障害年金受給者が亡くなった時に遺族が遺族年金をもらえる4つのケース

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遺族年金の制度の内容がわかりづらく、悩んでいませんか?

障害厚生年金を受給している人が亡くなったときは、その方の遺族は遺族年金の支給を受けることができます。請求の方法も難しくはありません。

今回は、遺族年金の支給を受けるための条件や、手続きについてわかりやすくご説明します。
それでは一緒に見ていきましょう。

 

1 障害厚生年金受給者の遺族は遺族年金がもらえる。

障害厚生年金」を受給していた人が亡くなった場合、その遺族は遺族年金をもらうことができます。

一方、「障害基礎年金」を受給していた人が亡くなった場合に、遺族年金を支給する制度はありません。

 

2 誰がもらえるのか?

遺族年金をもらえるのは、原則として亡くなった方の配偶者と子です。

亡くなった方に遺族年金をもらえる条件を満たす配偶者や子がいないときは、55歳以上の父母がいれば、父母が遺族厚生年金を受給できます。

父母もいない場合は、亡くなった方の孫あるいは祖父母が遺族厚生年金を受給できます。

 

3 いくらもらえるのか?

障害厚生年金の受給者の遺族がもらえる遺族年金の月額は、亡くなった受給者がもらっていた障害厚生年金の月額の4分の3にあたる額です。原則としてこの額の2か月分が、毎偶数月に支給されます。

亡くなった受給者が障害年金をもらっていた場合、その中身は、障害基礎年金と障害厚生年金の合計になっていることが多いです。

この場合、亡くなった後に遺族がもらえる遺族年金の額は障害年金のうち、障害厚生年金部分の4分の3にあたる額であり、障害年金全体の4分の3にあたる額ではありませんので注意が必要です。

 

4 遺族年金を請求するために必要な条件は4つ

障害厚生年金受給者の遺族が遺族年金を請求するために必要な条件は4つあります。

 

4-1 亡くなった方が障害厚生年金を受給できる状態にあったこと

まず、亡くなれた方が障害厚生年金を受給できる状態にあったことが必要です。

亡くなられた方が実際に障害厚生年金を受給していた場合はもちろんこれにあたりますが、受給できるけれども申請しないまま亡くなってしまった場合も、該当します。

ただし、亡くなられた方が、障害厚生年金の3級に該当していた場合は、亡くなった原因が重要になります。

3級の場合は亡くなった原因が障害厚生年金をもらっている障害の原因と同じ病気である場合に限り、遺族に遺族厚生年金が支給されることになるからです。

一方、亡くなられた方が、障害厚生年金の1級または2級に該当していた場合は、亡くなった原因にかかわらず、遺族は遺族年金を受給できます。

 

4-2 遺族が夫の場合は55歳以上、子の場合は18歳未満で未婚であること

次に、遺族年金をもらおうとする遺族について年齢制限があることがあります。

亡くなられた方の夫が遺族年金をもらおうとする場合は、夫が55歳以上であることが必要です。
亡くなられた方の子が遺族年金をもらおうとする場合は、原則として18歳未満で未婚であることが必要です。

ただし、子に障害があるときは、20歳未満の未婚の子であれば遺族年金の年齢条件を満たします。

一方、亡くなられた方の妻が遺族年金をもらおうとする場合は、年齢条件はありません。

 

4-3 遺族が亡くなった方と家計を1つにしていたこと

遺族年金を受給するためには、亡くなった方と遺族が家計を1つにしていたことが必要です。
亡くなった方と同居していた場合は、これにあたります。

また、別居していても、亡くなった方から遺族が経済的な援助を受けていたり、定期的な連絡や訪問をする関係にあって家計を1つにしていたと認められる場合は、遺族年金の支給対象になります。

 

4-4 遺族の収入が一定額未満であること。

遺族年金を受給するためには、受給しようとする遺族の年収が850万円未満、または所得が665万5000円未満であることが必要です。

障害厚生年金受給者が亡くなった前年における遺族の収入と所得が基準となります。

ここでいう「収入」とは税金や社会保険などを控除する前の年収のことを意味しています。

もし、あなたが去年の源泉徴収票をお持ちであれば、源泉徴収票を見てみましょう。源泉徴収票には「支払金額」という欄がありますが、この「支払金額」が「収入」です。この収入が850万円未満であることが必要です。

さらに所得が655万5000円未満であることが必要です。この「所得」については少し複雑な税金計算上の概念になります。

源泉徴収票には「給与所得控除後の金額」という欄がありますが、ここに記載されている金額が「所得」になります。

 

5 障害年金受給者が亡くなった場合の遺族年金の請求方法

障害年金受給者が亡くなった場合の遺族年金の請求は、最寄りの年金事務所に遺族厚生年金の請求書を提出して行います。必要な書類は以下の通りです。

年金請求書 年金事務所の指定様式(※http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/izoku/20140617-02.files/105.pdf)で作成します。
年金手帳 提出できないときは、その理由書が必要です。
戸籍謄本 障害年金受給者が亡くなった後に発行されたもので、かつ、年金事務所への提出日から6か月以内に発行されたものが必要です。
世帯全員の住民票の写し 障害年金受給者との同居の有無などを確認するための資料として必要です。
死亡者の住民票の除票 亡くなった方の住民票の除票を提出する必要があります。
請求者の収入が確認できる書類

請求者の所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票等を提出します。

請求者の収入が850万円未満、または所得が6655000円未満であることを確認するために必要です。

子の収入が確認できる書類 子が遺族年金をもらう場合に必要です。高校などに在学中の場合は在学証明書または学生証等を提出します。子が義務教育終了前の場合は提出不要です。
市区町村長に提出した死亡診断書のコピーまたは
死亡届の記載事項証明書
死亡の事実や原因、死亡年月日の確認のために必要です。
受取先金融機関の通帳等 年金受取口座の確認のために必要になります。請求者本人名義の口座であることが必要です。カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳のコピーまたはキャッシュカードのコピーを提出します。
生計同一関係に関する申立書 請求者が亡くなった障害厚生年金受給者と同居していなかったときは、家計を1つにしていたことを証明するために、「生計同一関係に関する申立書を提出する必要があります。

これらの書類をそろえて年金事務所に提出しましょう。不備がなければ、通常は3か月くらいで遺族年金を受給することが可能になります。

 

6 まとめ

いかがでしたでしょうか?
あなたが遺族厚生年金を受給できるかどうかや請求の方法について理解していただけたのではないかと思います。

受給できる場合はぜひ早めに請求しておきましょう。

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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