更新の診断書のことで悩んでいませんか?
診断書の提出は、あなたが障害年金をもらい続けるために重要な手続きです。
この記事では、障害年金の更新のときの診断書の作成や記載、提出について注意すべき点をご説明します。
記事を読んでいただければ、更新についての不安がきっと解消されるはずです。
では、さっそく見ていきましょう。
1 診断書の用紙は更新の前月に送られてくる!
障害年金の更新用の診断書は、更新月の前月末ごろに年金機構から送られてきます。
例えば、肢体の障害用の更新の際の診断書は以下のような形式になっていますので、参考にしてください。
正式には「障害状態確認届」といいますが、「更新用の診断書」と呼ばれることが多いので、以下では「更新用の診断書」としてご説明します。
更新用の診断書は、最初の申請の時に提出した診断書とは、様式が少し違いますので、更新時は、年金機構から送られてきた更新用の診断書の用紙を使用することが原則です。
しかし、年金機構から送られたきた用紙をなくしてしまったという場合は、最初の申請の時の診断書の様式を使用しても問題はありません。最初の申請の時の診断書の様式は、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードしてプリントアウトすることが可能です。
2 診断書が届いたらすぐに作成を依頼する!
更新用の診断書は、更新月の末までに年金機構に到着するように提出する必要があります。
医師が診断書を作成するための期間も考えると、年金機構から更新用の診断書が届いたら、すぐに医師に診断書の作成を依頼することが必要です。
そして、診断書の内容をもとにあなたの症状が等級に該当するかどうかが審査され、該当しないと判断された場合は障害年金の支給が停止されますので、診断書の記載内容は非常に重要です。
以下では主治医に診断書の記載を依頼するときのポイントをご説明します。
2-1 診断書の依頼の前にメモ書きを準備する。
診断書の依頼の前に準備しておくとよいのが、自分の症状を医師に伝えるためのメモ書きです。
診断書には、「日常生活における支障の具体的な内容」や「現在の就労状況」を記載する欄があり、この欄は重要です。
しかし、日常生活の状況は就労状況については、医師も十分に把握していないことも多いため、自分で作成したメモを医師に渡して、医師の診断書の作成の際に参考にしてもらいましょう。
診断書の作成のポイントは最初の申請のときの診断書の作成の際のポイントと同じです。
以下の各記事で病名ごとの診断書作成のポイントを解説していますので参考にしてください。
2-2 しばらく通院していない場合
最初の申請の時、あるいは前回の更新の時からしばらく通院していないという方もおられると思います。
その場合、何回か通院して症状を見ないと診断書は書けないと言われる医師もおられますので、更新が近づいてきたら、更新用の診断書を依頼する前に診察をうけておくことがおすすめです。
2-3 病院を移った場合
病院を移ったという方もおられると思います。
その場合、更新用の診断書は病院を変わる前の医師に依頼してもかまいませんし、現在の主治医に依頼してもかまいません。
現在の主治医に依頼する場合は、前回提出した診断書のコピーを持参すると、主治医に診断書を記載していただく際に参考にしてもらうことができます。
2-4 更新時に働いている場合の診断書の注意点
あなたが精神疾患や「がん」で障害年金を受給している場合、更新の際に働いていると、症状が軽く見られてしまい、障害年金が打ち切りになったり、等級が下がったりするケースがあるため、特に注意が必要です。
診断書の作成を依頼する時に以下の点に注意しましょう。
注意点1:仕事についての制約を詳細に記載する。
仕事はしているが、病気のために仕事の内容に制限があるときは、必ずそのことを診断書に記載してもらいましょう。
例えば、精神疾患のため、人とのコミュニケーションがとれず、コミュニケーションが必要でない仕事のみを担当している場合はそのことを記載してもらえるように医師に依頼することが必要です。
注意点2:職場でのトラブルの内容を記載する。
病気が原因で職場でのトラブルがある場合は、その具体的な内容を記載してもらえるよう医師に依頼することも重要です。
