障害年金を白血病でもらうための基準と2つの重要なポイント

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障害年金の制度を知ったけれど自分の症状でも受給できるのか、と悩んでいませんか?

年金機構のホームページには、どのくらいの症状で何級に認定するのか、といったことが記載されている「認定基準」が公開されています。ただし公開されている認定基準は言葉が難しく理解しにくい点も多いと思います。

今回の記事ではそんな認定基準を簡単に説明しますので、あなたが障害年金を受給することができるのか判断する目安としてください。

また、申請時に注意すべきポイントや書類の作成方法についても言及していきます。

障害年金は申請書類が多く手間がかかりやすいですが、この記事をお読みいただき、ポイントを押さえて準備を進めることができれば、不必要な時間をかけずに申請することができるでしょう。

 

1 白血病でも障害年金が受給できる!

白血病は障害年金の対象疾患です。
症状によって日常生活や仕事に制限が出ている場合に支給されます。

障害年金とは?

病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。

申請は20歳から65歳になる前々日までに行う必要があります。

日本年金機構が認定し、支給している国の制度で、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。

 

障害年金の等級は1~3級ですが、初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度によって該当する等級が違います。

 

  • 初診日に国民年金に加入していた、または20歳前に初診日がある場合(障害基礎年金):1級もしくは2級
  • 初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金):1級、2級、3級、もしくは障害手当金
    (共済年金は現在、厚生年金と一元化されています)

 

 

2 障害年金が受けられる2つの条件

障害年金は、(1)障害の程度が認定基準に該当すること(2)初診日まで一定以上の年金を納めていたことの2つの条件を両方とも満たしていれば受給できます。以下で順に確認していきましょう。

 

2-1 症状が障害年金の認定基準に該当すること

1つ目の条件は、障害の程度が認定基準に該当していることです。日本年金機構から出ている認定基準を簡単にご説明します。

認定基準では、診断書の記載事項である「臨床所見」と「検査所見」、「日常生活状況」を基に1級から3級のそれぞれの等級に該当する障害の状態を次のように定めています。

白血病の障害の程度

 

骨髄(造血幹細胞)移植をした場合

骨髄移植などに代表される「造血幹細胞移植」を受けた方が障害年金を申請した場合、等級認定には以下のような状態が考慮されます。

移植をおこなった方は診断書に以下の事項を記入してほしいと、主治医に伝えて下さい。

・手術後の症状
・移植片宿主病(GVHD)の有無とその程度
・治療経過
・検査成績および予後

慢性GVHD(移植手術後100日を過ぎて生じたGVHD)については、日本造血細胞移植学会において作成された「造血細胞移植ガイドライン」における【慢性GVHDの臓器別スコア及び重症度分類】を年金機構の認定医が参考にして審査します。

また、あわせて認定時の具体的な日常生活状況が重視されますので、日常生活において不便を感じていることを「病歴・就労状況等申立書」に詳しく記入しましょう。

また、既に障害年金を受給している人が造血幹細胞移植手術を受けた場合は、移植片が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して、手術後1年間はそれまで受けていた等級の障害年金を受給することができます。

 

2-2 初診日まで一定以上の年金を納めていたこと

続いて障害年金を受けるための2つ目の条件についてご説明します。

白血病の症状で初めて病院を受診した日、もしくは初めて白血病と診断を受けた日を「初診日」と言います。

この初診日までに一定以上の年金保険料を納めていることが2つ目の条件です。(一般的には年金の納付要件と言います。)

具体的には(1)もしくは(2)に該当しなければ条件を満たしていることが必要です。自分が条件を満たしているか分からない場合は、年金手帳を持ってお近くの年金事務所に問い合わせましょう。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方、もしくは20歳未満の方で

 

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

 

なお初診日時点で20歳未満だった場合は、年金の納付条件はありません。
その代わり受給者の所得に応じた所得制限があります。

受給者の年間所得 360万4000円未満 360万4000以上 462万1000万円以上
障害年金 全額支給 1/2支給停止 全額支給停止

※所得とは…収入額からその収入を得るために係った必要経費と障害者控除などの諸控除をのぞいたものです。市町村役場で発行される所得証明書などで確認することができます。

 

3 白血病で障害年金を受給するための2つのポイント

ここまで、障害年金が申請できる条件についてご説明してきました。

続いては障害年金の申請準備にあたって、重要な書類の取り付け方や作成の方法についてご説明していきます。

 

3-1 診断書は受け取ったら必ず確認する!

白血病で障害年金を申請される方は、「血液・造血器・その他の障害用の診断書(PDF)」を主治医に作成してもらいましょう。

診断書を受け取られたら、必ず内容を確認してください。病院から受け取ってそのまま年金事務所に提出しても、記入漏れや誤りがあった場合は再度病院にお願いしなければならないといった手間が発生してしまいます。

診断書の確認点は以下の通りです。診断書チェックリストでもご確認ください。
空欄があった場合は必ず医師に追記をお願いしましょう。

診断書表面(8)診断書作成医療機関における初診時所見欄の、「初診年月日」の日付は記入されていますか?

