自分でも確認!障害年金の納付要件5つの確認手順

困る男性

年金は日本に居住している20歳から60歳までの人が加入する社会保険です。生命保険や入院保険などが保険料を払っていなければ保険金をもらえないのと同じで、障害年金も、一定額の年金を納めていなければ受給できません。

今回の記事では、障害年金の受給条件の1つである納付要件や、「免除期間」・「カラ期間」をどのように扱うのかについてもご説明していきます。

また、もし納付要件を満たしていなかった場合に確認していただきたいことについてもご説明します。

この記事を読んで、納付要件を理解し、あなたが障害年金を受給できる状態であることを確認して頂き、障害年金の申請を進めることができれば幸いです。

1 障害年金の納付要件

障害年金には、初診日(病気やケガのために初めて病院に行った日)がある月の前々月までの一定期間、年金を納めていないと受給できないという条件がもうけられていて、これを「納付要件」と言います。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方で

(1)「2/3要件」:初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

(2)「直近1年要件」:初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(平成38年までの特例)

昭和61年4月以降に初診日がある場合は上記のうち、どちらか一方を満たしていれば障害年金の納付要件を満たしていることになります。(初診日が20歳前の場合、納付要件を満たす必要はありません)

以下で順にご説明いたします。

 

1-1 2/3要件

初診日のある月の前々月までの加入期間(20歳から60歳まで)について、保険料が納付、または免除されていることが必要です。

なお、昭和61年4月から、厚生年金・共済年金に加入していない20歳以上の人は、国民年金に強制加入になっています。

たとえば上の図の場合は、厚生年金に加入していない期間はすべて未納になっていますが、初診日のある月(3月)の前々月(1月)から20歳の加入時にさかのぼってみると、期間中2/3以上の保険料を納付しているので、障害年金の納付要件をクリアしています。

一方で、下の図の場合は納付要件を満たしません。

納付済み期間が2/3に達していないことが原因です。

また、初診日後に納付要件を満たしていないことが発覚したからといって、その後未納期間分の年金を後払いしたとしても、納付要件は満たしません。納付要件は、初診日の時点で満たしていなければなりません。

下の図の場合、納付免除期間がありますが、初診日以前に申請した納付免除期間は、「納付要件を満たす期間」として計算されます。この場合、納付要件を満たすので障害年金の申請が可能です。

 

1-2 直近1年要件

まず原則として、初診日時点で65歳未満であることが条件です。
その上で、初診日の前々月までの1年間に保険料を滞納していないことが必要です。

上の図のように、初診日のある月の前々月から過去1年間に、保険料の滞納がなければ、納付要件を満たしています。

この直近1年要件は2/3要件より簡単に計算できますが、平成38年までの特例となっているので注意してください。

 

1-3 免除期間は納付済期間に含まれる?

学生納付特例制度や経済的な理由での年金保険料の免除や、過去にさかのぼって後納したことはありませんか?

自分で納付要件を確認する際に免除期間の取扱いに注意してください。

納付要件はあくまでも「初診日時点で納付要件を満たしているか」がみられますので、初診日の前に未納期間がある場合は、初診日前に免除申請をおこなっていないか、確認してください。

例えば下記の場合はどうでしょうか。

この場合、免除期間を含めると「初診日のある月の前々月までの1年間に未納がないこと」という納付要件は満たしているようにみえます。

ただし初診日時点での納付状態で、納付要件を満たしていなければなりません。初診日後に過去にさかのぼって免除申請をしたり、年金を追納していた場合は、納付要件を満たさない可能性があるので注意してください。

初診日前に1度でも「年金の免除申請」をおこなったことがある場合は、年金事務所で納付要件を満たしているか確認してもらうようにしましょう。

 

1-4 年金制度の加入が任意であった期間の取り扱い

現在の国民年金制度は老齢年金を受給している方を除き20歳から「強制加入」になっています。しかしこれまでの年金制度の歴史の中では、主婦や学生などには加入してもしなくてもよい(任意加入)期間がありました。その期間国民年金に加入していなかったため、現在になって障害年金の納付要件を満たさないという方がいらっしゃいます。

