申告どうしたらいい?障害年金受給者の所得税の確定申告の進め方

確定申告をする女性
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障害年金を受給して初めての確定申告に悩んでいませんか?
「そもそも確定申告って必要なの?」「確定申告が必要だがやり方がわからない」等々、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

障害年金は非課税なので受給しているだけの場合基本的には確定申告は不要です。
しかし、他に給与収入や株などの副収入がある場合は確定申告が必要なケースもあります。

この記事では「一体いくらの収入までなら確定申告が不要なのか」や「確定申告が必要な場合の申告方法」について、わかりやすく説明していきたいと思います。

記事を読めば、障害年金の確定申告についてのあなたの疑問が解消されるはずです。

まずはあなたが確定申告の対象なのかどうかを見ていきましょう。

1 家賃収入、事業収入、株の収入などがある場合は原則として確定申告が必要。

障害年金は法律上、課税の対象外とされています。
そのため、あなたに障害年金以外の収入がなければ所得税の確定申告は不要です。

一方、障害年金受給者に、家賃収入、事業収入など、給与収入・障害年金以外の収入がある場合は、確定申告が必要です。
ただし、給与収入・障害年金以外の収入が38万円までであれば、基礎控除が38万円あるので確定申告は不要です。

 

1-1 株の収入については源泉徴収の有無がポイント。

源泉徴収されていない株や有価証券の収入がある場合は、これもあわせて給与収入・障害年金以外の収入が38万円を超える場合は確定申告が必要です。

一方、株や有価証券の売買による収入について、特定口座による取引で源泉徴収がされている場合は、既に税金が引かれているので、確定申告の対象外として問題ありません。

 

1-2 障害者手帳の交付がある場合は控除が拡大。

上記の通り、38万円を超えるかどうかが基準になりますが、障害者手帳の交付がある場合は控除額が拡大されています。

あなたが障害者手帳の交付を受けている場合は、障害者控除が27万円ありますので、基礎控除とあわせて65万円までは所得税がかかりません。そのため、給与収入・障害年金以外の収入が65万円を超えた場合に限り確定申告が必要です。

また、あなたが1級の精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている場合や1級又は2級の身体障害者手帳の交付を受けている場合は「特別障害者」といってさらに控除額が拡大されます。特別障害者に該当する場合は、障害者控除が40万円ありますので、基礎控除とあわせて78万円までは所得税がかかりません。そのため、78万円を超えた場合に限り確定申告が必要です。

 

1-3 確定申告書には障害年金の収入は一切記載しない。

確定申告が必要な場合、障害年金については非課税ですので確定申告書に一切記載は必要ありません。
障害年金は確定申告から無視してかまいません。
収入金額については障害年金以外の収入のみ計上します。
また、「所得から差し引かれる金額」として医療費控除や生命保険控除がもしあれば、それらの控除を計上して確定申告を行います。

 

2 給与収入だけの場合は税金の還付を受けることができる場合がある。

障害年金と給与収入だけの場合、確定申告をすることにより税金の還付を受けられる場合があります。
例えば、障害年金をもらいながらパートで働いている場合や、現在は無職だが1年の前半に働いていた時期があったケースがこの場合です。

具体的に還付が受けられる可能性があるのは、給与から源泉徴収がされていて、かつ、「医療費控除や生命保険料控除の対象になるとき」と「年の途中で退職し年末調整を受けていないとき」です。
以下で順番に見ていきましょう。

 

2-1 医療費控除や生命保険料控除の対象になるとき。

あなたが医療費控除や生命保険料控除の対象になるときは、確定申告をすれば税金の還付を受けることができます。

「医療費控除」は、あなたまたはあなたの家族のために医療費を支払ったときに受けることができる所得控除です。
「生命保険料控除」は、あなたが生命保険あるいは介護医療保険、あるいは個人年金保険に加入し、保険料を支払ったときに受けることができる所得控除です。

あなたがこれらの控除の対象になる場合、あなたの給与から差し引かれた源泉徴収額は、これらの控除を考慮すれば支払いすぎになっている可能性が高いです。
そのため、確定申告をすれば、税金の還付を受けることができます。

 

2-2 年の途中で退職し年末調整を受けていないとき。

あなたが、年の途中で退職して年末調整を受けていないときも、在職中にあなたの給与から差し引かれた源泉徴収額は、支払いすぎになっている可能性が高いです。そのため、給与と賞与のバランスなどにもよりますが、確定申告をすれば、税金の還付を受けることができる可能性が高いです。

 

2-3 確定申告の方法は2通りある。

確定申告をする場合、以下の2つの方法があります。

方法1:最寄りの税務署で相談をして、申告書を作成して、税務署の窓口で提出する方法
方法2:国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成して提出する方法

確定申告は毎年3月15日が期限ですので早めに準備しましょう。

なお、障害年金以外の収入がなく納税が発生しない場合に、医療費控除や生命保険料控除を利用して税金の還付を受けることはできません。「税金の還付」は納税している人に税金を返す手続きであり、納税していない場合は対象外だからです。

 

3 確定申告や税金についてよくあるその他の質問について

障害年金と税金については以上でご説明した通りですが、最後に確定申告や税金についてよくいただくご質問について触れておきたいと思います。

 

3-1 確定申告により障害年金受給が会社に知られることはない。

「確定申告がきっかけで障害年金を受給していることが会社に知られないか」というご質問をいただくことがあります。
確定申告により障害年金受給を会社に知られることはありません。
障害年金は非課税のため確定申告書にも一切記載することはなく、会社の年末調整などにも影響しないためです。

 

3-2 確定申告で障害年金が更新できなくなることは原則としてない。

「確定申告をすることで障害年金が更新できなくなることはないか」というご質問をいただくこともあります。

確定申告が原因で障害年金が更新できなくなることは通常ありません。
障害年金については一部の例外を除いて所得制限はないため、確定申告額がいくらでも更新に影響はないのです。確定申告の額が大きいことは、場合によっては症状が改善していることを示す材料になり得ますが、確定申告額が年金事務所に伝わるわけではありません。そのため、確定申告の額が大きいからといって更新で不利になることはありません。

ただし、例外的に初診日が20歳以前の場合や、特別障害給付金を受給している場合は、所得が一定未満であることが支給の条件になっています。そのため、毎年7月に所得額を年金事務所に申告しなければならず、所得が基準以上になると支給が停止されます。

障害年金の所得制限については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

要注意!所得制限がある障害年金2つのケース

 

3-3 障害年金については住民税もかからない。

障害年金による収入については非課税のため、住民税もかかりません。
ただし、住民税は前年の所得を基準に税額が決まります。

そのため、あなたが前年に所得税を納めている場合は、現在、あなたが障害年金以外に収入がなくても、今年に住民税を支払うことになります。

例えば、前年に会社を退職し、今年は障害年金の収入だけという場合も、今年は前年の収入を基準に住民税を支払う必要があるのです。
住民税は、前年に確定申告や年末調整をしていれば、特に何の手続きもしなくても、市町村から払込書が届きます。

 

4 まとめ

今回は、障害年金を受給している場合の、確定申告についてご説明しました。
家賃収入、事業収入、株の収入などがある場合は原則として確定申告が必要です。

また、障害年金と給与収入だけの場合は、確定申告をすれば税金の還付を受けることができる場合があります。
そして、確定申告をする場合でも、障害年金は確定申告の収入金額に計上しません。

ぜひ、この記事をあなたの確定申告の際の参考にしてください。

 

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
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    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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