障害者のお給料って少ないの?厚生労働省が発表した年収調査結果

給料袋を覗く女性
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仕事を探す時に重視したい、「お給料」。
しかしながら障害者の中には就業時間などに制限が多いことなどから、十分なお給料を得ることが難しいと考える方も多くみられます。実際に働いている障害者は、どのくらいのお給料をもらっているのか?
厚生労働省が平成25年10月に実施した「障害者雇用実態調査(*)」をもとに、現状についてご説明したいと思います。

1 障害者のお給料の平均

1-1障害者の平均的なお給料

厚生労働省によるアンケートでは、平成25年10月現在の障害者の平均賃金は
身体障害者:22万3千円(平成20年のアンケートより3万1千円減少
知的障害者:10万8千円(同1万円減少
精神障害者:15万9千円(同3万円増加
という結果がでました。

また、週所定労働時間別の平均賃金では以下の通りでした。

身体障害者 通常(週30時間以上) 25万1千円
20時間以上30時間未満 10万7千円
20時間未満 5万9千円
知的障害者 通常(週30時間以上) 13万0千円
20時間以上30時間未満 8万7千円
20時間未満 3万5千円
精神障害者 通常(週30時間以上) 19万6千円
20時間以上30時間未満 8万3千円
20時間未満 4万7千円

上記の平均賃金を年収に換算すると、ほとんどの方が約250~200万円、もしくはそれ以下の収入となります。ちなみに毎年国税庁がすべての人へ向けて行っている平均給与に関する調査では、平成25年の平均年収は約360万円でした。
健常者も含めた平均年収では約360万円ですが、障害者の平均年収は250万円以下が平均となると、障害者の平均年収のほうがおよそ100万円低いとみてとれます。また特に知的障害者、精神障害者の平均賃金が低いことが顕著です。

(*)注釈

平成2510月に行われた「障害者雇用実態調査」は、厚生労働省が、主要産業の民営事業所の事業主と、そこに雇用されている身体・知的・精神障害者の双方に対しておこなったアンケートです。

 

身体・知的・精神といった障害を抱えながら働いている方の職業生活状況の実態を明らかにし、今後の障害者雇用施策の検討及び立案に役立てることを目的として5年周期でおこなわれています。

 

平成25年のアンケートでは、8,673の事業所で66%、身体障害者の方7,507人で62.4%、知的障害者の方1,620人で71.6%、精神障害者の方552人で52.6%の回答率を得ています。

 

1-2なぜお給料は低いのか

上記平均給与を見て頂きましたが、いかがでしょうか。おそらく多くの方が「低い」と感じられたのではないかと思います。その理由として、
「正社員の割合が低い」
「週30時間未満の勤務形態の方が全体の3割」
「賃金があがりにくい職種に就いている人が多い」という3点が挙げられます。

事業所が答えたアンケート結果をもとに、以下でこの3点をご説明していきます。

(1)雇用形態

まず、雇用形態について確認していきましょう。

 身体障害者の雇用形態の円グラフ

精神障害者の雇用形態の円グラフ

知的障害者の雇用形態の円グラフ

一般的には「無期契約の正社員」の給与が一番高いとされていますが、身体障害者では無期契約の正社員の割合が全体の約5割なのに対し、知的障害者、精神障害者では全体の2,3割となっています。知的障害者では全体の8割、精神障害者では全体の6割が「正社員以外」となっていることがわかります。

(2)週所定労働時間

続いて、就労している障害者の平均的な勤務時間についてご説明します。
週所定労働時間別(1週間の勤務時間別)のアンケート結果では以下のようになりました。

身体障害者の平均勤務時間の円グラフ

精神障害者の平均勤務時間の円グラフ

知的障害者の平均勤務時間の円グラフ

 

週5日勤務で1日6時間以上勤務している場合であれば、通常(30時間以上)勤務としている計算です。
身体障害者では8割の方が通常勤務をおこなっている一方で、知的障害者、身体障害者の場合は6~7割と下がっており、その分「20時間以上30時間未満」の割合が3割近くに達しています。

(3)職種別

最後に、各障害をお持ちの方がどのような職種についているかについてアンケート結果をまとめました。

各障害別就業グラフ

 

