体の麻痺で障害年金をもらうための基準とポイント

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脳血管疾患や脊髄損傷によって、後遺症が残ることも少なくなりません。その中でも特に多いのが、体の麻痺です。

なかには長期間のリハビリを経ても社会復帰が難しいケースもあります。

そんな後遺症をかかえる患者やその家族の生活を支える制度のひとつに障害年金があります。

今回は、障害年金の体の麻痺の認定基準や、申請のポイントなどをご紹介します。

咲くやこの花法律事務所認定実績例はこちらをご覧ください。

体の麻痺で障害年金をもらうための基準とポイント

 

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1 体の麻痺は障害年金の対象疾患

体の麻痺は障害年金の対象となる病気です。

ただし、単に申請書類を提出すれば支給されるものではなく、日本年金機構の定める一定の基準を満たしている必要があります。どのような場合に支給されるのか理解し、ポイントをおさえて申請することが重要です。

詳しい基準をご説明する前に、まず、障害年金の制度について簡単にご説明します。

障害年金とは・・・?

病気やケガなどが原因で日常生活や仕事に支障が出ている方を対象に支給される年金です。

 

原則、病気やケガのために初めて病院を受診した日(初診日といいます)から1年6ヶ月後から受給することができます。

 

また、障害年金は原則として20歳から64歳までの方が請求することができます。障害年金には初診日に加入していた年金制度に応じて2つの種類があります。

 

障害基礎年金

<支給対象>

〇病気やケガのために初めて病院を受診した日の加入年金制度が国民年金の方

・自営業、アルバイト、学生等
・厚生年金加入者の配偶者(第3号被保険者)
・20歳より前に初診日があり年金に加入していなかった方(先天性疾患等)

<年金額>

1級 年間97万4125円(月 8万1177円)
2級 年間77万9300円(月6万4941円)

障害厚生年金

<支給対象>

・初診日に厚生年金に加入していた方
※20歳より前に初診日があっても、厚生年金に加入していれば障害厚生年金の対象者です。

<年金額>

1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(年間97万4125円)
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(年間77万9300円)
3級 報酬比例の年金額(最低保障額 年間58万4500円)

障害基礎年金では日本年金機構の定める障害等級1級又は2級に認定された方に、障害厚生年金では1級から3級に認定された方に障害年金が支給されます。

 

障害年金を受給するためにはおおまかにいうと2つの条件を満たしている必要があります。

 

(1)【保険料の納付要件】
   初診日の前日時点で、以下のいずれかの条件を満たしていること。
   ①初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
   ②初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険 料の未納がないこと。

 

(2)【障害の程度の要件】
   障害の程度が日本年金機構の定める基準に該当していること。

(1)の保険料の納付要件を満たしていなければ、どんなに症状が重くても障害年金を受給することはできません。自分が納付要件を満たしているかは、お近くの年金事務所で確認することができます。

納付要件を満たしていることがわかれば、次に重要なのは(2)の障害の程度の要件です。初診日に国民年金に加入していた方は1級又は2級、厚生年金に加入していた方は1~3級のいずれかに認定される必要があります。

 


2 体の麻痺の障害年金認定基準

障害年金では、障害によって生じている症状によって「このくらいの障害の程度であれば〇級相当」と基準が決まっています。これを障害年金の認定基準と言います。

ここからは、この認定基準について、「上半身のみに麻痺がある場合」と「下半身のみに麻痺がある場合
、「上半身と下半身の両方に麻痺がある場合」の3つに分けてご説明します。

 

2-1 上半身のみに麻痺がある場合

上半身のみの麻痺がある場合の認定基準は下記の通りとなっています。

等級 障害の程度
1級

1.両上肢の機能に著しい障害があるもの
両上肢の3大関節(肩関節、肘関節、手首)中それぞれ2関節以上の関節が、次のいずれかに該当する程度のものであること。

(1)不良肢位で強直しているもの
…通常の位置ではなく、日常生活に支障をきたす位置で関節が硬直し動かなくなった状態
(2)関節の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
参考可動域一覧表(上肢)
(3)筋力が著減または消失しているもの

2.両手のすべての指の機能に著しい障害があるもの
両手のすべての指が麻痺によって脱力していたり、関節が不良肢位で強直していたりすることによって、指があってもないのとほとんど同じ程度の機能障害がある状態。

2級

1. 一上肢の機能に著しい障害があるもの
一上肢の3大関節(肩関節、肘関節、手首)中それぞれ2関節以上の関節が、次のいずれかに該当する程度のものであること。

(1)不良肢位で強直しているもの
…通常の位置ではなく、日常生活に支障をきたす位置で関節が硬直し動かなくなった状態
(2)関節の他動可動域が、健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(3)筋力が著減または消失しているもの

2.両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの
例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの等

3.両手のおや指とひとさし指またはなか指の機能に著しい障害があるもの
両手のおや指と、ひとさし指またはなか指が、麻痺によって脱力していたり、関節が不良肢位で強直していたりすることによって、指と指をあわせて物をつまむことができない程度の障害がある状態。

