障害年金と医療費免除の制度について解説します!

医療費免除
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障害年金を受給されている方の多くは定期的な通院が必要で、医療費の負担は大きいものです。

医療費が免除・減額されないかとお考えの方も多いのではないでしょうか。

残念ながらただ単に障害年金を受給しているというだけで医療費が免除されたり、減額されることはありません。

しかし、障害をお持ちの方向けに多くの医療費免除制度があります。

今回は障害者が利用できる医療費の免除制度や、医療費以外の助成・免除制度についてご紹介します。

 

1 障害年金を受給しても医療費は免除されない

結論から言うと、ただ単に障害年金を受給しているというだけで医療費が免除されることはありません。

障害をお持ちの方向けに多くの医療費免除制度がありますが、これらの制度は障害年金とは全く別の制度です。

そのため、障害年金を受給していることで自動的に医療費が免除になることはありません。医療費の免除を受けるためには、別途手続きが必要です。

ここからは、障害者をお持ちの方が利用できる医療費の免除制度についていくつかご紹介します。

 

2 医療費の免除・助成制度

2-1 心身障害者医療費助成制度

心身障害者医療費助成制度は障害のある方が健康保険を利用して通院した際に、自己負担分の医療費を助成する制度です。

心身障害者医療費助成制度は自治体毎で運営されている制度で、対象者や助成内容は自治体によって様々です。

障害者手帳を持っている方が対象になっていることが多く、申請にも障害者手帳が必要です。

 

助成内容

自治体によって異なります。

1日あたりの上限額が定められそれを超えた額が支給されたり、1月あたりの自己負担額の上限が定められそれを超えた場合に超えた額が支給されたりします。

 

どのような人が対象になるか

自治体によって異なります。

身体障害者手帳1.2級の方などが対象になっていることが多いようです。

市町村によっては精神障害者保健福祉手帳1級の方等も対象になっている場合もあります。
また、受給には所得の制限がある場合が多いようです。

 

手続き方法

お住まいの市町村の担当窓口で手続きを行います。受付窓口や必要書類は各市町村によって異なりますので、詳しくはお住まいの市町村の担当窓口でご確認ください。

<必要書類の一例>

  • 健康保険証
  • 印鑑
  • 障害者手帳

 

2-2 難病医療費助成制度

国が定める330の特定疾患の障害者を対象に医療費の減額を受けることができる制度です。

自治体によっては国が定める傷病とは別に、独自に助成対象の傷病を設けていることがあります。

難病医療制度の対象となる疾患には、パーキンソン病やIgA腎症、てんかんなどがあります。

指定難病病名一覧表(厚生労働省作成資料)(エクセル)

 

助成内容
  • 医療費の自己負担が2割になる
  • 所得額に応じて、医療費の自己負担額の上限(月々)が設けられ、上限を超えた自己負担額が支給される(上限額は所得や人工呼吸器等の使用状況等によって1,000円~30,000円まで定められています。)

 

どのような人が対象になるか

下記のいずれかの条件を満たす場合に対象になります。

 (1)国が定める難病の患者であり、かつ、障害の程度が国の定める一定の基準を満たしていること。

 (2)症状の程度が国の定める基準を満たしていないが、高額な医療を継続して受ける必要があること。(申請月以前の12ヶ月以内に、その治療にかかった医療費の総額が33,330円を超える月が3ヶ月以上あること)

 

手続き方法

各都道府県の申請窓口へ申請します。申請窓口は都道府県によって市町村役場の福祉担当課であったり、保健所であったり、保健福祉センターであったり様々です。

難病情報センターや各都道府県のサイトで公開されていますのでご確認ください。

申請には難病指定医の作成した診断書等の書類が必要です。

各都道府県のサイトから必要書類の書式をダウンロードできることもあります。

 

<必要書類>

  • 診断書(臨床調査個人票)
  • 申請書(指定難病医療費支給認定用)
  • 公的医療保険の被保険者証のコピー
  • 市町村民税の課税状況の確認書類(課税・非課税証明書、所得証明書等)
  • 世帯全員の住民票
    ※この他に書類の提出を求められる場合があります。

申請後、各都道府県で助成の対象になるか審査が行われます。

審査の結果、助成の対象になると判断された場合は、「医療受給者証」が交付され、医療費の助成を受けることができます。

 

2-3 自立支援医療

自立支援医療は、精神障害者の通院治療や身体障害者が手術を受けることによって確実に障害が除去・軽減される治療を対象に医療費の自己負担額が軽減される制度です。

 

助成内容

 (1)医療費の自己負担が1割になる

 (2)世帯全体の所得に応じて、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が設けられ、上限を超えた自己負担額が支給される

 

どのような人が対象になるか

 (1)精神通院医療:総合失調症やうつ病、知的障害や発達障害、パニック障害等の精神疾患で通院による治療を続ける必要がある状態の方
 

 (2)更生医療:障害を確実に除去・軽減する効果が期待できる手術等の治療を受ける身体障害者の方(例:ペースメーカー埋込み手術、人工透析療法、人工関節置換術、抗HIV療法等)

 

手続き方法

お住まいの市町村の福祉担当窓口で申請します。申請には診断書等の書類が必要です。

各市町村役場のサイトから必要書類の書式をダウンロードできることもあります。

<必要書類>

  • 申請書(自立支援医療支給認定申請書)
  • 診断書
  • 所得状況が確認できる書類(課税・非課税証明書等)
  • 健康保険証
  • マイナンバーが確認できる書類
    ※必要書類は自治体によって異なるため、詳しくは市町村役場の担当窓口や市町村のサイトでご確認ください。

