人工関節・人工骨頭の手術を受けたけれども、自分が障害年金の対象になるかわからずに悩んでいませんか?
実は、正しい手順で確認すると、障害年金がもらえるかどうかをすぐにチェックすることができます。
この記事では、人工関節・人工骨頭の手術を受けた場合に障害年金がもらえるかどうかの具体的な判断方法をわかりやすくご説明し、申請のポイントについても解説します。
咲くやこの花法律事務所認定実績例はこちらをご覧ください。
障害年金は、時間がたつと過去の分がもらえなくなることも多く、早く申請すればするほど多くもらえます。
また、申請しなければ決してもらうことはできません。
この記事を読んで、あなたが障害年金の対象になるかを確認してみてください。
目次
1 人工関節・人工骨頭について障害年金が申請できる場合がある!
表題の通り、人工関節・人工骨頭について障害年金が申請できる場合があります。
そこで、まず、あなたが人工関節・人工骨頭で障害年金が申請できるかについて、「おおまかに目星をつける方法」をご説明します。
なお、以下では、下肢に人工関節・人工骨頭を入れた場合を想定してご説明しますが、上肢について人工関節・人工骨頭を入れた場合も判断基準は同じです。
人工関節・人工骨頭で障害年金がもらえるかどうかは、「初診日のあなたの年齢」や「初診日にあなたが加入していた年金の種類」によって、決まります。
ここでいう、「初診日」とは、先天性股関節脱臼や変形性股関節症あるいは大腿骨頭壊死、その他の傷病で、脚の痛みや不具合についてはじめて病院にかかった日のことです。
初診日に加入していた年金の種類については、基本的には以下のとおりになります。
(1)初診日に会社員だった場合
初診日の加入年金は厚生年金であることが通常です。
(2)初診日に公務員だった場合
初診日の加入年金は共済年金であることが通常です。
(3)初診日に自営業、主婦、無職だった場合
初診日の加入年金は国民年金であることが通常です。
以下で、初診日に加入していた年金の種類ごとに場合分けしてみていきましょう。
1-1 初診日に厚生年金または共済年金に加入していた場合は原則として障害年金をもらえる。
あなたが、初診日に厚生年金または共済年金に加入していた場合は、正しい方法で請求をし、かつ、年金の納付状況に大きな問題がなければ、障害年金がもらえます。
人工関節・人工骨頭の手術をしている場合は少なくとも3級に該当する。
人工関節・人工骨頭の手術をしている場合は、障害年金の認定基準において、少なくとも3級には該当します。
障害年金では障害の程度を重い順から1級、2級、3級と区分していますが、初診日に厚生年金または共済年金に加入していた場合は、一番軽い3級でも障害年金の申請が可能です。これは、初診日に厚生年金または共済年金に加入していた場合は、国民年金加入者よりも多く年金保険料を納付していたことから、国民年金加入者と比較して有利な扱いになっています(国民年金加入者は2級以上に該当しなければ障害年金を申請できません)。
そのため、初診日に厚生年金または共済年金に加入していた場合はあとは初診日以前の年金の納付状況に問題がなければ障害年金を申請することができるのです。年金の納付状況に問題がないかどうかの確認方法は、2-2を参照ください。
1-2 初診日に国民年金に加入していた場合は特別な場合のみ障害年金がもらえる。
初診日に国民年金に加入していた場合、人工関節・人工骨頭で障害年金を受給することは原則としてできません。
ただし、例外として以下の2つのケースでは、初診日が国民年金でも障害年金の受給が可能です。
ケース1:人工関節や人工骨頭の手術の後も特に症状が重い場合。
具体的には、「1つの脚の股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、2つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合」や「両方の脚について、股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、1つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合」などがこのケースにあたります。
ケース2:初診日に病院にかかった後、5年以上病院に行かずに生活しており、再度、病院を受診したのが厚生年金加入時の場合
このように、初診日に国民年金に加入していた場合に、人工関節・人工骨頭で障害年金を受給できるのは、特別なケースに限定されています。
初診日が国民年金の場合は2級以上に該当しなければ障害年金を申請できないことが原則
初診日に国民年金に加入していた場合、原則として障害の重さが2級以上に該当しなければ障害年金は申請できません。
人工関節・人工骨頭の手術をしたことについての障害等級は原則として2級より1つ下の3級になります。
そのため、初診日が国民年金の場合、人工関節・人工骨頭の手術をしているだけでなく、その後の症状が特に重く、2級以上に該当する特別な場合でなければ、障害年金を申請できません。
