障害年金を再開させるには?支給停止事由消滅届をご説明します!

女性 ひらめく
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障害年金が支給停止になっている人が再度受給するには、年金事務所に「支給停止事由消滅届」を提出しなければなりません。
今回の記事ではケース別に「支給停止事由消滅届」の書き方、必要書類についてご説明します。

1 支給停止事由消滅届とは

「支給停止事由消滅届」とは、いままでに1度でも障害年金を受給したことがある方(受給権を持つ方)が、現在なんらかの理由で支給停止になっているときに、年金機構に停止の解除(再開)を求めるために提出する書類です。

支給停止事由消滅届を提出するときも診断書の審査がありますので、結果が出るまで平均3~6ヶ月かかります。審査に時間はかかりますが、認定されれば支給停止事由消滅届を提出した翌月分から受給できます。

更新のタイミングで支給は止まっていないけど等級が下がった方(障害基礎年金は1級から2級へ、障害厚生年金1級から2級もしくは2級から3級)は「額改定請求」、支給停止中に別疾患が出た方は別疾患に関する新たな請求を行う必要がありますので、年金事務所でその旨をお伝え下さい。

20歳前傷病の方で、所得制限がかかって支給停止になているときは、支給停止事由消滅届の提出は不要です。毎年提出する「所得状況届」で所得が基準から下がったことがわかれば、自動的に障害年金の受給が再開されます。

支給停止事由消滅届

 

1-1 どんな人が出す書類か

障害年金が支給停止になっているなんらかの理由とは、おおまかに以下の場合を指します。

(Ⅰ)障害年金受給中に不支給通知が届いた、または数年間支給停止になっていた
(Ⅱ)障害年金受給中に他の年金を受け取るために、一時的に支給停止になっていた
(Ⅲ)障害年金受給中に交通事故などの賠償金を受け取っていたため、支給停止になっていた

これらに該当する方は「支給停止事由消滅届」を提出すると、審査の結果によりますが、障害年金の支給を再開してもらうことができます。

 

1-2 必要な添付書類

(Ⅰ)障害年金受給中に不支給通知が届いた、または数年間支給停止になっていた
(Ⅲ)障害年金受給中に交通事故などの賠償金を受け取っていたため、支給停止になっていた
の2つのケースに当たる方は、下記のオレンジのかこみの中の書類をご準備下さい。

(Ⅱ)障害年金受給中に他の年金を受け取るために、一時的に支給停止になっていた
に該当する方は、下記のかこみの中の書類とともに年金機構から送られてきた遺族年金・老齢年金の支払終了の案内を持って年金事務所に提出しましょう。

1.請求者の年金証書(もしくは年金手帳などの基礎年金番号がわかるもの)

 

2.請求者に関する、医師または歯科医師の診断書(厚生労働大臣から診断書は不要であると通知を受けている人を除く)

 

3.次の病気やけがによって年金を受ける人は、レントゲンフィルム

 (呼吸器系結核、肺化のう症、けい肺(これに類似するじん肺症を含む)、その他認定又は審査に際し必要なもの

 

4.提出する日から1ヶ月以内に作成された、請求者の住民票または戸籍抄本(戸籍謄本でも可)

 (マイナンバーカードまたは通知カードの提示で省略することができます。)

 

5.障害基礎年金の方は18歳の年度を迎える前のお子様、障害厚生年金の2級以上に該当する方は18歳の年度を迎える前のお子様と配偶者との身分関係を確認することができる書類(戸籍謄本)

 

6.5のうち、国民年金法、厚生年金法、国家公務員共済組合法の障害等級の1級または2級に該当する障害状態のお子様がいる時は、医師又は歯科医師の診断書(厚生労働大臣から診断書は不要であると通知を受けている人を除く)

 

7.20歳前傷病で受給資格がある方は、取得できる一番最近の所得証明書または課税・非課税証明書

 

 

1-3 支給停止事由消滅届の書き方

(4)消滅の事由 以外は請求者全員、記入する欄が同じです。下記を参考にご記入ください。

(1)年金証書の基礎年金番号および年金コード
→年金証書に記載されています。紛失している場合は、基礎年金番号のみ記入しておきましょう。

(2)生年月日
→請求者の生年月日を記入してください。

(3)消滅の事由に該当した年月日
→提出する診断書の「現症日」と同じ日付を記入しましょう。現症日とは、診断書の真ん中や、裏面の一番上にある「障害の状態(平成 年 月 日現症)」で確認できます。

(5)配偶者について、右の欄に記入してください。
→請求する方の配偶者について記入しましょう。請求する年金が障害基礎年金、障害厚生年金のいずれであっても記入する必要があるのでご注意ください。

(6)生計維持申立 →障害基礎年金の方は18歳の年度を迎える前のお子様、障害厚生年金の2級以上に該当する方は18歳の年度を迎える前のお子様と配偶者について記入します。

(7)受給権者の個人番号
→請求者のマイナンバーを記入する欄です。ここに記載があれば住民票の提出を省略することができます。通知カードやマイナンバーカードで確認することができるので可能であれば記入しましょう。

(4)消滅の事由
→さきほど述べた3つのケースによって選択するものが変わります。該当するア~ウの記号を選びましょう。

(Ⅰ)障害年金受給中に不支給通知が届いた、または数年間支給停止になっていた
 →「 厚生年金保険法、国家公務員共済組合法の障害等級に定める程度の障害の状態になったとき、または国民年金法の障害等級に定める程度の障害の状態になったとき(ただし、障害厚生年金が支給されているときを除く」