知的障害者では生産工程従事者の割合が最も多く、身体障害者・精神障害者では事務的職業に就いている方の割合が最も多くなりました。事務的職業とはいわゆる社内総務・経理等を含みますが、それ単体で利益を生み出すような仕事内容ではないため、多くの企業では給与面で他の職種(営業職等)より低く、また仕事の評価が難しいためなかなか昇給できない仕事でもあります。
このような事務的職業に就いている方は身体障害者・精神障害者共に全体の3割以上となっています。また、知的障害者が従事している仕事も同様に、平均賃金がなかなか上がらないような仕事に従事している割合が高いとみてとれます。
また一般的に役職手当などが付く管理的職業に就いている人が知的障害者、精神障害者ではほとんどみられない一方、身体障害者では少数見られているのも特徴ではないでしょうか。

一方で、ひとりひとり抱えている障害や症状が違う中で、自分の体調や症状にマッチした仕事に就いた結果、賃金が低い職に就かざるを得ないという人が大半のように思います。

1でご説明した平均給与額では生計を立てられない。どうしたらよいか。
そういった不安をお持ちの方へ、次の章で、収入を増やすための情報などをご案内したいと思います。

2 収入を増やすにはどうしたら?

2-1思い切って転職をする!

てっとり早く見えて、意外と難しいのが転職。しかしお給料アップのために転職したい、と考えられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、転職をお考えの方にぜひ目指してほしいことが3つあります。

1「正社員雇用を目指す」
2「週30時間以上の勤務形態を目指す」
3「賃金があがりやすい職種に就くことを目指す」

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、上記の3つは 1-2なぜお給料は低いのかの項目で、平均賃金が低いことの原因として挙げた「正社員の割合が低い」、「週30時間未満の勤務形態の方が全体の3割」、「賃金があがりにくい職種に就いている人が多い」という3点の裏返しです。「障害者雇用実態調査」の結果から、以下で簡単にご説明します。

(1)正社員雇用を目指す、週30時間以上の勤務形態を目指す

平均賃金・正社員雇用の割合・週30時間以上勤務者の割合グラフ

平均賃金・正社員雇用の割合・週30時間以上勤務者の割合を比較してみました。
左から金額や割合が高い順に並べましたが、いずれも身体障害者、精神障害者、知的障害者の順となっています。したがって高いお給料を得るには「正社員雇用であること」「週30時間以上の勤務形態であること」が必要になるといえるでしょう。

(2)賃金があがりやすい職種に就くことを目指す

上記の結果として高いお給料を得ているのは身体障害者と言えますが、身体障害者が知的障害者・精神障害者と
区別して就いている職種として、「管理的職業」と「専門的・技術的職業」が挙げられます。
「管理的職業」は社内でも重要な位置づけとなっている管理職などが挙げられますが、勤続年数などから仕事として就くには時間がかかる上ハードルが高いです。一方で「専門的・技術的職業」については身体障害者の値よりも知的障害者・精神障害者では低くなっていますが、勉強して資格を取ることで整体師やあんま師、調理師として働かれる方もいらっしゃいます。専門的な技術や資格があることで就職先も増えますので、資格取得を考えることも有益でしょう。

上記3点のうち1つでも目指しながら転職活動をすることで、お給料アップの可能性があがります。

(3)ハローワークで相談する

また、転職をお考えの方はその上で一度ハローワークへ電話相談してみるべきです。
ハローワーク【公共職業安定所】では、障害者雇用専門の窓口で現在の仕事内容やどんな仕事が出来て、どんな仕事は難しいのか等聴き取りを行ったあと、その人に合う仕事を紹介してくれます。もちろん在職時でも相談は可能です。
また、電話相談で直接、「今もらっている金額より高い給料の仕事に就きたい」とお伝えして頂ければ、電話口で希望に合うような求人があるか、直接おおまかに教えて頂くことも可能です。
ただ一つ条件として、各種障害者手帳が必要な上、紹介してもらえるのはあくまでも「障害者枠」の仕事のみとなることに注意が必要です。

