こころの病気は国内患者数が320万人を超える誰でもかかる可能性のある身近な病気です。もし自分がこころの病気になったら、家族がこころの病気になったらどうすればいいのか、誰でも不安なものです。こころの病気について、悩みに応じた様々な相談機関や支援機関があります。今回は、こころの病気について相談できる窓口を紹介します。
1 迷ったらここに相談
1-1 市町村の福祉担当課
「障害について相談したいけど、どこに相談すればいいのかわからない・・・」そんな時は、市町村の福祉担当課に相談しましょう。市町村の福祉担当課は、障害をお持ちの方の総合的な相談窓口です。市町村によって名称は異なりますが(障害福祉課、保健福祉課、福祉課等)、障害をお持ちの方の悩みについて幅広く相談を受け付けています。また、障害者手帳や自立支援医療制度の申請受付等、各種支援制度の受付業務も行っています。
こんなことができます
- 福祉サービスに関する情報提供
- 福祉サービスの利用に関する相談
- 福祉サービスの利用支援
- 福祉サービスの申請受付
- 障害者手帳の取得申請
- 自立支援医療制度の申請
- 各種専門機関の紹介
おすすめポイント
障害者関連施設の多くが公営です。また、私営の事業所・障害者団体とも連携をとっている場合がほとんどです。どこに行けばいいか分からない、迷ったらまずは市町村の障害福祉課へ行きましょう。それぞれの悩みに適した施設を紹介してもらえます。
2 障害者の生活について知りたい
2-1 保健所
こころの不調やこころの病気に関する医療、福祉制度や受けられる支援に関する相談など障害をお持ちの方の生活に関する様々な相談を行っています。各都道府県、指定都市等に設置されています。
こんなことができます
- 保健師、医師、精神保健福祉士等の専門家への相談(電話相談も可)
- 保健師による訪問相談
おすすめポイント
体の不調・症状などに関する相談や支援制度の案内など障害者の生活全般の幅広い身近な悩みに対応しています。うつ病や統合失調症、アルコール依存症、ひきこもりといったこころの病気をお持ちの方はもちろん「病院に行くほどではないけど、気持ちが不安定な状態が続いている。」という方も気軽に相談することができます。障害者本人はもちろん障害者のご家族も相談することができます。また、こころの病気をお持ちの方のご家族向けにこころの病気への理解を深めるための講習を開いている保健所もあります。
2-2 精神保健福祉センター
精神障害に関する専門的な相談ができるのが精神福祉相談センターです。精神科医療についての相談、社会復帰についての相談などを行っています。センターの規模にもよりますが、医師や看護師、保健師、精神福祉士、臨床心理技術者、作業療法士などの専門職がおり、電話や面談で相談をすることができます。各都道府県に1箇所設置されています。
こんなことができます
- 医師、看護師、保健師等の専門職員への相談(電話相談も可)
- 医療機関情報の提供
おすすめポイント
障害の中でも特に精神障害に特化した相談ができる施設です。精神障害について専門的な相談ができるので、こころの病気についてもっと深く知りたい、こころの病気の方がどのような治療を受けているのか、どのような制度を利用しているのか、またどのように社会生活を送っているか詳しく知りたい人におすすめです。
3 障害者の仕事について相談したい
3-1 ハローワーク
ハローワークでは、仕事の紹介をはじめ、どんな仕事がいいのか決められない、具体的な求職活動の仕方がわからないなど、就職に関する様々な相談を行っています。障害者専門の相談窓口で障害の特性に応じた就職支援も行っており、福祉・教育等の関係機関と連携した支援を受けることができ、就職活動から職場定着までの一貫した支援を実施しています。
こんなことができます
- 職業紹介
- 就職に関する相談
- 就職支援
おすすめポイント
それぞれの目的に応じた下記のようなサービスを提供しています。
(1)すぐに就職活動を始めたい人向けのサービス
現在募集中の仕事を紹介してもらうことができます。
(2)在職中に障害者となった方向けのサービス
慣れた職場で継続して働けるよう支援するサービスがあります(継続雇用支援)
(3)紹介された会社で継続して働くことができるか不安な方向けのサービス
短期の試行雇用から始めて、常用雇用への移行をサポートするサービスがあります(障害者トライアル雇用)