具体的には、以下のような場合が2級以上に該当します。
・1つの脚の股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、2つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合
・両方の脚について、股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、1つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合
社会的治癒後の初診日が厚生年金の場合は、3級でも障害年金を申請できる。
実は、例外的に、初診日が国民年金の場合に3級でも障害年金を申請できるケースがあります。
初診日に病院にかかった後も、その後5年以上病院に行かずに普通に生活しており、再度、病院を受診したのが厚生年金加入時の場合です。この場合は、「社会的治癒」という考え方を使うことにより、障害年金を申請できることがあるのです。
「社会的治癒」というのは、治療を長期間中断して通常の生活を送っていた場合は、治療再開の日を初診日とすることができるというルールです。「社会的治癒」の主張が認められれば、治療再開時に厚生年金加入のケースでは、初診日に厚生年金に加入していたという扱いを受けることができます。その結果、3級にあたる障害であっても、障害年金の申請が可能になるのです。
人工関節・人工骨頭の手術をしている場合は少なくとも3級に該当しますので、治療再開時に厚生年金加入であれば障害年金の申請が可能です。
1-3 初診日に未成年だった場合も特別な場合のみ申請ができる。
初診日に未成年だった場合、初診日が国民年金だった場合と同じ扱いになります。
人工関節・人工骨頭で障害年金を受給することは原則としてできません。
ただし、例外として以下の2つのケースでは、初診日に未成年だった場合でも障害年金の受給が可能です。
ケース1:人工関節や人工骨頭の手術の後も特に症状が重い場合。
具体的には、「1つの脚の股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、2つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合」や「両方の脚について、股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、1つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合」などがこのケースにあたります。
ケース2:初診日に病院にかかった後、5年以上病院に行かずに生活しており、再度、病院を受診したのが厚生年金加入時の場合
これらの点については、1-2の項目で詳しく説明しましたので、1-2の項目を参照してください。
1-4 初診日が成人後で年金未加入の時の場合は申請できない。
初診日が成人後で年金未加入の時の場合は、障害年金は受給できません。法律上、成人後は原則として日本国民全員が年金に加入しなければならず、それを果たしていなかったときは、残念ですが、障害年金を受給することはできないことになっています。
まずは、上記の1-1から1-4の説明を参考にあなたが受給できそうかどうか大まかな目星をつけてください。
なお、あなたが現在も働いていたり、介護が必要な状態になっていないとしても、障害年金をもらうことについての支障にはなりません。働きながらでも障害年金をもらうことは可能です。
2 人工関節・人工骨頭で実際に障害年金が申請できるかどうかの詳しい判断手順
それでは、以下で、あなたが実際に障害年金を申請できるかどうかを確認する、詳しい判断手順を見ていきましょう。
2-1 まず、「初診日の加入年金」を確認する。
冒頭でご説明した通り、障害年金を申請できるかどうかは、「初診日」のあなたの年齢や加入していた年金の種類によって、決まってきます。
そのため、まずは、あなたが初診日に加入していた年金の種類が、厚生年金、共済年金、国民年金のどれなのかを確認することが必要です。
2-2 初診日の加入年金がわかれば納付要件を確認する。
初診日に加入していた年金がわかれば、次に「納付要件」を確認します。
現在の制度では、原則として、初診日以前に年金をきちんと納付していた人にのみ障害年金が支給されることになっています。この「年金をきちんと納付していた人かどうか」を判断する基準が「納付要件」です。
下記の3つのいずれか1つにでもあたれば、「納付要件」を満たします。
(1)初診日のある月の前々月からさかのぼって1年間の間に年金の未納がない場合
(2)20歳から初診日のある前々月までの期間のうち、年金の未納期間が3分の1未満の場合
(3)初診日が20歳未満の場合
自分の年金の納付履歴がわからない場合は、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を確認しましょう。
2-3 厚生年金または共済年金の場合は年金を納付していれば申請できる!