4.片手のすべての指の機能に著しい障害があるもの
片手のすべての指が麻痺によって脱力していたり、関節が不良肢位で強直していたりすることによって、指があってもないのとほとんど同じ程度の機能障害がある状態。

3級
(障害厚生年金のみ)

1.一上肢の3大関節(股関節、膝関節、足関節)のうち、2関節の用を廃したもの
関節の他動可動域が、健側(症状がでていない側の上肢)の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの。

2.一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの、または、両上肢に機能障害を残すもの
例えば、一上肢の3大関節中、1関節が不良肢位で強直しているものや両上肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの

3.片手のおや指とひとさし指を含む4本の指の用を廃したもの
片手のおや指とひとさし指を含む4本の指の手のひらに1番近い関節、または手のひらから2番目に近い関節の他動可動域が健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの。

障害手当金
(障害厚生年金のみ)

1.一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
一上肢の3大関節(肩関節、肘関節、手首)のうち、1関節の他動可動域が健側(症状がでていない側)の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの等。

2.一上肢に機能障害を残すもの
一上肢の3大関節のうち、1関節の筋力が半減しているもの。

3.片手の3指以上の用を廃したもの
片手の3本以上の指の手のひらに1番近い関節または手のひらから2番目に近い関節の他動可動域が健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの

4.片手のひとさし指を含む2指の用を廃したもの
片手のひとさし指を含む2本の指の手のひらに1番近い関節または第2関節手のひらから2番目に近い関節の他動可動域が健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの

5.片手のおや指の用を廃したもの
片手のおや指の手のひらに1番近い関節または手のひらから2番目に近い関節の他動可動域が健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの

この他、日常生活の動作への支障の程度などをふまえて総合的に障害年金の等級が判断されます。

 

2-2 下半身のみに麻痺がある場合

下半身のみに麻痺がある場合の認定基準は下記の通りです。

等級 障害の程度
1級

1.両下肢の機能に著しい障害を有するもの
両下肢の3大関節(股関節、膝関節、足関節)のうち、それぞれ2関節以上の関節が、次のいずれかに該当する程度のものであること。
(1)不良肢位で強直しているもの
…通常の位置ではなく、日常生活に支障をきたす位置で関節が硬直し動かなくなった状態
(2)関節の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
参考可動域一覧表(下肢)
(3)筋力が著減または消失しているもの

※ただし、両下肢のそれぞれ、1関節のみに症状がある場合であっても、その症状から両下肢を歩行に使用することはできない状態である場合は、「両下肢の用を全く廃したもの」と判断される可能性があります。

2級

1.一下肢の機能に著しい障害を有するもの
一下肢の3大関節(股関節、膝関節、足関節)中それぞれ2関節以上の関節が、次のいずれかに該当する程度のものであること。
(1)不良肢位で強直しているもの
…通常の位置ではなく、日常生活に支障をきたす位置で関節が硬直し動かなくなった状態
(2)関節の他動可動域が、健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(3)筋力が著減または消失しているもの

※ただし、1関節のみに症状がある場合であっても、その症状から一下肢を歩行に使用することはできない状態である場合は、「一下肢の用を全く廃したもの」と判断される可能性があります。

2.両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
たとえば、両下肢の3大関節のうち、それぞれ1関節の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの等。

3級
(障害厚生年金のみ)

1.一下肢の3大関節(股関節、膝関節、足関節)のうち、2関節の用を廃したもの
一下肢の3大関節のうち、2関節の他動可動域が、健側(症状がでていない側)の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの。

2.一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの、または、両下肢に機能障害を残すもの
一下肢の3大関節のうち1関節が不良肢位で強直しているもの、または、両下肢の3大関節のうち1関節の筋力が半減しているもの。

3.両足の10指の用を廃したもの
両足のすべての指の足の甲に1番近い関節または足の甲から2番目に近い関節の他動可動域が参考可動域の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの

障害手当金
(障害厚生年金のみ)

1.一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
一下肢の3大関節のうち、1関節の他動可動域が健側(症状がでていない側)の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの。

2.一下肢に機能障害を残すもの
例えば、一下肢の3大関節のうち、1関節の筋力が半減しているもの。

3.片足の5指の用を廃したもの
片足のすべての指の足の甲に1番近い関節または足の甲から2番目に近い関節の他動可動域が参考可動域の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの

この他、日常生活の動作への支障の程度などをふまえて総合的に障害年金の等級が判断されます。

 

2-3 上半身と下半身の両方に麻痺がある場合

脳梗塞や脳卒中等の脳疾患の後遺症では、体の左半身、または右半身というように体の左右どちらかに麻痺が残ったり、あるいは全ての手足に麻痺が残ることもたびたびあります。
このように上下肢に麻痺が残っている場合の認定基準は下記の通りです。

等級 障害の程度
1級

1.一上肢および一下肢の用を全く廃したもの
一上肢と一下肢の日常生活における動作(一覧表参照)のすべてが「1人で全くできない」またはこれに近い状態。

2.四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
すべての手足の日常生活における動作(一覧表参照)の多くが「1人で全くできない」またはほとんどが「1人でできるが非常に不自由」な状態。