(4)職業に必要な技能を身につけたい方向けのサービス
加工技術や、コンピュータ技術、事務系の技術等の職業訓練を専門のカリキュラムに沿って受講することができるサービスがあります(公共職業訓練)
(5)職業や作業に慣れるための訓練を受けたい方向けサービス
実際の職場で作業訓練を受けることができます(職業適応訓練)
3-2 障害者就業・生活支援センター
担当者が、その人に合った仕事や働き方を一緒に考えながら、就職までの活動を一緒に行ってくれます。職業準備訓練や職場実習のあっせん、就職活動やハローワークへの同行、適したサービスや相談窓口の紹介、就職後は職場定着支援など、就業だけでなく、就業と生活の両面から支援を受けることができます。
こんなことができます
- 職業準備訓練や職場実習のあっせん
- 就職活動やハローワークへの同行
- 適したサービスや相談窓口の紹介
- 職場定着支援
おすすめポイント
働きたいが何から始めていいか分からない、障害者の就労支援にはどのようなものがあるか知りたい、仕事をしたい気持ちはあるが働くことができるか不安な方などの相談にのってもらえます。現在の症状や状況に応じて適した施設や制度を紹介してもらえるので、仕事をすることに不安がある人、障害者の仕事について聞いてみたい人におすすめです。
3-3 地域障害者職業センター
仕事の種類や働き方などについて、希望や障害の特性、課題を踏まえながら、相談、助言、職業評価、情報提供等を行っています。
また、うつ病などで休職期間が長期化している方、休職と復職を繰り返している方を対象に、無理なく復帰できるよう「職場復帰支援(リワーク支援)」を行っています。
こんなことができます
- 職場準備支援
- 自立支援カリキュラム
- 職場復帰支援
おすすめポイント
障害者の就職に関してより専門的な支援や訓練を行っています。就職に向けての課題の改善や適応力向上訓練、職場体験実習、就労支援カリキュラムを実施しています。自分のしたい仕事がはっきりしており、専門的な支援を受けたい人におすすめです。
4 障害について詳しく知りたい
4-1 精神保健福祉センター
こころの病気やこころの不調について医師や看護師、保健師、精神福祉士、臨床心理技術者、作業療法士などの専門職員に、電話や面談で相談をすることができます。また、こころの病気に関する講演会や講習会、パンフレットなどの作成・配布を行っています。
こんなことができます
- 専門職員への相談
- こころの病気に関する講演会や講習会の開催
おすすめポイント
こころの病気に関して医師や看護師などの専門家に気軽に相談することができます。はっきりと診断されてはいないが、こころの不調を感じている方の相談にのったり、場合によっては医療機関の情報を提供してもらうことができます。また、こころの病気への理解を深めるために、こころの病気がどういうものか、こころの病気との向き合い方、こころの病気をお持ちの方のご家族向けの講演会や講習会を開催しています。
4-2 医師
医師は病気の専門家です。自分の障害がそもそもどういうものなのか、どのような治療が受けられるのか、病気を治すためにどのようなことをすればいいのか、生活状況や就労状況に合わせた治療について相談することができます。
こんなことができます
- こころの病気についての相談
- 治療についての相談
- 病気との向き合い方に関する相談
おすすめポイント
自分の病気についてじっくり詳しく知りたい方におすすめです。また、こころの病気は無理に仕事をしたり、生活環境が変わると悪化してしまうことがしばしばあります。就労や日常生活に変化があるときは自分の担当の医師に一度相談してはいかがでしょうか。
以上をまとめるとこころの病気をお持ちの方の相談窓口は下記のとおりです。
(1)市町村の福祉担当課
(2)保健所
(3)精神保健福祉センター
(4)ハローワーク
(5)障害者就業・生活支援センター
(6)地域障害者職業センター
(7)医師
こころの病気をお持ちの方やそのご家族が相談できる施設はたくさんあり、悩みや障害者の抱える問題を一緒に解決してくれる心強い味方がたくさんいます。一人で抱えずに、まずは相談してみましょう。
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