初診日が厚生年金または共済年金加入時の場合、年金の納付要件を満たしていれば、人工関節、人工骨頭について、障害年金の受給が可能です。
この点をフローチャートにすると以下の通りです。
ただし、もし、あなたが65歳以上の場合は、2-6の項目をさらにチェックしてください。
2-4 初診日が国民年金の場合は2つのケースに限り申請できる。
初診日が国民年金の場合、人工関節や人工骨頭で障害年金を受給できるのは以下の2つのケースに限られます。
ケース1:人工関節や人工骨頭の手術の後も特に症状が重い場合(2級以上に該当する場合)
ケース2:初診日に病院にかかった後、5年以上病院に行かずに生活しており、再度、病院を受診したのが厚生年金加入時の場合(社会的治癒後の初診日が厚生年金の場合)
以下で順番に見ていきましょう。
初診日が国民年金の場合でも障害が2級以上に該当する場合は障害年金を受給できる。
初診日が国民年金の場合でも障害の重さが2級以上に該当する場合は、障害年金の受給が可能です。
具体的には 「一下肢の用を全く廃したもの」に該当する場合と「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当する場合」は障害の重さが2級以上に該当し、障害年金の受給が可能です。
以下でそれぞれの場合を見ていきましょう。
「一下肢の用を全く廃したもの」に該当する場合
人工関節の手術により片側の脚にのみ支障が出ている場合は、この基準になります。
支障が出ている脚の股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、2つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合などがこれにあたります。
「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当する場合
人工関節の手術により両脚に支障が出ている場合は、この基準になります。
両方の脚について、股関節、膝関節、足関節の3つの関節のうち、1つ以上が、通常の2分の1以下しか動かすことができず、かつ、その脚の筋力が半減している場合などがこれにあたります。
社会的治癒後の初診日が厚生年金の場合は、3級でも障害年金を申請できる。
初診日が国民年金の場合、原則として2級以上でなければ障害年金を受給できませんが、例外的に「社会的治癒」という考え方を使うことにより3級でも受給できるケースがあります。
具体的には、もし、あなたが、足の痛みや不具合ではじめて病院にかかった後、おおむね5年以上、病院に行かずに通常の社会生活をしていたときは、「社会的治癒」という考え方を使うことにより、治療再開後にはじめて病院にかかった日を「社会的治癒後の初診日」として扱うことができます。
この場合、社会的治癒後の初診日に厚生年金に加入していて、かつ、社会的治癒後の初診日において2-2の項目で紹介した、年金の納付要件を満たしていれば、手術後の症状が特に重い場合でなくても、障害年金の受給が可能です。
初診日に国民年金に加入していた場合のフローチャート
ここまでご説明した、初診日に国民年金に加入していた場合の判断手順をフローチャートにすると以下の通りです。
ただし、もし、あなたが65歳以上の場合は、さらに2-6の項目をチェックしてください。
2-5 初診日に未成年だった場合も2つのケースに限り申請できる。
初診日に未成年だった場合も、2-4と同じ判断基準になり、以下の2つのケースに限って、障害年金がもらえます。
- 人工関節や人工骨頭の手術の後も特に症状が重い場合(2級以上に該当する場合)
- 初診日に病院にかかった後、5年以上病院に行かずに生活しており、再度、病院を受診したのが厚生年金加入時の場合(社会的治癒後の初診日が厚生年金の場合)
例えば、先天性股関節脱臼で幼少期に医師に受診していたとしても、その後、通常の社会生活を送っており、成人して厚生年金に加入してから、再度医師に受診したようなケースでは、「社会的治癒後の初診日が厚生年金の場合」にあたります。この場合、社会的治癒後の初診日において2-2の項目で紹介した、年金の納付要件を満たしていれば、障害年金が受給できます。
初診日に未成年だった場合のフローチャート
初診日に未成年だった場合の判断手順をフローチャートにすると以下の通りです。
ただし、もし、あなたが65歳以上の場合は、さらに2-6の項目をチェックしてください。
2―6 年齢が65歳以上の場合は注意!
