不安障害や強迫性障害で障害年金を受給できる2つのケースと認定基準

不安障害の女性

不安障害や強迫性障害で就労や日常生活に不安をかかえ障害年金を受給できないかとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし残念ながら不安障害や強迫性障害は障害年金の対象になりません。

ただし例外的に障害年金の対象になるケースもあります。

今回は対象になる2つのケースとその際の認定基準についてご説明します。

 

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1 不安障害・強迫性障害は原則障害年金の対象外

結論からいうと、不安障害や強迫性障害は原則、障害年金の対象になりません。

精神的な症状で障害年金の対象となるのは、うつ病等の気分障害、統合失調症、高次脳機能障害等の器質性精神疾患、てんかん、知的障害、発達障害に限られており、残念ながら不安障害や強迫性障害、適応障害などの神経症や人格障害は障害年金の認定対象外になっています。

 


2 障害年金を受給できる2つのケース

1章でご説明したとおり、不安障害や強迫性障害は原則障害年金の対象になりません。

ただし、例外として障害年金の対象になるケースがあります。
ここからは障害年金の対象になる2つのケースをご紹介します。

 

2-1 うつ病や統合失調症等の精神疾患を併発している場合

不安障害・強迫性障害だけでなく、うつ病等の気分障害や統合失調症を等の精神疾患を併発している場合は、障害年金の対象になります。

また、医師から不安障害と聞いていても、医師が患者本人に本当の病名を告知していないケースもあります。

障害者手帳の申請時など過去に書いてもらった診断書の病名を確認してみてください。障害年金の申請を考えていることを医師に相談して病名について聞いてみるのもひとつの方法です。

 

2-2 精神病の病態を示している場合

診断されている病名が不安障害や強迫性障害だけであっても、その症状が「精神病の病態を示している場合」は、障害年金の対象となります。

そもそも神経症が障害年金の認定対象外とされているのは、通常はその病状が長期にわたって続くことはないと考えられていることや、

「精神病の病態を示している状態」とは簡単にいうと、自分で病気を自覚して主体的に病気を治そうとする力が乏しく、精神病と同様に自力で日常生活や仕事に著しい支障が生じており、その症状が長期にわたって続く可能性がある場合のことをいいます。

ただし、具体的にどのような状態であれば精神病の病態を示しているといえるのかは明確な定義が定められておらず、認定医の判断にゆだねられているのが現状です。

しかし、「精神病の病態を示している」として申請をする際には、まず主治医が患者の症状が「精神病の病態を示している」と判断し、診断書に記載されていることが最低条件になります。

そのため、まずはご自身がかかっている主治医の先生に自分の症状が「精神病の病態を示している」か相談してみてください。

 


3 認定基準

2章でご説明した2-1または2-2に当てはまる場合は障害年金を申請することが可能です。
障害年金では、傷病によって「このくらいの障害の程度であれば〇級相当」と基準が決まっています。これを障害年金の認定基準と言います。

不安障害は統合失調症または気分障害の認定基準のいずれか症状が近い障害の認定基準で審査されます。

認定基準によると、統合失調症と気分障害で各等級に相当する障害の状態は以下のように定められています。

【統合失調症の病態を示すもの】
等級 障害の状態
1級 高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著しいため、常時の援助が必要なもの
2級 残遺状態又は病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限をうけるもの
3級 残遺状態又は高度の病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
(※ただし、障害基礎年金の場合は3級の時は障害年金が支給されません)
【気分障害の病態を示すもの】
等級 障害の状態
1級 高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の症状があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級 気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の症状があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 高度の気分、意欲・行動の生涯及び高度の思考障害の症状があり、その症状は著しくないが、これが持続又は繰り返し、労働が制限を受けるもの
(※ただし、障害基礎年金の場合は3級の時は障害年金が支給されません)

おおまかにいえば、常に誰かの援助がなければ日常生活がおくれない場合が1級、日常生活に支障が出ている場合が2級、仕事に支障が出ている場合が3級です。

平成28年9月より、認定基準をより具体的に示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が発表され、新たに審査の基準となっています。

この等級判定ガイドラインでは、診断書の記載事項である「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」に応じて等級の目安が定められています。

 

※「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」とは

■日常生活能力の判定

日常生活にどのような支障があるかを7つの場面に分けて評価したものです。

※請求者が一人暮らしをした場合、可能かどうかで判断します。

(1)適切な食事 配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができる
(2)身辺の清潔保持 洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができる
(3)金銭管理と買い物 金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできる
(4)通院と服薬 規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる
(5)他人との意思伝達及び対人関係 他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える
(6)身辺の安全保持及び危機対応 事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができる
(7)社会性 銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続が行える

各項目を

できる
自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
助言や指導をしてもできない若しくは行わない

の4つの段階にわけて評価します。

■日常生活能力の程度

日常生活能力を総合的に評価したものです。

精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
精神障害を認め、家庭内の単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

上記の5つの選択肢から症状にもっとも近いものを選びます。

具体的な等級の目安は次の通りです。

障害等級の目安(PDF)

まったくこのとおりに認定されるわけではありませんが、ひとつの大きな目安になります。

 


4 審査で重視される2つの書類

障害年金は書類審査です。

審査官と一度も面談することなく提出した書類の内容ですべてが決まってしまいます。どんなに症状が重くても、日常生活に支障が出ていても、提出した書類でそれが伝わらなければ不支給になってしまうこともありえるのです。

ここからは、障害年金の申請で特に重要な2つの書類とその記載のポイントをご説明します。

 