(Ⅱ)障害年金受給中に他の年金を受け取るために、一時的に支給停止になっていた
 →「 選択していた年金の受給権が消滅したため、または支給停止となったため」

(Ⅲ)障害年金受給中に交通事故などの賠償金を受け取っていたため、支給停止になっていた
 →「 支給停止期間が満了したため」

ここまでで全て記入できましたら(6)の上に、郵便番号、住所、氏名、連絡先と捺印をしましょう。氏名などを記入する上に支給停止解除、年金額改定など※マークがついた枠がありますが、ここは年金機構が記入する欄ですので、請求者は記入不要です。

 

2 支給停止事由消滅届にまつわるギモン3選

ここからは支給停止事由消滅届に関する、よくある疑問にお答えいたします。

 

2-1 支給停止事由消滅届でさかのぼって障害年金を受給できる?

可能です。

通常請求の方法の一つに、「遡及請求」といって、障害認定日からさかのぼって障害年金を請求する方法がありますが、支給停止事由消滅届でも同じ請求方法をおこなうことが可能です。

支給停止事由消滅届で遡及請求をおこなう場合は、さかのぼる年数分の診断書の提出が必要です

たとえば平成20年に一時支給停止になっていたが、1年後症状が悪化して受給できる障害状態になっていたものの、入院中で支給停止事由消滅届を提出できなかった場合は、平成21年分の症状の診断書から現在の症状の診断書までの枚数を提出します。審査の結果認定されれば、平成21年分の診断書の現症日の翌月から、現在分までさかのぼって受給することが可能です。

 

2-2 障害状態確認届を期限内に提出できず、支給停止になってしまったときは?

支給停止事由消滅届を提出してはいけません。障害状態確認届を提出しましょう。

定期的に送られてくる、「障害状態確認届」(更新の診断書のことです)。郵送で送られてきますが、入院中であったりすると気づかないケースもあるかもしれません。

しかしこれを年金機構に提出しないと、年金機構は請求者の障害状態を確認することができないので、障害年金の支給を止めてしまいます。これは支給停止ではなく、「一時差し止め」になっている状態です。

「一時差し止め」になっている場合は、障害状態確認届が手元にあれば、急いで病院で診断書を作成してもらいましょう。この時注意してほしいのですが、あくまでも診断書の内容は障害状態確認届に記載がある更新月の症状について書いてもらう必要があります。更新月の症状でないと、一時差し止めになっていた月の分から支給を再開してもらえないこともあります。

更新月に医療機関を受診していなかった場合や、障害状態確認届を紛失してしまった場合は、年金事務所で事情を説明しましょう。新しい診断書を受け取ることができますので、それから医師に診断書の作成を依頼してください。

 

請求者にしてみれば「支給が止まっている」状態に違いはありません。

そのため「支給が止まってしまったので再開してほしい」と年金事務所の窓口で相談してしまいそうになるのですが、ここで支給停止事由消滅届を提出すると、年金機構としては「支給停止の決定を出していないので再開するもなにもできませんよ」ということになってしまうのです。

年金事務所の窓口対応も間違ってはいないのですが、こういったことにならないように、なるべく事態を詳細に伝えることが大切ですね。

 

2-3 支給停止事由消滅届の提出は、支給停止の決定が下されてから1年待たなければならないの?

待つ必要はありません。

しかしやみくもに提出しても支給停止は解除されません。前回提出の診断書と支給停止事由消滅届の診断書に短期間で変化がおこった具体的な理由を、年金機構に伝える必要があります。そのためには新たな診断書だけでなく、医師による診断書や、年金機構以外が発行した証明書などの書類を参考資料として提出すると良いでしょう。

例えば以下のような時があります。

1.前回提出の診断書の症状が軽く書かれていた場合

→医師に詳しい症状を述べた上で診断書を再作成してもらい、どうして内容が変わっているのかといった意見書も書いてもらいましょう。

2.前回提出の診断書の現症日から1年経っていない診断書を提出する場合

→短期間で症状に変化が見られたことを証明する資料を、参考資料として添付しましょう。
 たとえば、精神疾患で診断書を提出していた場合で、審査結果を待っている間に措置入院し、医師からも症状の悪化を伝えられている場合は、措置入院した期間について病院の証明書を添付することが有効です。

以前は年金機構が支給停止事由消滅届の提出を「前回提出時から1年経過後」と制限していました。これは請求者の症状が短期間で変化することはないだろうという年金機構の固定概念からあった制度なのですが、現在はこの制限が外され、請求者がいつでも申請できるようになっています。

しかし一方で診断書の他に参考資料を提出しないと、ほとんどの場合は結果を覆すことができないことに変わりはありません。前回提出の診断書と支給停止事由消滅届の診断書に短期間で変化がおこった「具体的な理由」を証明するのが難しい方や、医師の協力が得られない方などは、障害年金専門の弁護士や社会保険労務士に相談してみましょう。

 

3 まとめ

支給停止事由消滅届は、支給が止まっている障害年金を再度受給するために出す届出です。

今回は必要な添付書類と支給停止事由消滅届の書き方をご説明するともに、

・支給停止事由消滅届でも障害年金をさかのぼって請求できる!
・障害状態確認届で支給停止になったら、まずは障害状態確認届を出す!
・支給停止事由消滅届は、支給停止になってから1年待たなくても提出できる!

以上3点をお伝え致しました。

止まっている障害年金が少しでもはやく再開されるように、ぜひこの記事を参考にしてください。

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
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    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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