もし、現在のあなたの年齢が65歳以上の場合は、以上でご説明した条件をすべて満たしていても、原則として障害年金を受給することはできません。これはすでに老齢年金を受給できる年齢になっていることが1つの理由です。
ただし、以下の場合は、65歳以上であっても、例外的に障害年金を受給することができます。
65歳以上でも受給できる例外的ケース
ケース1:初診日が65歳未満で、初診日から1年半以内に人工関節・人工骨頭の手術をした場合
ケース2:初診日が65歳以上でも、その初診日のときに厚生年金に加入していた場合
ケース3:初診日が65歳以上でも、その初診日のときに国民年金の任意加入者だった場合
以上、人工関節・人工骨頭で障害年金がもらえるかどうかの判断方法をご説明しました。
ここでご説明した順番に沿って、確認していけば、あなたが障害年金を受給できるかどうかの判断ができたはずです。
3 人工関節・人工骨頭で障害年金を受給するための申請のコツ
あなたが障害年金を申請できる場合であっても、実際に申請を成功させるためには、いくつものハードルを越える必要があります。ここでは、人工関節・人工骨頭の障害年金の申請を成功させるための重要なポイントとして、以下の2点をご説明します。
ポイント1:病歴・就労状況等申立書の工夫が重要。
ポイント2:診断書が正確かつ詳細に書けているかを確認する。
以下で順番に見ていきましょう。
3-1 ポイント1:病歴・就労状況等申立書の工夫が重要。
人工関節・人工骨頭で障害年金を申請する際には、「病歴・就労状況等申立書」という書面を作成する必要があります。まずはこの点について見ていきましょう。
病歴・就労状況等申立書の概要
病歴・就労状況等申立書は、以下の点を年金事務所に伝える重要な書類です。
- 「発病した時から現在までのあなたの症状の経過」
- 「障害による仕事への支障」
- 「障害による日常生活への支障」
病歴・就労状況等申立書は基本的に請求者本人が作成する書類です。ただし、もし、あなたが障害年金の申請を弁護士や社労士に依頼する場合は、通常、弁護士や社労士が作成してくれます。
病歴・就労状況等申立書の作成のポイント
病歴・就労状況等申立書には、「発病した時から現在までのあなたの症状の経過」をできる限り具体的、詳細に記載し、年金事務所にあなたの症状を十分伝えることが必要です。
特に、あなたが初めて病院を受診してから、人工関節・人工骨頭の手術を受けるまで長期の期間があった場合は、その期間を3年から5年ごとに区切って、詳細に経緯を記載しましょう。
また、「仕事への支障」については、「仕事中や仕事が終わったときの身体の調子」について詳細に記載することで、あなたの症状を正確に年金事務所に伝えていきましょう。
さらに、「日常生活への支障」については、「障害が原因で日常生活で不便に感じたこと」について詳細に記載することが重要です。
治療期間に中断がある場合のポイント
あたの治療期間に中断がある場合、病歴・就労状況等申立書に中断していた時期のあなたの生活状況をわかりやすく詳細に記載する必要があります。
前述のとおり、人工関節・人工骨頭については、初診日が国民年金の場合や未成年の場合は特別なケースを除き障害年金を受給できません。そのため、特に初診日が国民年金の場合や未成年の場合で、治療の中断期間があり、中断後に再度病院を受診したのが厚生年金加入時の場合は、前述の「社会的治癒」の考え方を使って、治療再開後の厚生年金加入時を初診日と扱ってもらうことが重要なポイントです。
このように「社会的治癒」の考え方を使う場合、治療を中断していた時期のあなたの生活状況をわかりやすく詳細に病歴・就労状況等申立書に記載しましょう。中断期間中の状況の詳細な記載が、年金事務所に社会的治癒を認めてもらって、障害年金の申請を成功させるために重要です。
3-2 ポイント2:診断書が正確かつ詳細に書けているかを確認する。
人工関節・人工骨頭で障害年金を申請する際のもう1つのポイントが診断書の確認です。この点についても詳細を見ていきましょう
診断書の概要
人工関節・人工骨頭については、日本年金機構が提供する診断書のひな形のうち、「肢体の障害用」の診断書を使用します。
診断書は全てあなたの主治医が作成する書面ですので、主治医に作成を依頼することになります。
診断書記載項目の重要なポイント
診断書の記載項目は多岐にわたりますが、その中でも以下の点が重要です。
人工骨頭・人工関節の装着の状態欄
複数の箇所に人工骨頭または人工関節を入れている場合は、そのことがわかるように記載してもらいましょう。
関節可動域及び筋力の項目
2級に該当するためには、関節の可動域(動く範囲)と脚の筋力が半減していることが必要です。関節の可動域や脚の筋力に制限が生じている内容を記載してもらいましょう。
四肢長及び四肢囲の項目
腕や脚の長さや太さを記載する項目です。
例えば、「大腿囲」の項目は、太もも部分の太さを計測して記載します。
太さが左右で差があることは、筋力が低下していることを示す重要な事実になりますので、記載してもらいましょう。
日常生活のおける動作の障害の程度の項目
