障害年金はメニエール病でももらうことができる?その基準とポイント

メニエール病でめまいがする女性
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障害年金を申請するためには、病院や年金事務所に行く必要がありますが、メニエール病の場合、地震を感じるようなめまいや難聴、頭痛などでなかなか外出することができないことも多いでしょう。

なんども外出して大変な思いをしないためにも、先に制度や認定の基準を知っておきたいですよね。

今回の記事では、まさにメニエール病で障害年金を受給することはできるのか、認定の基準、申請時に必要な書類について詳しくご説明していきます。

 

1 メニエール病でも障害年金は受給できる!

聴覚、平衡機能に同時に症状が出ている場合は総合判断となって等級が決まりますが、メニエール病の場合はその症状的に、ほとんどの方が3級、もしくは障害手当金に認定されます。

したがって、初診日の時点で厚生年金に加入していた方は3級、障害手当金を受給することができますが、国民年金に加入していた場合は制度上3級以下が設けられていないので、2級以上の症状でなければ受給できません。

次の章で、どの程度の障害状態であれば何級相当なのかといった基準についてご説明いたします。

障害年金とは?

病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。

申請は20歳から65歳になる前々日までに行う必要があります。

日本年金機構が認定し、支給している国の制度で、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。

 

障害年金の等級は1~3級で、初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度によって該当するものが変わります。

 

  • 初診日に国民年金に加入していた、または20歳前に初診日がある場合(障害基礎年金):
    1級もしくは2級
  • 初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金):
    1級、2級、3級、もしくは障害手当金(初診日から5年以内であれば支給される一時金)

(共済年金は現在、厚生年金と一元化されています)

 

 

2 障害年金の認定基準

メニエール病は聴覚と平衡機能感覚に関する症状がでますが、障害年金では、その2つの症状について総合判断で審査されます。

 

2-1 聴覚の障害に関する認定

数値は補聴器などの補助器具を使用しない状態で計測します。
なお身体障害者手帳の等級とは関係ありませんのでご注意ください。

障害の状態と等級

※平均純音聴覚デシベル値や最良語音明瞭度とは、あなたの聴覚レベルから計算して算出する平均値等を指します。

両耳の聴覚レベルが100デシベル以上の場合は、聴性脳幹反応検査(ABR検査)と呼ばれる、音を聞いたときの脳の反応についての検査が必要です。ABR検査の結果によっては1級にならない場合もあります。

 

2-2 平衡機能の障害がある場合の認定基準

めまい発作による平衡機能障害の場合は、以下のような認定基準で審査されます。

ただし服薬でコントロールできるものや、30分程度休めば立ち上がって歩行が可能なものについては認定対象外です。

障害の状態と等級

 

2-3 障害者特例を受けられる場合について

1章の初めで、「初診日に国民年金に加入していた場合は、3級相当の状態では障害年金を受給できない」とお伝えしましたが、もしあなたが以下の状況で「特別支給の老齢厚生年金」を受給中であれば、老齢基礎年金も受給することができます。

「障害者特例」を受け取ることができる条件

  • 「特別支給の老齢厚生年金」を受け取っている
  • 退職しており、厚生年金を支払っていない
  • 障害状態が3級以上

もしあなたが、初診日時点で国民年金に加入していたとしても、障害状態が3級以上で、かつ特別支給の老齢厚生年金を受給しているのであれば、「障害者特例」を受け取ることができます。

請求方法は、障害年金の請求+障害者特例の申請のみです。詳しくは、年金事務所へお問い合わせください。

「特別支給の老齢厚生年金」とは

65歳より前に支給される老齢厚生年金のことを言います。受給できる方は以下に当てはまる方です。

 

「特別支給の老齢厚生年金」を受け取る事ができる条件

  • 男性の場合、昭和36年4月1日以前にお生まれの方
  • 女性の場合、昭和41年4月1日以前にお生まれの方
  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
  • 厚生年金保険等に1年以上加入していた
  • 60歳以上である

これらの方々は、お生まれの年によって支給開始年度が異なりますが、65歳より前に老齢厚生年金の支給が始まります。

 

「特別支給の老齢厚生年金」は通常、厚生年金部分(報酬比例部分)のみの支給です。

ただし受給中にあなたが障害年金の1級~3級を受けられる障害状態になった場合は、「障害者特例」の請求を行うことで、基礎年金部分(定額部分)を受給することができます。(退職して厚生年金を払っていない方が条件です)

 

「障害者特例」の手続きは、障害年金の請求書類と、障害者特例の請求書類をそろえて行います。

詳しくは年金事務所にお問い合わせ下さい。

特別支給の老齢厚生年金について(年金機構HP)」

 

 

3 初診日までの年金の納付要件を確認する

障害年金は、障害状態の他に、初診日までの「年金の納付要件(条件)」を満たしていなければなりません。以下を確認してください。

初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方で

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

(1)もしくは(2)に該当しなければ条件を満たしていないので、障害年金を受給することができません。

自分が納付要件を満たしているか分からない場合は、お近くの年金事務所で教えてもらいましょう。

 