このような人々を救済するべく、現在の制度ではこの「任意加入期間」に国民年金に加入していなかった期間は、障害年金の納付要件を計算する際に「納付要件を満たしている期間」として扱われています。(ただし老齢年金の受給額には反映されないため、この任意加入期間は「カラ期間」とも呼ばれています。)

【カラ期間の例】

(1) 昭和61年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が、加入しなかった期間

(2) 平成3年以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間

(3) 昭和36年4月以降、海外に住んでいた期間

(4) 上記期間に任意加入をおこなったが保険料が未納となっている期間     など

詳しくは日本年金機構のホームページをご確認いただくか、年金事務所でご相談ください。

 

1-4-1 カラ期間に初診日がある場合

国民年金に任意加入していなかったことにより、障害基礎年金などを申請できない方は、障害年金ではなく、「特別障害給付金」が支給されます。

昭和61年3月以前に配偶者の扶養に入っていた方や、平成3年3月以前に学生だった方などは、国民年金の任意加入対象者です。この期間に初診日がある方は、納付要件を満たす必要はありません。

詳しくは日本年金機構のホームページをご確認いただくか、年金事務所でご相談ください。

 

2 20歳前に初診日がある場合

20歳以前は国民年金に加入できない年齢ですので、20歳前に初診日がある場合、納付要件を満たす必要はありません。その代わり、20歳以前に初診日がある場合、所得によって障害年金の支給額が調整されます。

障害年金を申請する人(受給権者)の年間所得が360万4000円以上の場合、障害年金の額が減額になります。
障害年金申請時、 年金事務所に所得証明書を提出して、下記を証明する必要があります。

受給権者の年間所得 360万4000円未満 360万4000円以上 462万1000円以上
障害年金額 全額支給 1/2支給停止 全額支給停止

※所得とは…収入額からその収入を得るためにかかった必要経費と障害者控除等の諸控除を除いたものです。
市町村役場で発行される所得証明書等で確認することができます。

詳しくは「20歳前傷病で障害年金を申請する時の手順とポイント」の記事をご確認ください。

 

3 初診日が昭和61年3月以前にある場合の納付要件

昭和61年3月30日以前に初診日があって、昭和61年3月30日以前に20歳に達していた場合は「旧法」の納付要件を満たしている必要があります。

旧法の納付要件は初診日時点で加入していた年金の種類や、いつの時点に初診日があるかによって大きく変わります。できる限り年金事務所の窓口で相談されることをおすすめします。

 

3-1 昭和61年3月以前の納付要件を満たさない場合

初診日が昭和36年4月1日~昭和61年3月30日までにあり、年金制度に加入していたが旧法の納付要件を満たさない場合でも、現在の原則納付要件なら満たしているという場合は救済の対象になります。

この特例措置は「平成6年改正法附則第6条の特例措置」といいます。ただしあくまでも特例措置ですのでたとえ初診日が厚生年金加入期間であっても、障害基礎年金しか支給されません。

 

4 納付要件を確認する2つの方法

納付要件の確認方法は「年金事務所で職員に確認してもらう方法」と「インターネットで自分で確認する方法」の2つあります。

仕事で日中時間がとれない人はインターネットで確認できると便利ですが、初診日までの期間に未納期間や免除期間がある場合や、保険料を納めていたか不明である場合は年金事務所で確認するようにしましょう。

 

4-1 年金事務所で確認する

一番確実に納付要件を確認するには年金事務所の窓口がベストです。

年金事務所に直接行って窓口で相談する必要がありますが、インターネットでの照会ではわからないこと(保険料の免除申請をした日など)を確認してもらうことができ、納付要件をクリアしているか、詳細な回答を得ることができます。

年金事務所やねんきんダイヤル(0570-05-1165)に電話をして、事前に相談日時を予約しておくと、当日窓口で待たされることが無いので活用してください。あなたの住所地の管轄年金事務所だけではなく、どこの年金事務所でも相談可能です。土曜日や夜間延長で相談できる事務所もあるので、電話で確認してみましょう。

また、年金機構では本人確認のために年金手帳を確認しています。相談時は必ず持参しましょう。

 

4-2 インターネットで確認する

先般インターネット上でさまざまな個人情報が確認できるようになりましたが、あなたがいままで納付してきた年金保険料の情報も、インターネット上で確認できることをご存じでしょうか。

