1.結果
【請求者】
男性(50代)
【傷病名】
大腿骨骨頭壊死症による人工骨頭挿入
【決定した年金種類と等級】
障害厚生年金3級
【請求方法】
遡及請求
【結果】
一時金390万円の支給と、毎年約73万円の年金受給が決定
障害厚生年金の年額は初診日までに払った厚生年金保険料によって算定されます。
依頼者は初診日まで30年近く厚生年金を支払っておられましたので、最低保障額の58万円よりも15万円高い金額で認定されました。
2.ご相談の経緯・概要
勤務中の事故で大腿骨を骨折され、完治後15年経って突然脚が痛みだし病院を受診したところ「特発性大腿骨骨頭壊死症」と診断された方です。
診断の2ヶ月後には病院で人工関節(人工骨頭)挿入の手術を受けられ、初診から5年以上経過していたので、遡及請求(*1)できないかというご相談で来所いただきました。
また、初診日が、初めて大腿骨を骨折した日なのか、特発性大腿骨骨頭壊死症で受診した日なのか判断してほしいとご希望でした。
(*1)遡及請求(そきゅうせいきゅう)とは? 障害年金は、初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)から請求することが可能です。た |
相談時にご事情を把握した上で
- 初めて大腿骨を骨折した日が初診日となると、病院にカルテが残っているかわからず証明が難しいこと
- 初めて大腿骨を骨折した日が初診日となると、遡及請求できないこと
をふまえ、特発性大腿骨骨頭壊死症の初診日で申請する方針ですすめることになりました。
3.工夫した点、苦労した点
遡及請求の場合、障害認定日(*2)の診断書が必要になりますので、まずは障害認定日がいつになるのか特定する必要があります。
障害認定日は通常「初診日から1年6ヶ月経過した日」とされていますが、人工関節挿入の場合は、「初診日から1年6ヶ月経過した日」、または「初診日から1年6ヶ月経過する前に人工関節を装着した場合は、装着した日」とされています。
(*2)障害認定日とは? 障害認定日とは、障害状態を確認するための基準日のことです。障害年金はこの日から請求する 障害認定日は原則【初診日から1年6ヶ月経過した日】のことを指しますが、傷病によっては初診 |
依頼者は後者に該当する方でしたので、通常よりも障害認定日が早くきていた点に注意して診断書の作成を依頼しました。
障害認定日をできるだけ早い時点にとることができる疾患でしたので、さかのぼってもらえる障害年金の額を増やすことができました。
また、特発性大腿骨骨頭壊死症で人工関節を挿入されたとのことでしたが、依頼者が初診日と人工関節を挿入した手術日を記憶されていたため、ご依頼日から申請日まで1ヶ月で完了することができました。
通常は初診日の特定(受診状況等証明書の取付け)、障害認定日を特定したのち、診断書の作成を依頼、といった手順をふんで必要書類を集めますので、必要書類の取付けだけでも2,3ヶ月かかることほとんどです。
しかしながら、依頼者の場合は初診日も障害認定日も特定できていましたので、同じタイミングで各病院に文書の作成を依頼することで、全ての必要書類を1ヶ月で集めることができました。
初診病院が現在のお住まいより遠方とのことで、病院の了承を得た上で、弊事務所より代理で受診状況等証明書の作成を依頼しました。
大きな問題もなく2週間程度で病院から取得でき、診断書の作成を現在通われている病院に依頼するまで短期間で進めることができました。
診断書の作成を病院に依頼いただいたあとは、できあがりを待つ間に依頼者とメールでやりとりをさせていただき、病歴・就労状況等申立書(*3)を作成することができました。
(*3)病歴就労状況等申立書とは? 障害状態の認定や初診日を確定する上で重要な補足資料として、発病から初診までの経過や、その この申立書は診断書の内容と矛盾がないように作成する必要があり、一見自分で書けるような書類 診断書は記入例を添付したおかげか、問題なく提出できるものを病院から受け取ることができました。 |
4 まとめ
今回は、人工関節について咲くやこの花法律事務所にご依頼いただき、3級の認定を受けることができたケースを紹介しました。
人工関節の障害年金の申請については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。