もしも今もらっているお給料よりもらえる額を増やしたい!自分の今の仕事が少し手に余っていて、もう少し難しい仕事でもできるかもしれない!と思っている方はぜひお近くのハローワークへ相談してみましょう。
全国ハローワークの所在案内(厚生労働省のページへ飛びます。)

2-2各種社会保障、サービスを受ける

日本には、障害があって働くことができない人、働くことに制限がある人が受けられる社会保障制度があります。どんな制度を受けられるかに関しては、病院の主治医やケースワーカー、または市区町村役場の福祉課に相談してみましょう。
以下では収入を増やす面、支出を減らす面に分けて簡単にご紹介します。

(1)収入を増やす(障害年金を受給する)

障害年金とは、障害を持っているために働けなくなった人が受け取れる年金のことを言います。もちろん等級に該当すれば、働きながら受け取ることも可能です。
各等級に該当すると受け取ることができる最低額は、

1級 年額97万7125円
2級 年額78万1700円
3級 年額58万6300円(初診時厚生年金加入者のみ)

となります。さらに配偶者や、働いていない18歳以下の子供がいる場合は、条件に合えば加算対象となるので上記金額が増える場合もあります。

一般的な年金と同じくくりのもとにある制度ですので、市区町村役場や年金事務所で相談すると、自分が受給可能かどうか調べてもらうことができます。市区町村役場の年金課、もしくは各自治体の年金事務所の窓口で相談しましょう。

(2)支出を減らす

1.障害者手帳、割引証を取得する事で減免処置を受けられるもの
(相談先は市区町村役場の窓口(福祉課など))
公共交通機関利用料:
手帳を提示すると本人やその介助者の利用料が半額になる。

有料道路利用料:
重度知的障害者を乗せて介助者が運転する場合利用料が半額になる。
事前に割引証の交付を受ける必要がある。

自動車税、自動車取得税:
障害者と生計を同じにしている人が障害者の為に自動車を利用する場合、減免措置がある。

携帯電話料金:
大手三社の割引についてはこちらになります。
 いずれも申込み時に障害者手帳などの提示が必要です。
NTT,docomo:
「ハーティ割引」基本料金や留守番電話サービスなどの利用料の割引がある。
KDDI,au:
「スマイルハート割引」基本料金、通話料、SMSの送信料などの割引がある。
Softbank:
「ハートフレンド割引」基本料金、機種変更手数料、留守番電話サービスなどの割引がある。

NHK利用料:
手帳を持っている人がいて、世帯全員が住民税非課税の場合は全額免除、
重度の等級の手帳を持っている人が世帯主の場合は半額免除になる。

2.医療費の支援制度
 相談先は市区町村の窓口(福祉課など)もしくは保険証に明記のある健康保健機関です。

市町村によって受けられる制度が違い、下記にある制度以外にも受けられるものがある場合もあります。

一度担当窓口へ問い合わせてみましょう。

 

障害者医療費助成制度(障害のある方が医療機関にかかったとき、医療費の自己負担額を市町村が負担してくれるなど)
自立支援医療制度(心身の障害で長期的に病院に通院する必要がある場合に、市町村が医療費を一部負担してくれる)
高額療養費制度(病院の医療費が一定額を超えると、健康保健からお金が戻ってくる)

自分は該当するのではないか?と思った方は、各市町村へお問い合わせください。

3 まとめ

ここまでで、障害者のお給料の平均が

身体障害者  22万3千円
知的障害者  10万8千円
精神障害者  15万9千円

であるとお伝えするとともに、

その理由が

「正社員の割合が低い」
「週30時間未満の勤務形態の方が全体の3割」
「賃金があがりにくい職種に就いている人が多い」

ことにあること、

また最後に収入を増やすためにできることとして

(1)思い切って転職する!
(2)各種社会保障、サービスを受ける

上記2点をご紹介しました。

 

ご案内した内容が少しでもあなたの役に立つよう、願っております。

 

患者団体や病院の方へ

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  • この記事の監修者
  • 西川 暢春
  • 西川 暢春

    弁護士法人
    咲くやこの花法律事務所
  • 出身地:奈良県 出身大学:東京大学法学部卒業。事務所での精神疾患、知的障害、身体障害に関する障害年金の相談経験、請求実績を活かし、障害年金に関する情報を継続的に発信中。
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