日本年金機構が設置している「ねんきんネット」に登録することで年金の納付記録や、将来の見込み額などを24時間自宅で確認することができます。

インターネット上で基礎年金番号や住所氏名等を入力して利用申込みをした後、5日前後で年金機構から「アクセスキー」というIDが発行されます。アクセスキーと事前に登録したパスワードを入力後、インターネット上で年金記録を確認できるようになります。(詳しくはこちら

お仕事などでなかなか年金事務所に行くことができない場合には、非常に便利ではないでしょうか。

初診日を特定していて、初診日の前に大きな未納期間や免除期間がないようであれば、ねんきんネットでの確認でもよいでしょう。

 

5 納付要件を満たしていなかった場合に再確認すべき2つのこと

納付要件を満たしていないと年金事務所で言われた場合でも、すぐに受給の可能性を諦める必要はありません。以下の2つを確認してください。

 

5-1 初診日以前に因果関係のある症状で病院を受診していないか

まずは、あなたの初診日が本当にその日なのか、もう一度考えてみてください。

初診日とは、「病気やケガのために初めて医師や歯科医師の診察を受けた日」のことをいいます。

年金事務所につたえた初診日よりも前に、病気の前触れとなる症状や病気で病院を受診したことがあれば、その日が初診日になる可能性があります。

ただし病気の前触れとなる症状や病気と、現在の病気に因果関係があることが重要です。

現在、表の左の病気を患っている場合は、右の疾患で初めて病院を受診した日が初診日になる可能性があるので、今一度確認してみましょう。

現 在 の 病 気 因果関係が認められる可能性のある疾患
糖尿病性網膜症 糖尿病
糖尿病性腎症

糖尿病性壊疽
(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)

慢性腎不全 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)
多発性のう胞腎
慢性腎炎
肝硬変 肝炎
聴覚障害(化学療法の副作用) 結核
肝炎(手術などによる輸血) 輸血の必要な手術

大腿骨頭無腐性壊死
(ステロイド投薬による副作用)

ステロイド投薬が必要な傷病
右記傷病による精神障害 事故による傷病
脳血管の傷病
呼吸不全(肺疾患の手術ののち) 肺疾患
大動脈疾患 動悸・息切れ、喉の腫れ・声のかすれ
転移性悪性新生物:原発とされるものと組織上一致、または転移であることを確認済み 転移性悪性新生物:がん(はじめてなった部分にかかるもの)
うつ病や統合失調症などの精神疾患 心因性の頭痛、腹痛、自律神経の症状(めまいや不整脈)、適応障害など

初診日以前に、因果関係が認められる可能性が高い症状で病院を受診していた場合は、その日を初診日としてもう一度納付要件を満たしているか確認しましょう。

 

5-2 社会的治癒を主張できないか

社会的治癒とは、「治療をおこなう必要がなくなって、社会的に復帰している」ことをさします。

例えば学生の頃に初診日があったが、その後症状が良くなって治療を受けておらず仕事や日常生活にも全く影響のない期間が続き、その後症状が再燃した場合などに、社会的治癒を主張できる可能性があります。

このとき学生の頃の病気が、社会復帰後に「治癒」していたことが認められれば、再燃した病気は「別傷病」とされるので、初診日を「再燃した際に初めて病院を受診した日」として後ろにずらすことができます。

なお平成23年の社会保険審査会決議では、
“「社会的治癒と認められるためには、相当の期間にわたって、当該傷病につき医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり、その間に通常の勤務に服していることが必要とされる」”

と「社会的治癒」を認めていますが、この「相当の期間」や「通常の勤務」に関する明確な基準はなく、「医療を行う必要がなかったこと」をどのように証明するのかも不明瞭なため、認められるのは大変稀なケースです。

1回目の申請では認められず、審査請求、再審査請求に進むことが多いので、早めに障害年金を専門とした弁護士や社会保険労務士に相談しましょう。(医師や年金事務所や市役所の職員でも知らないことが多いようです。)

 

6 まとめ

今回の記事では、障害年金の納付要件の説明と「免除期間」、「カラ期間」の取扱いについて説明いたしました。

納付要件を正しく理解して、自分が満たしているのか確認してみましょう。