4 障害年金を受給するための3つの重要書類と取付け方法

ここまでで、障害年金が受給できる人の条件についてご説明してきました。

続いて障害年金の申請準備にあたって、重要な書類の取り付け方や作成の方法についてご説明していきます。

 

4-1 受診状況等証明書

「受診状況等証明書」とは、メニエール病の症状のために初めて病院を受診した日(初診日)を証明するための書類です。

誤診であったり専門の診療科でなかった場合でも、その症状で初めて病院を受診した日が初診日になります。

初診日のある病院で作成を依頼しましょう。(診断書を書いてもらう病院が初診病院である場合は必要ありません。)

もし初診日のある病院が廃院になっていたり、カルテが破棄されていて、「受診状況等証明書」を病院に書いてもらえない場合は、健康保険組合の診療報酬明細書を開示したり、診察券や領収書などの参考資料と一緒に「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を提出しましょう。

この時、参考資料に初診病院の名前や初診日頃の日付の記載があると、初診日の証明が通りやすくなります。

初診日証明について、詳しくは「障害年金の申請に必須!初診日証明の方法と書類の確認ポイントを解説」を参考にして下さい。

 

4-2 診断書

聴覚の障害用の診断書を主治医に書いてもらいましょう。

ただし両耳の聴力レベルが100デシベル以上である場合は、脳の反応の検査(ABR検査など)の数値を診断書に記載する必要があります。

タウンクリニックや診療所には検査機器が置かれていない場合があるので、主治医に相談してください。

医師に診断書を書いてもらえましたら、必ず以下の点を確認してください。
診断書に不備があると、年金機構から診断書が戻ってきてしまいますので注意してください。

1.診断書に赤字で書かれている以下について記載漏れはありませんか。

(8)診断書作成医療機関における初診時所見の初診年月日および所見
(10)障害の状態の現症時の日付
(11)現症時の日常生活活動能力及び労働能力
(12)予後

2.診断書(10)の(1)について

・補聴器をはずして測定した数値か
・オージオグラムや語音明瞭度曲線(90デシベル以下の場合)に記載漏れはないか
→特にオージオグラムの場合、〇、×、[、]のすべての記号が記載されているか確認しましょう。

オージオグラム記入例

上記はオージオグラムの記入例です。
〇は右耳の気導聴力、×は左耳の気導聴力、[ は右耳の骨導聴力、] は左耳の骨導聴力を表しています。

3.診断書(10)の(3)について

平衡機能障害について記載する欄ですが、「ウ 自覚症状・他覚所見および検査所見」の記入が非常に重要です。

アやイの欄とは違い、詳しく記入することで、年金機構にどの程度の症状なのか伝えることができる唯一の欄と言っても過言ではありません。

空白のまま提出しないように必ず確認してください。

診断書記入例

 

4-3 病歴・就労状況等申立書

「病歴・就労状況等申立書」とは、発病したときから現在までの経過を3~5年に区切って申告するための書類です。

受診状況等証明書や診断書と違い、請求者が作成する書類です。

いままでの病状や日常生活、就労状況について請求者が直接申告できる唯一の書類ですので、下記をご参考にして頂き、具体的に記入してください。

受診していた期間について ・どのくらいの期間、どのくらいの頻度で受診したか
・入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか

・医師や看護師から言われていたこと
(補聴器をつけるように言われた、手話教室に参加するように言われた等)

・日常生活状況
(具体的にどんな症状があって、どう困っていたか。例:回転性のめまいや大きな耳鳴り、吐き気などの症状で家から出られないことが多い等)
・就労状況
(週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があれば記入する。聴力の障害のために生じている仕事の制限や職場での配慮があれば記入する。例:週に2日、障害者雇用で働いているが、指示が全てメモで振られてくるので細かく理解しにくい等)
受診していなかった期間について ・受診していなかった理由
(自覚症状がなかった、経済的に行けなかった等)
・自覚症状の程度
(いつどんな症状がどの程度あったか。例:耳鳴りや低い音が聴こえないことがあった等)
・日常生活状況
(普段通りではなかったことがあれば記入する)
・就労状況
(聴力の障害によって仕事に支障がでていたか等を記入する)

 

5 まとめ

今回の記事では、

  • メニエール病で受給するには、初診日が厚生年金であること、もしくは特別支給の老齢厚生年金を受給していることが重要
  • 認定基準と、聴力と平衡機能の症状を総合判断されることについて
  • 初診日までの一定期間、年金を納めていることが必要であること
  • 申請時に重要な3枚の書類と取付け・記入の方法

をお伝えしました。
障害年金は申請しなければ受給できません。なるべく早めに準備をして請求しましょう。

 

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ただし、以下のルールを必ず守っていただきますようにお願いいたします。

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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