申請の結果、自立支援医療制度の対象になると認定された場合は、「自立支援医療受給者証」が交付され、医療費の助成を受けることができます。

 

2-4 高額療養費制度

高額療養費制度は、医療機関で支払った医療費が国の定める上限額(月々)を超えた場合に、その超えた額を支給してもらえる制度です。

例えば、入院をした場合一ヶ月の医療費が数十万円にのぼることも少なくありません。

その際に、この高額療養費制度を利用することで医療費の自己負担を大幅に減らすことができます。

上限額は、年齢や所得に応じて定められています。

 

助成内容

月々の医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額を負担してもらうことができる。

69歳以下の場合の上限額は下記の通りです。

年収 1ヶ月あたりの上限額(世帯ごと)
1160万円以上 252,600円+(医療費-842,000円)×1
770万円~約1160万円以下 167,400円+(医療費-558,000円)×1
370万円~約770万円以下 80,100円+(医療費-267,000円)×1
370万円以下 57,600円
住民税非課税の場合 35,400円

 

どのような人が対象になるか

健康保険の加入者の方

 

手続き方法

ご自身が加入している健康保険に申請します。国民健康保険に加入している場合は市町村が窓口です。必要書類は加入している健康保険によって異なるので、詳しくはご自身が加入している健康保険に確認してください。

<必要書類の一例>

  • 支給申請書
  • 病院の領収書

 

3 その他の助成・免除制度

3-1 障害者手帳

障害をお持ちの方が、市町村に申請することによって取得できるものです。

障害者手帳を持っていることで様々なサービスを受けることができます。

障害の程度や種類、自治体によって受けることができるサービスは異なりますが、下記のようなものがあります。

  • 所得税、住民税等の各種税金の控除
  • 各種公共交通機関の運賃割引
  • 各種公共施設(博物館、美術館、映画館)の利用料の割引
  • 携帯電話料金など、通信費の割引

 

3-2 生活保護

障害のために働くことができなくなり、経済的に困ったときに、最低限度の生活を保障してくれる制度が生活保護です。障害の程度によっては生活保護に障害手当がつくこともあります。

また、生活保護を受給した場合、医療費は全額市町村が負担するため自己負担はありません。

障害年金を受給しても経済的に苦しい、障害年金だけでは生活ができない場合、国が定める基準をクリアしていれば、生活保護を受給することも可能です。

障害年金を受給しても、月々の収入が最低生活費に満たない場合は、その差額が生活保護費として支給されます。

生活保護と障害年金について詳しくはこちらの記事をご参照ください。

 

3-3 年金保険料の免除

国民年金の保険料は、障害年金を受給することで免除になる場合があります。

 

法定免除

国民年金の保険料は、一定の状態にある方について保険料を免除とすることが法律で定められています。これを法定免除と言います。

障害年金の受給者のうち、法定免除の対象になるのは、以下の方です。

○1級又は2級の障害年金を受給していること

○国民年金の加入者であること(厚生年金加入者若しくは厚生年金加入者の配偶者は対象外)

 

国民年金の加入者で、2級以上の障害年金を受給している方は皆さんが法定免除の対象になります。

法定免除を受けている期間の老齢基礎年金の年金額は1/2で計算され満額を収めた場合に比べると将来受け取ることのできる老齢年金の額は少なくなってしまいますが、免除期間中は年金保険料を納める必要がなくなります。

法定免除を受けるためには手続が必要です。

手続きは市町村役場の年金担当課で受け付けていますが、細かい手続きの方法や必要書類は市町村によって異なりますので、事前に市町村の担当課にお問い合わせください。

 

申請免除

法定免除の対象にならない方であっても、経済的な事情で年金の保険料を納められない場合、申請することによって免除、減額、猶予等を受けられることがあります。

納められないからと言って未納のままにしておくと、将来老齢年金が受給できなくなってしまう可能性や免除した場合に比べて老齢年金の受給額が少なくなってしまうこともあります。

免除の申請は、市町村役場の年金担当課で行うことができます。郵送でも提出が可能です。
保険料免除・納付猶予の申請書

免除を受けるためには所得額等、一定の条件があるため申請したからといってすべての方が受けられるものではありませんが、納められないからといってそのままにするのではなく、一度市町村役場や年金事務所で相談することをおすすめします。

国民年金保険料の免除について詳しくはこちら
日本年金機構『保険料を納めることが、経済的に難しいとき

 

4 まとめ

障害年金を受給していることで医療費が免除されることはありません。

しかし、手続きをすることによって受けることができる様々な医療費の助成制度があります。制度の多くは市町村が窓口になっています。

自分がどの制度の対象になるかわからない場合は、そのままにせず、市町村役場で相談しましょう。

 

患者団体や病院の方へ

患者団体や病院の方、あるいは報道機関から、この記事を利用したいとのお問い合わせをいただくことがあります。
障害年金の制度を患者の方にお伝えいただく目的で使用いただくのであれば、無償で利用していただいて結構です。
ただし、以下のルールを必ず守っていただきますようにお願いいたします。

 

  • 記事は修正しないでそのまま使用してください。
  • 咲くやこの花法律事務所の記事であることは使用の際に明示をお願いいたします。
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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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