えの方の中にも、もともとの高血圧が原因で大きな病気をわずらったから、初診日は高血圧と診察で言われた日かな、と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら年金機構の認定基準では、「高血圧と脳出血または脳梗塞は、相当因果関係なし」とされていますので、脳出血や脳梗塞で申請する際、高血圧と診断された日は初診日として認められません。

原因が高血圧とされていても、脳出血や脳梗塞によって初めて受診した日を初診日として請求しましょう。
心疾患、腎疾患の場合は、数値の低下や異常がみられた日を初診日として請求しましょう。

4 障害年金を受給するための3つの重要書類

2章では障害年金を受給するための条件についてご説明しました。

続いて高血圧性の病気で申請するための、3つの重要な書類の取り付け方や作成の方法についてご説明していきます。

 

4-1 受診状況等証明書

「受診状況等証明書」とは、症状によって初めて医師の診察を受けた日(初診日)を証明するための書類です。

医療機関で記入してもらう書類ですので、健康診断を受けた検診センターなどに書いてもらうことのないよう注意しましょう。

もしも初診日のある病院ですでにカルテが破棄されていたり、廃院になっていて受診状況等証明書がとれない場合は、病院の診察券や健康診断時の病院への紹介状といった参考資料と一緒に「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を提出しましょう。

この時、参考資料に初診病院の名前、初診日頃の日付の記載があると、初診日が認められやすくなります。

初診日証明について、詳しくは「障害年金の申請に必須!初診日証明の方法と書類の確認ポイントを解説」を参考にして下さい。

 

4-2 診断書

初診日から1年6ヶ月経過していれば、「循環器疾患の障害用の診断書(PDF)」を主治医に書いてもらいましょう。記入漏れがあると、適正な審査がおこなわれず障害年金を受給できない事もあります。

診断書記入例

4-3 病歴・就労状況等申立書

「病歴・就労状況等申立書」とは、発病したときから現在までの経過を3~5年に区切って申告するための書類です。

受診状況等証明書や診断書と違い、請求者がみずから作成する書類です。

いままでの病状や日常生活、就労状況について請求者が直接申告できる唯一の書類ですので、下記をご参考にして頂き、具体的に記入してください。

受診していた期間について ・どのくらいの期間、どのくらいの頻度で受診したか
・入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか
・医師から言われていたこと
・日常生活状況
(具体的にどんな症状があって、どう困っていたか。)
・就労状況
(週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があれば記入する。障害のために生じている仕事の制限や職場での配慮があれば記入する。)
受診していなかった期間について ・受診していなかった理由
(症状が固定していて病院に行く必要がなかった、経済的に行けなかった等)
・自覚症状の程度
(いつどんな症状がどの程度あったか。)
・日常生活状況
(普段通りではなかったことがあれば記入する。)
・就労状況
(障害によって仕事に支障がでていたか等を記入する。)

 

5 まとめ

今回の記事では、高血圧症で障害年金を申請する前に確認しておきたい認定基準や、障害年金の請求に重要な項目をポイントとしてご紹介しました。

あなたが障害年金を請求される際に、参考になれば幸いです。

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
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    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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