4-1 診断書

障害年金を申請するにあたって、一番重要なのは医師に作成してもらう診断書です。
でご説明したように障害年金では、傷病によって「このくらいの障害の程度であれば〇級相当」と基準が定められており、等級判定ガイドラインでは診断書の記載事項を元に等級の目安が定められています。

そのため、障害年金はほとんど診断書の内容で決まるといっても過言ではありません。
だからこそ、診断書にどれだけ詳細に病状、日常生活の状況や就労の状況等を書いてもらえるかが重要なのです。

 

診断書作成のポイント
(1)診断書に「精神病の病態を示している」ことを明記してもらう

2-2でご説明したとおり不安障害のみで障害年金を申請する場合、障害年金の対象となるためには、主治医が不安障害の症状が「精神病の病態を示している」と判断し、そのことが診断書に記載されていることが最低条件になります。

必ず診断書「⑬備考」欄に「精神病の病態を示している」旨を記載してもらいましょう。

【記入例】

 

(2)受診前に日常生活状況についてまとめておく

3の認定基準でご説明したとおり、等級判定においては日常生活能力の程度が重視されています。しかし、日常生活の状況について医師と十分に話ができている方は少ないのではないでしょうか。

限られた診察時間内で症状のすべてを伝えることは困難です。医師に十分に伝わっていないために診断書の内容が実際の症状とそぐわないものになり、結果的に不支給になってしまうこともありえるのです。

もちろん実際の症状よりも重く書いてもらうことはできませんしするべきではありませんが、どんな症状があって日常生活や仕事にどんな影響が出ているかを伝え、症状に応じた診断書を書いてもらうことが重要なのです。

医師に症状を十分に伝えるために、事前にどんな症状がどのくらいの頻度であるのかや、日常生活のどんな部分に支障があるか、どんなことに困っているのか等をまとめてから受診することをおすすめします。

 

4-2 病歴・就労状況等申立書

診断書と並んで重要な書類が、病歴・就労状況等申立書です。

病歴・就労状況等申立書とは、発症から現在までの日常生活状況や就労状況を記載するもので、診断書のように医師に書いてもらうものではなく障害年金の請求者が自分で作成するものです。

どう書いていいのかわからない、何を書けばいいのかわからないと簡単に書いてしまう方もいますが、病歴・就労状況等申立書は日常生活にどのような支障がでているか、どんなことに困っているかを自分で伝えることができる唯一の書類です。

診断書では伝えきれない日常生活状況を伝えることのできる重要な書類なので、ポイントをおさえてしっかり記載することが重要です。

 

病歴・就労状況等申立書作成のポイント
(1)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する

病歴・就労状況等申立書には病気のために初めて病院を受診した日から現在までの日常生活状況や就労状況を記載する必要があり、記載要領では3~5年に分けて記載するように求められています。

覚えていないからといって10年、20年をまとめて書いてしまうと年金機構から書き直しを求められることがあるので、必ず3~5年の期間に区切って作成しましょう。

 

(2)具体的に記載する

不安障害はうつ病や統合失調症等の他の精神疾患と比べてその病名だけで症状が軽いと判断されてしまうことがあります。

日常生活や仕事に大きな支障が生じていても、不安障害というだけで日常生活や就労への支障が少ないと判断されてしまうことがあるのです。

そのため、不安障害で申請する場合は障害によって日常生活や仕事への支障やどのような症状があるのかをより詳細に伝える必要があります。
自分の症状、どんなことに困っているのか、支障を感じているのかをしっかり伝えるためにも、病歴・就労状況申立書が重要になります。

病歴・就労状況等申立書には客観的かつ具体的に記入しましょう。自分がどう感じたかではなく実際にどんなことがあったかを具体的に記入するように注意しましょう。

とは言っても実際にどんなことを書けばいいのかわからない方も多いと思いますので、病歴・就労状況等申立書に記載するべき事項を一部例示します。

病歴・就労状況等申立書の記載事項

・周囲の人(家族や友人等)との関係(人間関係でトラブルになることはなかったか等)
・日常生活でできなかったことや困っていたこと
・どのような症状がどのくらいの頻度であるか
・自殺未遂や自傷行為の有無やその頻度
・家族や周囲の人からの援助の有無やその内容
・仕事をしている場合はその内容や周囲の人から受けている援助の内容、どのような支障が出ているか
・入院やグループホームやデイケア利用歴やその際の様子
・その他障害に関する印象的なエピソード    等

 

(3)診断書との整合性に注意する

障害年金の審査においては医師の作成した診断書と請求者の作成する病歴・就労状況等申立書の整合性が重視されます。

例えば、診断書ではできないと書かれているのに、病歴・就労状況申立書ではできると書かれている場合、病歴・就労状況等申立書の内容が足を引っ張って、適切な等級に認定されないこともありえるのです。

申請書類を提出する前に医師の作成した診断書と病歴・就労状況等申立書を見比べて、記載内容や症状の程度に矛盾がないかを確認してください。

 


5 まとめ

今回は、障害年金における不安障害の取り扱いについてご説明しました。原則不安障害は障害年金の対象になりませんが、

(1)うつ病や統合失調症等の精神疾患を併発している場合
(2)精神病の病態を示している場合

は例外的に障害年金の対象になります。

障害年金は1級に認定されれば少なくとも年間97万4125円、2級に認定されれば少なくとも年間77万9300円、3級に認定されれば少なくとも年間58万4500円が支給されます。障害年金があるかないかで生活は大違いです。

不安障害だからといって障害年金の申請をあきらめず、一度ご自身が例外となるケースに該当しないか確認してみてください。

 

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