2級

1.一上肢および一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
一上肢と一下肢の日常生活における動作(一覧表参照)の多くが「1人で全くできない」またはほとんどが「1人でできるが非常に不自由」な状態。

2.四肢に機能障害を残すもの
すべての手足の日常生活における動作(一覧表参照)の一部が「1人で全くできない」またはほとんどが「1人でできてもやや不自由」な状態。

3級
(障害厚生年金のみ)

1.一上肢および一下肢に機能障害を残すもの
一上肢と一下肢の日常生活における動作(一覧表参照)の一部が「1人で全くできない」またはほとんどが「1人でできてもやや不自由」な状態。

【日常生活における動作一覧】

各動作について補助器具を使わない状態で、「①一人でうまくできる」「②一人でできてもやや不自由」「③一人でできるが非常に不自由」「④一人で全くできない」の4段階で評価します。

この他、可動域の制限や筋力の低下等をふまえて総合的に障害年金の等級が判断されています。

 

3 診断書を依頼する際の注意点

障害年金を申請するにあたって、一番重要なのは医師に作成してもらう診断書です。

2でご説明したように障害年金では、傷病によって「このくらいの障害の程度であれば〇級相当」と基準が定められており、診断書の記載事項を元に等級の目安が定められています。

そのため、障害年金はほとんど診断書の内容で決まるといっても過言ではありません。

診断書の記載事項のひとつひとつが障害年金の等級を決める重要な要素です。中には、診断書に記入漏れがあったり、内容が不十分なために、申請書類が差し戻されたり、不当に低い等級に認定されてしまうこともあるのです。

どんなに日常生活に支障が出ていても、そのことが診断書の記載されていなければ、ないものとして扱われてしまいます。特に可動域や筋力の状態欄や補助器具の使用状況欄は記入漏れの多い項目です。

病院から診断書を受け取ったら、提出する前に必ず目を通して記入漏れや不備がないかを確認し、気になる点があれば医師と相談するようにしてください。

日常生活動作の支障について、医師に十分に症状を伝える自信がない方は、事前に日常生活のどんな動作に支障があるか、どんなことに困っているのかメモにまとめて受診することもひとつの方法です。

 


4 高次脳機能障害等がある場合は、更に等級があがる可能性も!

脳血管疾患の後遺症では、高次脳機能障害や失語症などの障害を併発しているケースがたびたび見られます。

この場合、高次脳機能障害や失語症については、体の麻痺とは分けて審査され、それぞれの障害について等級が認定された上で併合認定されることになります。

併合認定とは、複数の障害をまとめて1つの障害として認定するものです。

例えば、2級に認定された障害が2つある場合、2級+2級=1級という形で2つの障害をあわせて上位の等級に認定される可能性もあります。(※あくまでも一例です。必ずしもこのとおりに認定されるとは限りません。)

高次脳機能障害や失語症を併発している場合は、併合して等級が上がる可能性もあるので、あわせて診断書を提出することをおすすめします。

以下で、脳血管疾患の方が併発することの多い、高次脳機能障害と失語症の認定基準について簡単にご説明します。

 

4-1 高次脳機能障害の認定基準

高次脳機能障害の認定基準は下記の通りです。

等級 障害の状態
1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、 常時の援助が必要なもの
2級 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級
(障害厚生年金のみ)
1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働 が制限を受けるもの
2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
障害手当金
(障害厚生年金のみ)
認知障害のため、労働が制限を受けるもの

細かい基準はありますが、ざっくりいうと、「常に誰かの助けがないと日常生活が送れない状態」が1級、「日常生活に支障が出ている状態」が2級、「仕事に支障が出ている状態」が3級、「仕事に支障が出ているがその程度がそこまで大きくない状態」が障害手当金相当です。

詳細な認定基準については、高次脳機能障害の認定基準について詳しくはこちらの記事をご参照ください。

高次脳機能障害で障害年金を受給するためのポイント

 

4-2 失語症の認定基準

失語症の場合は『聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能の障害用の診断書』を使用します。

障害年金の認定基準では失語症について以下のとおり規定されています。

等級 障害の程度
1級 規定なし
2級 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
(発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの
3級
(障害厚生年金のみ)
言語の機能に相当程度の障害を残すもの
(話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの)
障害手当金
(障害厚生年金のみ)
言語の機能に障害を残すもの
話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が互いに確認することなどである程度成り立つもの

会話についての障害(音声言語の障害)だけでなく読み書きの障害(文字言語の障害)がでている場合、音声言語の障害と比べて文字障害の程度が重い場合は、その症状についても考慮して等級が認定されます。


5 まとめ

今回は、障害年金における体の麻痺の認定基準についてご説明しました。

障害年金は1級に認定されれば少なくとも年間97万4125円、2級に認定されれば少なくとも年間77万9300円、3級に認定されれば少なくとも年間58万4500円が支給されます。

障害年金は体の麻痺でお困りの方の生活の大きな支えになるはずです。

この記事が皆さんの障害年金申請のお役に立てば幸いです。

 

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