例えば、精神疾患の場合は、「職場で何を指示されているのかわからなくなってしまい、パニックになることが多い」などの内容があれば記載してもらいましょう。
注意点3:通勤に援助が必要であれば記載する。
通勤になんらかの援助が必要であれば、その内容を記載してもらえるように依頼しましょう。
例えば、「公共交通機関による通勤が困難なので家族が車で送ってくれている」などの事情があれば記載してもらう必要があります。
注意点4:日常生活での支障を詳しく記載する。
仕事以外の日常生活での支障の内容を詳しく診断書に記載してもらうことも非常に重要です。
例
えば、精神疾患の診断書であれば、以下のような内容です。
精神疾患の場合の日常生活での支障の例
- 食欲がなく、家族の援助がなければほとんど食事をとれない。
- 金銭の管理ができず、お金を異常に使いすぎる。
- 自殺衝動があり、常時、家族の見守りが必要である。
2-5 診断書の記載内容を確認
医師から作成した診断書を受け取ったら、必ず、その記載内容を隅から隅までチェックしてください。
空欄がないか、自分の症状の重さや日常生活での不自由が十分に伝わるように記載がされているかどうかを確認しましょう。
もし、もっと詳しく記載してほしいとか、記載内容に間違いがある場合は、医師に修正を依頼することが必要です。
3 診断書の提出について
診断書の提出先は障害基礎年金と障害厚生年金で異なります。
障害基礎年金を受給中の場合は市町村役場に提出します。
一方、障害厚生年金を受給中の場合の提出先は日本年金機構です。
以下に郵送で提出します。
〒168‐8505
東京都杉並区高井戸西3丁目5番24号 日本年金機構
3-1 提出期限に間に合わない場合
診断書を期限までに提出した場合は、更新の月から4か月間は、更新が認められるかどうかにかかわらず、障害年金は支給されます。
一方、診断書の提出が提出期限に間に合わなかった場合は、診断書を提出するまで年金の支給を止められることがあります。どうしても提出期限に間に合わない場合は、事前に年金機構に連絡しておきましょう。
診断書の提出が遅れた場合でも、1か月程度の遅れであれば、診断書の提出後に年金の支給が止まっていた分も含めて支給されます。
4 更新の結果が出るのは約3か月後
更新の結果は、約3か月後に文書で通知されます。
4-1 更新前と同じ等級に該当すると認められた場合
更新前と同じ等級に該当すると認められた場合は、「次回の診断書の提出について」というはがきが届きます。そこに次回の更新の時期が記載されていますのではがきは保管しておきましょう。
次回の更新の時も、年金機構から診断書の用紙が送られてきます。
4-2 支給停止になった場合
更新の審査の結果、障害の程度が軽くなっていると判断され、障害年金が支給停止になるケースがあります。
この場合、支給停止の結果に不服がある場合は「審査請求」という手続きで、更新を認めなかった判断について再度審査をしてもらうことが可能です。また、支
給が停止された時は障害の程度が軽かったがその後再び重くなった場合は、「支給停止事由消滅届」という手続きにより、支給の再開を求めることができます。
4-3 軽い等級に変更された場合
更新の審査の結果、軽い等級に変更されてしまったケースについても、不服がある場合は「審査請求」という手続きで、等級を変更した判断について再度審査をしてもらうことが可能です。
また、更新時は障害の程度が軽かったが、その後悪化して再び重くなった場合は、「額改定請求」という手続きにより、上の等級への変更を求めることができます。ただし、「額改定請求」をするためには、原則として、前回の申請から1年以上が経過していることが必要とされています
5 まとめ
今回は、更新時の診断書の作成や記載、提出に関する注意点をご説明しました。
特に、医師に作成を依頼するにあたって、自分の症状を記載したメモ書きを用意しておくことが、丁寧で詳細な診断書に仕上げてもらうための重要なポイントとなります。
支給が打ち切られたり、等級が下がったりすることのないように、医師に作成してもらった診断書はきっちりと内容を確認してから提出しましょう。
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