片足で立つことができるか、正座やあぐらができるかなど、動作についての支障を医師に伝え、正確に記載してもらいましょう。
補助具使用状況の項目
杖などの使用の有無について記載します。
「使用状況を詳しく記入してください」の欄には、例えば、杖を屋内でも使用している場合、屋内でも杖の使用が必要なことがわかるように詳しい記載をしましょう。
その他の精神・身体の障害の状態の項目
人工骨頭、人工関節以外の精神や身体の不調について記載します。
現症時の日常生活活動能力及び労働能力の項目
補助用具なし、介助なしの状態で現在日常生活に支障がある内容や仕事に支障がある内容を医師に伝えて記載してもらいましょう。
備考の項目
あなたの症状のうち、診断書で伝えきれなかった点があれば記載してもらいましょう。
診断書依頼のポイント
詳細で正確な診断書を作成してもらうためには、診断書の記載を医師にまかせるだけでは不十分です。
例えば、「日常生活のおける動作の障害の程度」を記載する項目や、「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」を記載する項目がありますが、必ずしも、主治医が、「あなたが日常生活や仕事においてどのような支障を感じているか」を把握しているとは限りません。
そのため、主治医に診断書の記載をお願いする前に、自分なりの診断書の記載案を作ってみて、主治医のもとに持参することが、良い診断書を書いてもらうための重要なポイントです。
また、あなたが両膝あるいは両股関節に人工関節・人工骨頭を入れている場合は、必ずそのことがわかる内容の診断書にする必要があります。
診断書はあなたの障害の程度を判断する非常に重要な書類ですが、主治医に記載をまかせきりにしてしまうと、あなたの症状が十分、年金事務所に伝わらず、結果として不利な判定を受けてしまいますので、注意してください。
医師からできあがった診断書を受け取ったときは、診断書の内容を十分確認して、あなたの症状が正確かつ詳細に書かれているかを十分確認しましょう。
4 手術後はできるだけ早く障害年金を申請するのがベスト!
最後に、もし、あなたが障害年金を受給できる場合、できるだけ早く申請することがベストです。
より具体的には、人工関節・人工骨頭の手術をした日から3か月以内に、障害年金の請求の準備を始めることをおすすめします。
これには、以下の2つの理由があります。
4-1 理由1:人工関節・人工骨頭の障害年金は手術の月の翌月から支給される。
人工関節・人工骨頭の障害年金は、早く申請すれば、手術の月の翌月から受給することができます。
ただし、そのためには、手術後3か月以内の症状を記載した診断書を提出する必要があります。
そのため、手術した日から3か月以内に申請の準備を始めることがベストです。
4-2 理由2:過去の分をさかのぼってもらうことはできないことがある。
手術後1年以上たって障害年金を申請する場合、手術の月の翌月からの受給ができなくなる場合があります。
つまり、あなたが、初診日から1年6か月以上経過してから手術した場合で、手術から1年以上たって障害年金の申請をした場合は、障害年金の受給が認められても、申請をした月の翌月からの分しか受給できないルールになっています。そのため、申請が遅れれば遅れるほど障害年金を受給できる総額が少なくなります。
早く申請していれば、手術の月の翌月から障害年金を受給することができたのに、1年以上たってから申請したことが理由で過去の分をさかのぼってもらうことができなくなるのです。
以上の2つの理由から、あなたが障害年金を申請できる場合は、できるだけ早く、できれば手術後3か月以内に準備を始めるべきです。もし、現在、すでに手術から3か月以上経過している場合は、いますぐ申請の準備を始めることがあなたが最も多く障害年金をもらうことができる方法になります。
5 まとめ
いかがでしたでしょうか?
あなたが障害年金を受給できるかどうかについて判断ができ、さらに障害年金の申請を成功させるコツについてもご理解いただけたのではないかと思います。
人工骨頭、人工関節の障害年金は、一度申請すれば一生もらえることも多いです。
受給額は、あなたの年金の納付状況などによって変わりますが、年間70万円程度になることが多いです。
仮に、あなたが今50歳で、毎年70万円の障害年金がもらえる場合、65歳までの受給分だけでも、1000万円を超える金額になります。
もらうことができる場合は、あなたご自身やご家族のためにも、必ず申請しておきましょう。
患者団体や病院の方、あるいは報道機関から、この記事を利用したいとのお問い合わせをいただくことがあります。
障害年金の制度を患者の方にお伝えいただく目的で使用いただくのであれば、無償で利用していただいて結構です。
ただし、以下のルールを必ず守っていただきますようにお願いいたします。
- 記事は修正しないでそのまま使用してください。
- 咲くやこの花法律事務所の記事であることは使用の際に明示をお願いいたします。
- 紙媒体での使用のみとし、記事をインターネット上にアップロードすることは禁じます。
- 患者団体または病院関係者、報道機関以外の方の使用は禁じます。