診断書チェックポイント 初診年月日

診断書表面(12)一般状態区分表に日付の記載がありますか?自分の症状に該当する記号に〇が付いていますか?
 →自分の症状よりも軽度の記号に○がついているのであれば、医師に修正を依頼しましょう。

診断書チェックポイント 一般状態区分表

診断書表面(13)血液・造血器の欄の日付の記載はありますか?

・自覚所見・他覚所見、検査成績に空欄はありませんか?

・治療状況の欄に空欄はありませんか?

・骨髄移植を受けている方は、「臓血管細胞移植」、「慢性GVHD」の欄に空欄はありませんか?また、手術後の症状や治療経過、検査成績・予後は記入されていますか?

診断書チェックポイント 血液・造血器の欄

診断書裏面(16)現症時の日常生活活動能力および労働能力の欄は記入されていますか?
診断書裏面(17)予後の欄は記入されていますか?

診断書チェックポイント 現症時の日常生活活動能力および労働能力

年金事務所に提出する前に、必ず両面のコピーを取って手元に保管しましょう。

 

3-2 病歴・就労状況等申立書は詳細に記入する

最後に病歴・就労状況等申立書の作成方法についてご説明します。

この書類は発症から現在に至るまでの病気の状態や、仕事に制限がでていたことなどを申し立てる書類で、発病した時から現在まで3年から5年に区切って記入します。

特に申請前の現在の欄は詳細に書く必要があります。日常生活上でどんなことに不便を感じているのか、自分ひとりではできないことなどがあれば細かく記入しましょう。

具体的に書くと長くなると思いますので、下書きをしたほうがよいでしょう。

エクセル版の病歴・就労状況等申立書もあるのでご活用ください。作成には下記を参考にして下さい。

受診していた期間について ・どのくらいの期間、どのくらいの頻度で受診したか
(輸血や補充療法を週何回くらい受けているかなど)
・入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか
・医師から言われていたこと、医師に話したこと
(白血病の治療方法について医師と話したことや、薬の飲み方指導、ドクターストップがかかったことなど)
・転医や受診を中止した理由
(引越したため、自覚症状がなかったため等)
・日常生活状況
(どんな症状があってどう困っていたか、具体的に。例:貧血で倒れることが多く、一人で外出することができない。)
・就労状況
(週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があれば記入する。病気のため仕事に制限があれば記入する。)
受診していなかった期間について ・受診していなかった理由
(経済的に行けなかった、症状がなかったので行かなかった等)
・自覚症状の程度
(いつどんな症状がどの程度あったか記入する)
・日常生活状況
(普段通りではなかったことがあれば記入する)
・就労状況
(病気によって仕事に支障がでていたか等)

 

4 一度受給できても更新で不支給になることも

障害年金は受給できたとしても数年ごとに更新があり、決められた時期に年金機構へ診断書を提出しなければなりません。

更新は、年金機構が受給者の障害状態を確認し、症状の改善が見られれば等級を変更したりするために設けられています。

白血病で障害年金を受給している方も例にもれず更新がありますが、初回申請時と症状が変わらないにもかかわらず、更新で障害年金の支給が止まってしまったという方も多いようです。

障害年金は書類審査で、診断書に記載された検査数値などだけで等級が審査されますので、年金機構に提出する診断書は必ずコピーを取って手元に置いておくようにしてください。

その上で、更新の時に提出する診断書とよく見比べて、実際の症状よりも軽く書かれていないか、不備はないか確認するようにしましょう。

更新で不支給になってしまうと、再度障害年金を受給するために手間や時間、診断書などの費用がかかってしまいますので注意してください。(詳しくは「障害年金の不支給決定!くつがえして支給を受けるための」)

 

5 まとめ

今回の記事では、白血病で障害年金を申請する場合の認定基準と、審査の重要書類についてご説明しました。

障害年金は白血病の症状で初めて病院を受診した日から1年6ヶ月を経過すれば申請できます。

十分な治療には高額な医療費がかかってしまいますが、障害年金が少しでも治療の助けになれば幸いです。

 

患者団体や病院の方へ

患者団体や病院の方、あるいは報道機関から、この記事を利用したいとのお問い合わせをいただくことがあります。
障害年金の制度を患者の方にお伝えいただく目的で使用いただくのであれば、無償で利用していただいて結構です。
ただし、以下のルールを必ず守っていただきますようにお願いいたします。

 

  • 記事は修正しないでそのまま使用してください。
  • 咲くやこの花法律事務所の記事であることは使用の際に明示をお願いいたします。
  • 紙媒体での使用のみとし、記事をインターネット上にアップロードすることは禁じます。
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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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